アポロ13号船長が来日、羽田でオメガが大イベント

  • 文 広田雅将
  • 2015年10月22日

10月5日に東京・羽田の大型格納庫で開催されたNASAの「シルバー スヌーピー アワード」受賞45年を祝うオメガのイベント会場の様子

写真:対談をしたアポロ13号の船長であったジェームズ・ラベル氏(左)と宇宙飛行士の山崎直子氏(中央)。司会のクリス・ペプラ―氏(右) 対談をしたアポロ13号の船長であったジェームズ・ラベル氏(左)と宇宙飛行士の山崎直子氏(中央)。司会のクリス・ペプラ―氏(右)

写真:同日昼に東京・銀座で行われた記者会見にて。中央がジェームズ・ラベル氏(アポロ13号船長)。その腕を掲げるのがステファン・ウルクハート氏(オメガ・スイス本社 社長)、右はクリストフ・サビオ氏(スウォッチ グループ ジャパン 代表取締役社長 兼 オメガ事業本部長) 同日昼に東京・銀座で行われた記者会見にて。中央がジェームズ・ラベル氏(アポロ13号船長)。その腕を掲げるのがステファン・ウルクハート氏(オメガ・スイス本社 社長)、右はクリストフ・サビオ氏(スウォッチ グループ ジャパン 代表取締役社長 兼 オメガ事業本部長)

写真:ジェームズ・ラベル氏(アポロ13号船長)の腕には、私物のスピードマスターが。1970年のアポロ13号計画では、地球から20万マイル離れた月に向かう軌道上で機会船の酸素タンクが爆発。無事帰還するには、14秒エンジンを噴射し軌道修正する必要があり、そのタイミングをスピードマスター プロフェッショナルに託した ジェームズ・ラベル氏(アポロ13号船長)の腕には、私物のスピードマスターが。1970年のアポロ13号計画では、地球から20万マイル離れた月に向かう軌道上で機会船の酸素タンクが爆発。無事帰還するには、14秒エンジンを噴射し軌道修正する必要があり、そのタイミングをスピードマスター プロフェッショナルに託した

写真:第一世代のスピードマスター(1957年)。ターゲットは、速度を求めたカーマニアやレーサーだったという 第一世代のスピードマスター(1957年)。ターゲットは、速度を求めたカーマニアやレーサーだったという

写真:<strong>スピードマスター アポロ13号 45周年記念 スヌーピー アワード</strong><br>アポロ13号45周年記念モデル。文字盤には「14秒間で何ができた?」の文字が刻まれている。手巻き。SSケース。世界限定1970本。71万円(税別) スピードマスター アポロ13号 45周年記念 スヌーピー アワード
アポロ13号45周年記念モデル。文字盤には「14秒間で何ができた?」の文字が刻まれている。手巻き。SSケース。世界限定1970本。71万円(税別)

写真:<strong>スピードマスター ダークサイド オブ ザ ムーン</strong><br>外装にすべてセラミックを用いたスピードマスター。ムーブメントは最新の自動巻きである。セラミックケース。116万円(税別) スピードマスター ダークサイド オブ ザ ムーン
外装にすべてセラミックを用いたスピードマスター。ムーブメントは最新の自動巻きである。セラミックケース。116万円(税別)

 「成功した失敗」と称されるアポロ13号計画。着陸船を救命ボートに見立てて、無事地球に生還した試みである。帰還で大きな役割を果たしたのが、オメガのクロノグラフ「スピードマスター プロフェッショナル」だ。地球へのコースを修正するため、手動でエンジンを14秒間噴射。その時間を正確にカウントしたのがスピードマスターだった。オメガの功績を賞して、1970年、NASAはオメガに「シルバー スヌーピー アワード」を授与。これは宇宙計画において、安全に功績のあった人々に与えられるものだ。

 その受賞45年を祝うイベントが、10月5日に東京・羽田で開催された。しかしアメリカでもスイスでもなく、なぜ日本で開かれたのか。理由は、日本の愛好家がとりわけスピードマスターを好むため。いいかえれば、日本人の宇宙に対する憧れは格別なのかもしれない。

 主な参加者は、オメガのCEOであるスティーブン・ウルクハート氏、オメガ博物館館長のペトロ・プロトパパス氏、アポロ13号の船長であったジェームズ・ラベル氏、宇宙飛行士の山崎直子氏、漫画家の松本零士氏など。加えて会場には宇宙計画で用いられたり、関係者に贈呈されたモデルだけでなく、新作のスピードマスター「アポロ13号 45周年記念 スヌーピー アワード」や「ダークサイド オブ ザ ムーン」なども並べられた。

 イベントの開始にあたって、ウルクハート氏が挨拶(あいさつ)をした。「アポロ13号の乗組員が地球に生還できたこと、そこにオメガが貢献できたことは、100年先でも思い出されるでしょう」。続いてラベル氏が日米同盟の強固さとそれを繋(つな)いだオメガに謝辞を述べた後、山崎氏との対談が始まった。

 宇宙の魅力と、地球の素晴らしさを語り合う山崎氏とラベル氏。司会のクリス・ペプラ―氏がラベル氏に質問を投げた。「アポロ13号以外に大変だった経験はありますか?」。ラベル氏は即答した。「あれ以上の経験はありませんね。いまだにはっきり覚えていますよ」

 帰還の絶対条件は、エンジンを噴射する秒数を正しくカウントすること。ムーブメントを二重ケースで保護するスピードマスター プロフェッショナルは、軌道修正時の強い衝撃に耐えて14秒を正確に刻んだのである。NASAの採用テストを勝ち残ったスピードマスターの頑強さがなければ、アポロ13号のクルーは無事に帰還できなかったかもしれない。メーカーとしては例外的に、シルバー スヌーピー アワードが与えられた所以(ゆえん)だ。

 アポロ13号の帰還から45年たつが、ラベル船長にとってはそれこそ昨日の出来事のようだったに違いない。事実、彼の腕に巻かれていたのは、最新のスピードマスターではなく、彼が長年愛用してきた、当時のスピードマスターであった。

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PROFILE

広田雅将(ひろた・まさゆき)

時計ジャーナリスト。1974年大阪府生まれ。サラリーマンなどを経て現職。現・時計専門誌クロノス日本版(www.webchronos)主筆。国内外の時計賞で審査員を務める。趣味は旅行、温泉、食べること、時計。監修に『100万円以上の腕時計を買う男ってバカなの?』『続・100万円以上の腕時計を買う男ってバカなの?』(東京カレンダー刊)がある

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