「ビーマイベイビー 信藤三雄レトロスペクティブ」 本展を見ずに、日本の音楽史は語れない!

写真

松任谷由実やピチカート・ファイヴ、Mr.Childrenなど、数々の著名アーティストのCDジャケットを制作し、音楽業界に影響を与えてきたアートディレクターの信藤三雄さん。映像ディレクターやフォトグラファー、書道家としての一面も持ち、多岐にわたるその活躍は、各方面から常に注目を集めている。

9月17日まで東京・南烏山にある世田谷文学館にて開催されている、初の大規模回顧展「ビーマイベイビー 信藤三雄レトロスペクティブ」では、80年代初期から最新のクリエーティブまでおよそ1000点にのぼる品々を展示。レコードやCD、ポスター、映像、写真、書など、これまでに手掛けてきた作品を一堂に集めている。

場内に入ってまず目に飛び込んでくるのは、MISIAをはじめとするアーティストの写真に「ビーマイベイビー」のロゴを載せたひときわ大きなビジュアルの数々。そのサイズ感と迫力に、かつて雷に打たれたような衝撃を思い出した。90年代に初めて渋谷パルコやタワーレコードの壁面で、巨大なビルボードを見た時に感じたのと同じものだ。

奥へと歩みを進めると、所狭しと壁一面を覆うアーティストのポスターが視界に飛び込んでくる。あえてフレームに入れずに隙間なくレイアウトされたポスターは、CDやレコードショップの店頭のような臨場感だ。

「展覧会の入場者数が多くてうれしいんですけど、なんでそんなに来てくれるんだろうと考えると、やっぱりみんな、レコードやCDジャケットの存在に引かれているんですよね」と語る信藤さん。

ネットでの配信が増えた昨今、音楽を買わない時代になったという声をたびたび耳にする。「音楽配信サービスが普及して、ジャケットのデザインが一般生活と切り離された時代だからこそ、この展覧会に意味があるというか。インパクトがあるのかもね」と改めて本展を振り返る。

また、今回の展覧会に合わせて制作された、信藤さんの約40年分の仕事を収めた図録は、最新作から昔の作品へと、時系列をさかのぼるような順番でレイアウトされている。

「ページをめくるほど古い作品になるはずなのに、どれが新しくてどれが古いのか、自分で見ていてもあんまり判断がつかない。常に新しいものを生み出そうと思って作ってきたくせに、不思議なもんだよね」と目を細めて振り返る。

「音楽が、人生で一番好きなことだね。僕が物を作っていく上での一番の発火点なんだ」。音楽を愛する信藤さんの思いは、アートワークとして形になり、音楽とともに私たちの記憶にとどまり続けるだろう。(文・山田敦士)

写真をクリックすると、大きな画像が表示されます。環境によっては表示に時間がかかる場合があります。

    PROFILE

    信藤三雄(しんどう・みつお)

    1948年、東京生まれ。アートディレクター、映像ディレクター、フォトグラファー。デザイン事務所、広告制作会社等を経て、1977年に独立。80年代半ば、コンテムポラリー・プロダクションを設立(~2011年)。松任谷由実、ピチカート・ファイヴ、Mr.Children、MISIAなど、日本の音楽シーンをリードする数多くのミュージシャンのCDジャケットを制作し、その数は1000枚を超える。ミュージックビデオや企業CMのディレクションも手掛け、書道家としての一面も持つ。

    EXHIBITION

    ビーマイベイビー 信藤三雄レトロスペクティブ

    2018年7月14日(土)~9月17日(月・祝)
    世田谷文学館 2階展示室
    10:00~18:00(展覧会入場、ミュージアムショップは17:30まで)
    毎週月曜日休館
    一般800(640)円、65歳以上・高校・大学生600(480)円、障害者手帳をお持ちの方400(320)円、中学生以下無料
    ※()内は20名以上の団体料金 ※9月17日(月・祝)は60歳以上無料

    [PR]