キャンピングカーで行こう!

冬のキャンピングカーのタイヤ選びと新しいチェーン規制への備え

  • 文・写真 渡部竜生
  • 2018年11月28日

雪山ならスタッドレス+チェーンが標準装備。また、昼間晴れて路面が溶け、夕暮れ以降気温が下がって凍結路になるなど、雪山の路面は刻々と変化することを覚えておこう

北海道では初雪を観測。今年は観測史上最も遅い時期だといいます。つい先日まで汗ばむ陽気だったのに、季節は確実に冬に向かっているよう。キャンピングカーも冬はオフシーズン、という方もいるのではないでしょうか。FFヒーターや断熱装備のおかげで、キャンピングカーの冬旅がとても快適だということは何度もお話ししてきました。

冬はオフシーズン、という方の主な理由は「雪道走行は怖いから」。確かに、雪になじみのない地域の方は、雪道運転に不安を覚える方もいるでしょう。それでも、雪のない場所を選んで旅をすれば楽しい旅はできるはず。せっかくの道具を冬眠させるなんて、もったいないですよ。そこで今回は、冬旅をより安心なものにするための、足回りについてお話しします。

雪道の走行規制がより明確化

たとえ積雪地に行かないとしても、沖縄を除けば、いつ・どこに雪が降ってもおかしくないのが日本です。むしろ、例年雪が降らない地域ほど、除雪設備などの備えが手薄なので、いざ雪が降ったときの影響は積雪地帯よりも大きいことだってあります。

折しも、国土交通省は今後の「チェーン規制」について新たな方針を打ち出したところです。タイヤにチェーンを巻いた標識のデザインを、ネットニュースやSNSで見かけた方もいるかもしれません。

では今後、どのような方針になるのかというと、高速道路上などで「チェーン規制」と表現する場合は「冬タイヤを履いていてもチェーンが必須」という意味合いに変更していく、というもの。そこで、各高速道路会社のWebサイトをチェックしてみました。

それによれば、「冬用タイヤ規制」という表示が出たときは、「冬用タイヤ」もしくは「チェーン」を装着していればOK。「全車両チェーン装着規制」という表示が出たときは、「冬用タイヤ」と「チェーン」の両方を装着しなければ走行できないという、具体的な表示例とその内容が示されていて、ここには二通りの決まりがあるようです。

つまり、積雪や路面の状況に応じて、二段階の規制を設けるということ。そのうち、軽いほうの「冬用タイヤ規制」の場合、

・夏タイヤでもチェーンがある
・スノータイヤ(M+Sといった表記がタイヤ側面にされているもの)を履いている
・スタッドレスタイヤを履いている

のいずれかの条件を満たせば走行可能、ということになります。もし、上記のどれにも該当しない場合。SAやPAで規制が解除になるまで待たねばなりません。では、キャンピングカーの冬支度として、どの程度の備えをしておくのがよいでしょうか。

スタッドレスタイヤは、車の重量などに見合ったスペックのものを選ぼう。タイヤ専門店などプロに相談するのが安心

車両に適した足回りを!

前述の3パターンのうち、最も手軽なのは「夏タイヤ」+「チェーン」です。が、車体も大きく、同様サイズの車両に比べて重量があるキャンピングカーの場合、この組み合わせはあまりお勧めできません。

チェーン規制などの走行規制が始まるのは、積雪がある(見込まれる)場合、そして路面が凍結している(見込まれる)場合です。滑りやすさの程度でいえば、乾いた道路→雨などでぬれた道路→積雪した道路→凍結した道路の順になります。

さて、夏タイヤは、積雪路や凍結路ではほとんどグリップ力は期待できません。そこでチェーンを巻くわけですが、タイヤそのものに滑り止めの機能が期待できない以上、スリップを防ぐのはチェーンに頼り切り、ということになります。

重たい車両が走る・止まる、ためには、軽い車両より大きな力が必要です。乗用車なら十分止まり切れる距離でも、キャンピングカーでは制動距離はもっと長くなります。雪道、まして、凍結路でキャンピングカーが確実に駆動(走る)、または制動(止まる)するには、チェーンだけの能力ではあまりに危険です。

では、スノータイヤやMIXと呼ばれるタイヤはどうでしょう。これらのタイヤは夏タイヤよりはグリップ力に優れているので、ある程度の雪ならカバーできますが、説明したとおり、雪道以上に滑りやすい凍結路には対応できません。

