キャンピングカーで行こう!

“動く我が家”キャンピングカーのDIYは慎重に進めよう

  • 文・写真 渡部竜生
  • 2018年12月19日

ソーラーパネルは人気の装備だが、光が当たっていれば通電してしまう性質がある。取り付けには十分な注意が必要だ

キャンピングカーに限らず、マイカーを自分の好みや使い勝手に合うようにカスタマイズするというのは、よく聞く話です。
「家」という側面もあるキャンピングカーですから、乗用車よりも個々のライフスタイルに合わせてカスタマイズしたくなるのもよく分かります。
今回は「動く我が家」をより快適にするDIYについてお話ししようと思います。

DIYのメリットとデメリット

ペット連れ、二人旅、子どもがたくさんいる……。キャンピングカーユーザーにはそれぞれの事情がありますよね。その事情の数だけ、用途や機能が違うのも当然です。

実際、ブログやSNSを見ると、自作キャンピングカーやカスタマイズの事例、ノウハウを共有しているユーザーさんをよく見かけます。中には、玄人はだしの工作テクニックを持つ人もいたり、素晴らしい「作品」を目にすることもあります。
かくいう私もキャンピングカーにはまった原点は、手に入れた車を修理したり補修したことがきっかけでした。最初の1台は、経験もないくせに個人売買で手に入れた来歴不明の車。意気揚々と買ったはいいが、いざ使う段階になって不具合が次々と出てきました。今の私が当時の自分を見たら、間違いなく「こんな車を買ってはいけません」と言うだろう代物です。不具合を直そうとして傷口を広げてしまったこともありましたが、試行錯誤したおかげでいろいろ勉強になりました。
そのときの経験が今につながっているので感謝なのですが、DIY(=自力でなんとかする)という解決策にはメリットとデメリットがあります。

◎メリット
自分でやってみる。触ってみる。その経験から学ぶことが多い。
成功すれば、コストがかからない。
より自分の車への理解が深まる。

×デメリット
技術や知識なしに車に手を加えることで、事態を悪化させる可能性がある。
場合によっては安全性にも影響するので注意が必要。
結局プロにゆだねることになってコスト増の可能性も。

クルマの整備はドライバーの責任

道路運送車両法第47条によれば、「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない」とあります。
つまり、自動車の整備はドライバーが自分でするもの、ということです。
ブレーキだろうがエンジンだろうが、自分の車は好きに整備してよいのです(業務として他人の車を整備するには資格が必要)。ましてや、キャンピングカーの居室部分の整備については、法的な定めはまったくなく、個人がDIYする上で、制約はほとんどないといっていい状況です。

ここで気を付けたいのが「自身の技量と安全性をきちんと判断すること」ということです。確かに法的には、自分の車は好きに整備をすることができます。しかし、その技量が自分にあるかを冷静に判断することがなにより大切です。
先に書いた通り、今ではネット上にさまざまな情報があり、先輩ユーザーの経験談や事例を簡単に見ることができます。
中には、ブレーキの整備に挑戦しているベテランもいらっしゃいます。こうした書き込みに対し時々「今度私も挑戦してみようと思います。ところで、どんな工具が必要ですか?」などのコメントを書かれている方がいるのです。
大変失礼ではありますが、ブレーキのような最も重要な部品の整備をするのに、どんな工具が必要かという知識もないまま挑戦しようというのはあまりにも危険です。ハイキングの経験しかない人がエベレストに挑むようなもの、と例えればよいでしょうか。
タイヤもブレーキも、命を乗せているものです。特に自動車部分の整備については、よくよく慎重にするべきです。

車は命を乗せている。「生兵法は大けがのもと」と言われる通り、特に足回りは簡単に考えるべきではない

居住部分のDIYは

では、家部分の整備・DIYは簡単なのかというと、そうとも言い切れません。
DIYでトラブルになりがちな箇所についてご説明しましょう。

■電気
自動車部分も居室部分も、使用する電気は直流12V(一部24Vの車両も)です。一方、一般家庭は交流100Vなのでそれに比べれば電圧は低いのですが、電気の特性から、直流12Vのほうが実は出火する危険性は高いのです。事実、国交省の調査によれば、車両火災原因の過半数は後から付けたアクセサリー類の配線不良などによるものだという報告もあります。直接電気配線を触らなければ大丈夫かといえば、さにあらず。ここにちょっと収納があるといいのに……と、気軽に棚を増設するなどよく聞く話ですが、はたしてそこは、釘を打ってもいい場所でしょうか? 見えないだけで、裏には配線や配管が通ってはいないか? などなど、金づちをふるう前に確認したいことはたくさんあります。

