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ランニングのパフォーマンス向上!? ランナー必須の正しいストレッチ

  • 文・山口一臣
  • 2019年1月18日

FluxFactory / Getty Images

2019年の箱根駅伝は青山学院大の5連覇を阻んだ東海大が悲願の初優勝を遂げた。初出場から46年目にして大会新記録の10時間52分09秒を樹立する見事な勝利だった。王者青学も5連覇は逃したものの区間賞連発で、執念の総合2位と復路優勝をもぎ取った。両校に共通するのが、フィジカル強化=カラダづくりへの取り組みをしっかり行ってきた評判のチームだということだ。

一般にフィジカル強化といえば筋力トレーニングとストレッチのことである。とくにストレッチはパフォーマンス向上だけでなくケガの防止という観点からもとても大事だと言われている。しかし一般アマチュアランナーにとっては、わかっちゃいるけどなかなかできないのもストレッチというやつだ。「練習前にはしっかりストレッチをすること」とあらゆる本に書いてあるが、時間がもったいないという思いと、早く走り出したいという気持ちからついおざなりになってしまう。私もそんなダメダメランナーの典型だった。しかし箱根駅伝を見て一念発起、いまさらながらだが今年を「ストレッチ元年」とすることにした(笑)。

そこで訪れたのが全国でリラクセーションサロンを展開している「ラフィネ」の銀座店だ。ラフィネといえば都内近郊のランナーにとっては日比谷や神田のランニングステーションとしても知られている。実は、このラフィネには「ラフィネ陸上部」という東日本実業団駅伝やプリンセス駅伝にも出場している実業団チームがあって、所属選手が普段は“セラピストランナー”として、各店舗で施術を行っている。しかも、昨年からこのセラピストランナーのみが行える「快足ストレッチ」というサービスを始めた。現役の実業団ランナーのカウンセリングを受けながら脚のケアをしてもらえるというのである。

この日対応してくれたのは箱根駅伝の覇者、東海大陸上部OBの福村拳太選手(24)だ。聞けば、ラフィネ陸上部には東海大のOBが4人いるという。男子でいえば、ほかにも順天堂大、日体大、大東文化大、中央学院大、東京国際大、上武大……と箱根常連校の出身者が目白押しだ。そんなプロランナーによるストレッチとはどんなものなのか。いやがうえにも期待が膨らんでくる。施術前にまずはストレッチに関するうんちくを聞いた。

実業団選手としても活躍するセラピストランナーの福村拳太さん

「ランナーは実際に走っているときよりも走る前の準備が大切です。私たち実業団ランナーは走るまでの過程をとても大事に考えています。ストレッチは練習や大会を控えたランナーのウォーミングアップに効果があり、短い時間であってもストレッチをやってから走るのとやらないで走るのでは感覚が全然違います。正しいストレッチを行うと筋肉がぐうっと伸びて、可動域が広がって、走っているときの動きがよくなる。軽く走れるという感じです。カラダが走りやすくなると、ランニングのパフォーマンスが上がるだけでなく、走ることが楽しくなる。ひいては練習が苦じゃなくなるという効果もあるんですよ(笑)」

そうか、実業団選手でも練習が苦になることがあるんだ、と妙に感心してしまう。福村さんによると、ストレッチには運動前(アップ時)と運動後(ダウン時)の大きく分けて二つの種類があるという。アップ時は反動をつけるなどカラダを動かしながら行う「動的ストレッチ」が適していて、ダウン時は筋肉をジワーッと伸ばす「静的ストレッチ」がいいのだそうだ。いちばんの違いは筋肉を伸ばす時間だ。動的ストレッチでは1回3秒くらい。筋肉に刺激を与え、カラダの動きをよくすることを目的としている。静的ストレッチは1回20秒以上、時間をかける。筋肉の疲労を抜くのが目的だという。

もともと私にはカラダが硬いという悩みがあった。どのリラクセーション店に行っても「お客さん硬いですねェ」と言われるしまつだ。カラダが柔らかくなると楽に、しかも速く走れるようになるという話もよく聞く。本当だろうか? 福村さんはこう断言する。

「それはもちろん、その通りです。実業団ランナーはみんな継続的に正しいストレッチをやることで柔らかいカラダを維持しています。僕自身も以前は硬い方でしたが、高校や大学の部活を通じて改善しました。新入生はカラダの硬い人が多いですが、上級生は柔らかい。このことを体感すると、もっとストレッチをやってみようということにつながります。私の実感としては、走る練習で頑張るより、準備やアフターケアで頑張った方が効率がいい」

つまり、カラダの硬い私のような人にはまだ“伸びしろ”があるということだ(笑)。さて、実際に「快足ストレッチ」をやってもらった。

まずは体形観察でカラダの状態をチェックする。その上で、どの部位をメンテナンスするかを四つのコースから選択する。各コース15分(体形観察は別途5分)で、もちろんすべてのコースを受けることも可能だ。私の場合、体形観察で右脚が全体的に硬く、お尻周りは左が硬いということがわかり、そこを中心にほぐすことにした。要は、バランスが悪いということだ。

福村さんが「なるほど、硬いですねェ」などと言いながら力を入れ始める。筋肉がぐんと伸びてイタ気持ちいい感じだ。ランニング中の悩みを聞かれ、左の股関節に違和感があり開きづらいという話をすると「それは、体型観察で判明した左のお尻周りの筋肉が硬くなっていることと関係しています」という。そんな会話をしながら福村さんが“問題箇所”を伸ばしてくれる。大腿(だいたい)部の外側や内側など自分一人では伸ばしづらいところをしっかりメンテナンスしてもらえるのもありがたかったが、何よりランニングのプロに施術してもらっているという安心感があるのがいい。

自分一人では伸ばしにくい部位もメンテナンスしてもらえる

この「快足ストレッチ」はレースを控えたランナーにとくに効果があるという。レース前日より前々日、もしくは3日くらい前に施術を受けて、実際に走ってカラダの動きやすさを体感してからレースに臨むとよりいい結果につながると福村さんは言う。最後に、自分一人でできる運動前のランナー向けストレッチの超入門編を4パターン教えてもらった。

両手をつないで上に上げ、体側を伸ばすように左右へ倒す。3秒伸ばしたら反対側へ。3セットくらい

自分の肩に手を置いて両肘(ひじ)で円を描くように大きく回す。肘が後ろにいったときに肩甲骨が引き寄せられるイメージで。10回程度

片足立ちになって、一方の脚を後ろ手で支えて太腿の前を伸ばす。これも片方3秒ずつ、3セットくらい

ひざを曲げ、両腕で脚を抱えるように持つ。お尻から太腿の裏側のつけねをのばす。3秒ずつ3セット程度

すぐに走り出したい気持ちは私もよくわかるが、最低でもこれだけはやっておきたいものである。

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PROFILE

山口一臣(やまぐち・かずおみ)

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1961年東京生まれ。ゴルフダイジェスト社を経て89年に朝日新聞社入社。週刊誌歴3誌27年。2005年11月から11年3月まで『週刊朝日』編集長。この間、テレビやラジオのコメンテーターなども務める。16年11月30日に朝日新聞社を退社。株式会社POWER NEWSを設立し、代表取締役。2010年のJALホノルルマラソン以来、フルマラソン20回完走! 自己ベストは3時間41分19秒(ネット)。

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