「雪道を走るつもりは全くないので、あくまで保険として」ということであれば、スノータイヤでもいいでしょう。ただし、不慮の積雪にあって予想以上に雪が激しいとき、そして深夜など路面が凍結しているときは、決して頼れる存在ではないことを忘れてはなりません。万一に備えてチェーンなどを積んでおき、少しでも安全性を高めましょう。

となると、もっとも安心できるのはスタッドレスタイヤです。とはいえ、スタッドレスなら何でもよいわけではありません。気を付けてもらいたいのは、キャンピングカーの場合は「標準タイヤ以上のスペック」を選ぶ、ということです。

キャンピングカーの標準タイヤは、多くの場合貨物車用です。たとえ同じサイズであっても、乗用車用と貨物車用では耐荷重性などが全く異なります。スタッドレスに履き替えるときも、この考え方は引き継がなければなりません。大事な命を乗せて走るタイヤなので、必ず専門店に相談の上、標準タイヤ以上のスペックのものを選びましょう。

※こうしたタイヤの冬支度は、トレーラーも同様です。ヘッド車はもちろん、トレーラーのタイヤも冬支度をお忘れなく。

スタッドレスタイヤ装備でもタイヤチェーンは必ず携行しよう。重量のあるキャンピングカーの場合、金属チェーンがおすすめ

スタッドレスは万能ではない!

「スタッドレスさえ履いておけば、通年安心でしょ?」という方が、たまにいます。たしかに夏冬でタイヤを履き替えるのは面倒ですし、第一お金もかかります。ですが、スタッドレスタイヤを通年履くのはあまりお勧めできません。

スタッドレスはあくまで積雪路・凍結路で性能を発揮するタイヤです。滑りやすい路面にしっかりグリップするよう、ゴムも柔らかめのものが使用されています。そんな柔らかいゴムを、乾燥した舗装路(つまりは滑りにくい・摩擦係数が高い)で使用した場合どうなるか。

紙やすりに消しゴムをかけるようなもので、より早く摩耗してしまうだけでなく、発熱も多くバーストの危険も増します。また、見た目にはミゾが多く雨にも強いと思われがちですが、実は正反対で、雨にはとても弱いのです。

雪道の走行規制が二段階になったことはお話ししました。これまでであれば、スタッドレスさえ履いていれば大抵の雪道ではOKでしたが、これからは「スタッドレスを履いていてもチェーンが必要」というケースも出てくることになります。これまで冬支度はスタッドレスに履き替えるだけだった方も、チェーンも携行するようにしましょう。

意外と重要なチェーン選び

最後にチェーンのお話を。チェーンには金属製のものもあれば、プラスチックなど非金属性のものなど、各種あります。タイヤのサイズに合ったものを選ぶのはもちろんですが、チェーンも耐荷重による適性があります。自分の車の重量やタイヤの能力をしっかりチェックして、適正なものを用意しましょう。

特に非金属性の製品の多くは乗用車が対象。キャンピングカーの重量には適合しない場合があるのでご注意を。また、スタッドレスタイヤは夏タイヤよりも断面が角張っています。スタッドレス+チェーンの組み合わせの場合は、装着するチェーンのサイズを確かめて「スタッドレスに合ったサイズ」を選びましょう。

ありがちなのが「チェーンを買って安心してしまう」パターン。せっかくチェーンを買ったなら、ぜひ自宅で、うまく装着できるかどうか試してみましょう。車を止めてチェーンを装着するのは、たいていの場合夜です。

私もスキー場に向かう深夜の山道で、慣れないチェーン装着に冷や汗をかいているキャンピングカーユーザーを何人も見てきましたが、寒くて暗い中、街路灯や懐中電灯の明かりを頼りに慣れない装着作業をするのは、なかなか骨の折れるもの。いざというとき手際よく、安全に作業できるよう、チェーンを購入したらテスト装着してみて、慣れておくのがおすすめです。

「そんなに大変なら、やっぱり冬眠でいいや……」と思ったかもしれません。もちろん「どうしても冬の運転は嫌だ」とか「冬遊びに行くつもりがない」ならば、無理は禁物。冬は乗らない、という決断もいいでしょう。しかし、日本の冬には楽しみがたくさんあります。冬グルメ、温泉、ウィンタースポーツと、備えを万全にして、ぜひ冬の日本を遊びつくしてください!

[PR]

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

PROFILE

渡部竜生(わたなべ・たつお)キャンピングカージャーナリスト

写真

サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり。

今、あなたにオススメ

Pickup!

Columns