マストリスト

ダウンジャケットの弱点を技術で克服 アークテリクスのサーミーパーカ

  • マストリスト
  • 2018年12月25日

  

この数年、アウトドアウェアを街中で着こなす男性が増えている。カジュアルでちょっとオシャレで着心地もいい。本コラムでは、ファッション性と機能性を兼ね備えたアウトドアブランドが展開する「これさえ持っていれば間違いない」というマストバイなウェア、グッズを紹介していく。

一見コットンのようにも見えるが、ポリエステル素材を採用している

適材適所の素材配置と完璧な防水

アークテリクスには「24」と呼ばれるデイリーユースを意識したラインが存在する。そのコンセプトは「アクティビティーからシティーライフまで24時間着られる服」。そんな同ラインを象徴するダウンジャケットが「サーミーパーカ」だ。

サーミーパーカは、アークテリクス24ラインにとって初のダウンアイテム。高品質の750フィルパワーのヨーロッパ産グースダウンをふんだんに使用している

重量が同じであれば、あらゆる素材の中で最も保温性が高いことで知られるダウン。しかし一度水を含むと羽毛が閉じてしまうため、保温性を取り戻すまでに時間がかかるという弱点を持っている。

こうした事情を踏まえ、かつてのアークテリクスはジャケットの中綿には化学繊維を採用していたが、やはりダウンの保温性の高さは魅力的。そこでアークテリクスは、湿気やぬれに対する対策を十二分に凝らしたダウンジャケットの開発に着手。結果、誕生したのが「サーミーパーカ」だという。

同社がダウンジャケットの弱点克服のために採用したのが「ダウンコンポジットマッピング」と呼ばれる技術。大半の部分に上質なダウンを使いつつも、フードや脇の下や首回りなど、湿気のたまりやすい場所には独自開発した化繊中綿「コアロフト」を使った。暖かくコンパクトになるダウンと湿気に強いコアロフトを適材適所に配置したというわけだ。

フード、首、わきの下には、ダウンに近い膨らみと機能をもった独自開発の化繊「コアロフト」を使用している

さらに表地にゴアテックスファブリックを使用し、縫い目にシームテープで目止めを施すことで完全防水を実現した。実はアークテリクスは、このシームテープにもすさまじいこだわりを持っている。

元々ゴア社がアウトドアメーカーに供給していたシームテープは22mm という非常に太いものだった。湿気を逃してくれるゴアテックス素材だが、実はこのテープが貼られている部分は例外。テープの幅が太ければ太いほど蒸れやすくなるというわけだ

そこでアークテリクスは、ゴアテックスのシームテープを自社工場で細く裁断し、縫い目をギリギリ隠すことができる極細のテープを製作。ちなみに、この極細シームテープを採用しているアウトドアブランドはアークテリクス1社のみだという。いったいどうしてなのだろうか?

「細いテープで縫い目をシーリングするには高い技術が必要です。この作業をこなせる職人というのはなかなかおりません。また詳細に関しては企業秘密になるんですが、実はシームテープを貼る下準備として、ある作業工程を採用しているんです。これは他社には絶対にまねできないと思いますよ。アークテリクス社内にいるエンジニアが旋盤を使って、その工程のために、わざわざカスタムメイドの工作パーツを作っていますから。そこまでするアウトドアメーカーは他にはないと思います」(アークテリクス コマーシャルマネージャー・高木賢さん)

画像の「ベータ AR ジャケット メンズ」(税込73,440円)には、世界で最も細いという8ミリのゴアテックスのシームテープが使用されている。同じ細さにチャレンジしたアウトドアブランドが1社だけあるが、1年も経たないうちにやめてしまったという

デイリーユースに配慮したデザイン

着丈が長いため、ジャケットの裾までしっかり隠してくれる。段差をつけた前立てのデザインが印象的

デイリーユースを意識した「24」シリーズのスタート時に投入されたアイテムとあって、そのデザインもスマートの一言。前立てのデザインも手伝って、フロントジッパーを上げた状態でもシャープな印象は変わらない。ハーフコートほどの着丈があるため、スーツの上から羽織っても違和感がないことから、30代から40代のサラリーマンの愛用者も少なくないという。

雨を防ぎつつ、しっかりと視界を確保してくれるフード

またフードには登山用シェルで培った技術を応用し、頭部を包み込むよう立体的に仕上げているため、首を振っても視界が遮られることがない。首や頭の防寒はもちろんのこと、軽い雪や雨の際にも威力を発揮することだろう。

しっかりとアジャストする設計のフード。このポテンシャルの高さ、実用性の高さは使ってみないとわからないかもしれない

初お目見えから5年が経過しているサーミーパーカだが、実はこれまでにマイナーチェンジを一切行っていないという。その理由は「改善すべき点が存在しないから」(同社・高木さん)。まさにアークテリクスを代表する“自信作”なのだろう。

よりリーズナブルなダウンウェアは多数存在する。だが、これ以上ないほどに丁寧に作られ、また流行に左右されないスマートなデザインを考えれば、9万円弱というお値段は、決して高いものではないだろう。

ARC'TERYX(アークテリクス)公式サイト
https://www.arcteryx.com

サーミーパーカ
89,640 円(税込)

https://arcteryx.com/jp/jp/shop/mens/therme-parka

取材・文/吉田大
撮影/今井裕治

[PR]

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

今、あなたにオススメ

Pickup!