私の一枚

「マナカナ」から「三倉茉奈」になれた、社会人1年目の朝ドラ『だんだん』

  • 2019年1月28日

三倉茉奈さん(右)、佳奈さん。『だんだん』の撮影現場にて

2008年のNHKの連続テレビ小説『だんだん』は、私にとって大きな意味を持つ作品でした。同じ朝ドラの『ふたりっ子』で注目していただき、大学卒業までは学校と仕事の二足のわらじ。仕事以外に「学業」というもう1本の柱があることで安心感がありました。仕事のスケジュールが入っていなくても、「学校があるし」って。

でも大学3年生ぐらいになると、学校の友達が就活を始め、あまり授業に来なくなりました。私と佳奈はゼミも一緒だったので、2人だけ取り残された感じで、「私たちは就活しなくていいんだろうか」と本気で思うようになりました。「内定もらった!」と喜ぶ同級生の姿には、社会人という人生の次のステップにしっかり向き合うカッコよさがありました。

もちろん、その頃も仕事はいろいろといただいてはいましたが、卒業したら毎日何をして生きていこうかと不安もありました。そんな時にお話をいただいたのが『だんだん』で、大学を卒業して最初のお仕事になりました。『ふたりっ子』の時の「毎日楽しい!」という感覚とは違う責任感やプレッシャーはありましたが、「これからも役者をやっていいんだよ」って、天から導いてもらったような気がしました。

周囲の人々が恵まれた環境をつくってくれた

『だんだん』の演出のチーフは長沖渉さんで、『ふたりっ子』の演出もされていた方なのですが、『ふたりっ子』を撮影していた時から、私たちには「絶対に天狗になるなよ」と、母やマネージャーさんには「とにかく学校には行かせて、テストや運動会や、今しかできないことは必ずやらせなさい」と言ってくださいました。母も「もしTVのお仕事を辞めたくなったら、いつでも辞めていいからね」と言ってくれていました。

私も佳奈も、小・中・高を通じて一度も遠足や学園祭、運動会や定期テストを休んだことはありません。スタッフさんや周囲の方々が学業優先の方針を尊重して、苦労してスケジュールをやり繰りしてくれていたのだと思います。あんなに恵まれた環境は、なかなか得られないものだって、今になってよく分かります。本当に感謝しています。

大人の女性を演じる機会も増え、ますます活躍の幅を広げる三倉茉奈さん

1人の活動が増えたことで、2人でいる価値が高まった

『だんだん』でもう一つうれしかったのは、「あ、マナカナだ!」ではなく、三倉茉奈と三倉佳奈を1人ひとり分けて認識してもらえるようになったこと。ずっと “ニコイチ”でテレビに出ていたので、たまに1人でする仕事があっても「あれ? 佳奈は?」という空気になるし、佳奈のほうが1人で出ても「茉奈は?」となるし。自分1人では何かが足りないんだろうなって思ってしまって、私は“1/2の人間”なんだって悩む時期もありました。

でも『だんだん』は、双子でありながら全く違う人生を歩んできた2人の物語で、見た目も違っていたので、『だんだん』がきっかけで私たちを見分けてくださる方が増えたと思います。

今では8割から9割が1人ずつの仕事ですが、たまに佳奈と一緒に番組やCMに出ると、今度は逆の価値を感じていただくようになってきました。「2人揃ってるやん!」みたいな(笑)。

1/2ずつを足して「1」が当たり前だったのが、それぞれ「1」になり、その「1」と「1」が一緒になることで「えっ、5来た?」みたいなイメージになった。そうなることは私たちの目標でもありました。みなさんに慣れていただくには時間がかかったかもしれないですけど、今、そう思ってもらえることに喜びを感じています。

出演舞台『三婆』は5月31日より大阪・松竹座、7月1日から福岡・博多座にて上演

佳奈は佳奈。私は私。これからも支え合いたい

これまでいろいろな役を演じてきましたけど、自分でも「意外だな」と思える役をいただいた時は、「これを私に任せようと思ってくれたんだ!」って思ってうれしくなって、やりがいを感じます。中でも2012年の『赤い糸の女』という昼ドラは、それまで演じた役とはイメージが違う役柄を演じられたので、私にとって大きな意味のある作品になりました。『ふたりっ子』のイメージに守られていた部分がある私ですが、当たり前のことですがどんどん大人になっていくので、いつもニコニコしているだけではなく、悩むこと、怒ること、男女のこと、そういう人間としてのリアルな姿を、これからもたくさん演じたいと思っています。

5月31日からは大阪の松竹座で、7月1日からは福岡の博多座で『三婆』という舞台に出演します。主演は大竹しのぶさん、渡辺えりさん、キムラ緑子さん。皆さんと舞台でご一緒するのは初めてなので、とても緊張しています。舞台には映像作品とは違った大変さもありますが、今からとても楽しみです。

舞台があると、いつも佳奈が初日に来てくれて、ダメ出ししたり、良かったところを教えてくれたりします。双子で同じ仕事を選んだことで、悩むこともありましたし、比較してやきもちを焼いたり、ライバル心を持ったりすることもありました。でも、それぞれの生活があるいま思うことは、「佳奈は佳奈、私は私」。比較したり、へこんだりすることはなくなりました。これからも佳奈にいろいろアドバイスしてほしいし、私も佳奈を支えていきたいです。

(聞き手 髙橋晃浩)

    ◇

みくら・まな 1986年、大阪府生まれ。1996年、妹・佳奈と共にNHK朝の連続テレビ小説『ふたりっ子』に出演し話題に。2008年の『だんだん』で史上初めて朝ドラで2度目のヒロイン役を演じる。2012年のドラマ『赤い糸の女』で連続ドラマ単独初主演。以後、ドラマ、舞台、バラエティー番組などで幅広く活躍中。5月には舞台『三婆』に出演。

・5/31~6/27 大阪公演https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/sanbaba/

・7/1~7/8 福岡公演 https://www.hakataza.co.jp/lineup/201907/sanbaba/index.php

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