「憎めない奴」イタリア製3輪トラックが70周年、いまも活躍する働き者の歴史と今

写真

イタリア車といえば、フェラーリやランボルギーニなどスーパースポーツカーを真っ先に思い出す読者は少なくないだろう。

しかし、イタリアにおける2018年8月のフェラーリ新車登録台数はわずか21台。日本における同月の登録台数59台からすると、3分の1ちょっとに過ぎない(統計はイタリアUNRAE、日本JAIA調べ)。
東京の表参道あたりのほうがフェラーリを目撃する頻度が高い理由がうなずける。
一方で、イタリアの街角でフィアット車とともに頻繁に見かける車といえば、3輪トラック「アペ」である。

第2次大戦後のイタリアでは雨後の筍のようにいくつものメーカーが復興の足として3輪トラックを生産した。馬車時代の入り組んだ狭い路地が続くイタリアの旧市街で、それは商店主たちに受け入れられた。

1953年のアメリカ映画「ローマの休日」では、A.ヘプバーン扮するアン王女が城から逃げ出すために潜り込んだのも3輪トラックの荷台だった。まさか王女がいるとは疑われない乗り物だからこその使われ方をしている。

その後メーカーの淘汰(とうた)が進んだが、ピアッジョ社製「アペ」は、唯一の量産3輪トラックブランドとして、イタリア全国で安定した人気を保っている。
背景には、スクーター「ベスパ」で培った機械的信頼性と、きめ細かなサービスネットワークが存在したからに他ならない。

「アペ」の50cc仕様車は、2005年までは誰でも14歳になれば無免許で、今でも14歳になれば日本でいう原付き免許で運転が可能である。ヘルメットをかぶる必要もない。
そのため実用車であるにもかかわらず、ホビーとして楽しむファンも獲得してきた。

イタリアにはメーカー公認のファンクラブも存在する。彼らは2018年9月21~23日、北部パルマ県の歴史的温泉リゾート地サルソマッジョーレ・テルメでアペ誕生70周年のファンイベントを開催。プログラムでは会場周辺の走行会も実施された。その遅さに一般車両は思い切りブロックされてしまっていたが、それでも待たされているドライバーたちの顔に笑顔が絶えなかったのは、アペ独特の憎めないキャラクターのために違いない。

今回はイベントの模様を、著者が日頃から街角で撮りためたスナップとともにお届けしよう。

文・大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
写真 大矢麻里 Mari OYA/大矢アキオ Akio Lorenzo OYA

写真をクリックすると、大きな画像が表示されます。環境によっては表示に時間がかかる場合があります。

    [PR]