■家庭用エアコンやバッテリーの増設は?
最近よく見かけるDIYが、こうしたインフラ整備にまつわるもの。日本製の家庭用エアコンは非常に優秀で、省エネにも優れています。キャンピングカーにとっては非常にありがたい製品です。バッテリーも、外部からの電源供給のないところで連泊したい人にとっては、ぜひ増やしたい設備のひとつでしょう。

ですが、これらの機器にはかなりの重量があります。いくらベース車両がトラックや商用バンだったとしても、また、室内に十分な面積・体積があるように見えても、素人考えで取り付けると、全体の重量配分に大きな影響を及ぼします。そうしたバランスの悪さが、タイヤのバーストなど、大きな事故の引き金となる可能性もあります。そもそも、重量をそれだけ増やしても大丈夫なのか。全体の重量バランスは適正なのか。十分な検討が必要です。

電気の配線は目に見えないだけに簡単に考えてしまいがちだが、一歩間違えれば火災につながるのだ

ディーラーに頼むと、本当に高いのか?

多くの人がDIYに踏み切る理由としてよく聞かれるのが、
「ビルダーに頼むと高い」「オプション設定があったが、自分でやった方が安い」という意見です。中には「(高い工賃は)ビルダーのぼったくりだ」なんていう人までいます。
しかし、本当にそうでしょうか?
DIYの結果については、すべての責任はやった本人にあります。失敗したからといって、誰にも責任は問えませんし、まして保証は受けられません。ただただ「やっちまった……」と反省するしかないのです。反省で済むならまだしも、場合によっては致命的な故障につながるなど、かえって代償が高くつくこともあり得ます。
その点、プロは異なります。失敗すればクレームが来ますし、なにより信頼に傷がつきます。どんな補修修理もカスタマイズも、プロですら一回で成功させられる保証はありません。失敗した場合の補償まで担保するために、彼らは技術を磨き、必要な資材を常備しているのです。そのための費用は、当然、料金に反映されます。

オプション類が高価なのにも、それなりに理由があります。
たとえばインバーター。安価な海外製品がネットショップなどで売られていますが、ハッキリ言って品質は「それなり」です。それを承知で「2年もてばラッキー」と割り切り、壊れたらまた安価なものを買う、というのも一つの方法です。ですが、ビルダーがオプションとして設定するにあたって「安価な海外製品なので壊れやすいです。でも壊れたら交換しますからご心配なく」ということはありません。
オプションとは、信頼のおける製品を選んで採用し、さらに万が一の故障時の代替品をストックして成立するものなのです。そう考えれば、ある程度コストがかかるのも当然だと理解できるでしょう。

コピー商品には要注意!

最近はFFヒーターの格安コピー品がネットに出回っています。正規品の1/6以下の価格のものもあり、一部のユーザーの間で話題になり、実際に導入した方もいるようです。しかし、なにしろ燃焼式のヒーターです。火災や一酸化炭素中毒の可能性を考えると、信頼できる製品だといえるでしょうか。実態もはっきりしないような会社の製品を使うなら、万一のリスクのことまで考慮する必要があるでしょう。

ここまで注意点を書きましたが、DIYを否定するつもりは全くありません。むしろ積極的に愛車にかかわり、理解を深めることにもなるのでお勧めしたいとさえ思います。ですが、「何でもかんでもDIY」という考えには「ちょっと待って」と注意を喚起したいのです。
自分にできること・できないことを見極めること。少しずつでも失敗と成功の経験を重ねること。そして何より「ぼったくり」などと疑わず、ビルダーさんと良いお付き合いをすること。プロの知恵を賢く借りて、安全に楽しんでこそ、真のDIYだと思うのです。

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PROFILE

渡部竜生(わたなべ・たつお)キャンピングカージャーナリスト

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サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり。

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