中村江里子 パリからあなたへ

まさか「シラミ」と格闘することになるとは

  • 文 中村江里子
  • 2015年1月27日

写真:子どもが学校から持ち帰ってきた小冊子。タイトルはそのまま「シラミ」。保管しておこうと思っています 子どもが学校から持ち帰ってきた小冊子。タイトルはそのまま「シラミ」。保管しておこうと思っています

写真:このページには例えば「髪がショートカットでもシラミはやってきますか?」「はい」、「シラミがいる時、学校には行けますか?」「はい、でもケアをして、先生にも報告をしてください」などと書かれています。次のページにはケアの仕方も丁寧に書かれているのです このページには例えば「髪がショートカットでもシラミはやってきますか?」「はい」、「シラミがいる時、学校には行けますか?」「はい、でもケアをして、先生にも報告をしてください」などと書かれています。次のページにはケアの仕方も丁寧に書かれているのです

写真:一応、キープしておいたシラミ用シャンプー。シャンプーによって使用方法が異なる場合もあると思いますが、このシャンプーは乾いた髪につけて、軽くマッサージ。15分おいた後、よく洗い流す。その後、髪を4ブロックに分け、専用の櫛で丁寧に髪を梳かしていくというもの。洗髪後、よく乾かすこともとても大切です 一応、キープしておいたシラミ用シャンプー。シャンプーによって使用方法が異なる場合もあると思いますが、このシャンプーは乾いた髪につけて、軽くマッサージ。15分おいた後、よく洗い流す。その後、髪を4ブロックに分け、専用の櫛で丁寧に髪を梳かしていくというもの。洗髪後、よく乾かすこともとても大切です

写真:シラミ用の櫛と一般的なものを比べてみました。目が細かく重みもあります シラミ用の櫛と一般的なものを比べてみました。目が細かく重みもあります

写真:我が家で常備しているラベンダーエッセンスです。数滴、耳の後ろや襟足の部分につけます。3歳以下の子どもにはそのままつけると刺激が強いので、オイルなどと混ぜてつけます 我が家で常備しているラベンダーエッセンスです。数滴、耳の後ろや襟足の部分につけます。3歳以下の子どもにはそのままつけると刺激が強いので、オイルなどと混ぜてつけます

写真:ファーマシーの棚です。上段がシラミ用の商品。下段が虫除(よ)けの商品です。シラミが増えてくると、ファーマシーのウインドーにシラミ用商品のポスターが貼られます(写真 中村江里子) ファーマシーの棚です。上段がシラミ用の商品。下段が虫除(よ)けの商品です。シラミが増えてくると、ファーマシーのウインドーにシラミ用商品のポスターが貼られます(写真 中村江里子)

 今から7年ほど前、長女が幼稚園に通園し始めました。ある日、娘を送っていくと入り口に貼り紙がありました。

 「注意:Poux(プー)が出ました。スプレーなどで予防してください」

 Pouxという言葉の下には虫のイラストが描かれていました。蚊でもハエでもないこの虫は何なのだろう? 家に戻って辞書で調べると「シラミ」とありました! 私にとってシラミとは、戦中・戦後の衛生状態の良くない時に発生したものという認識です。

 シラミが出るなんて、どういうことなのだろう? 戸惑う私でした。「いやよね~、またシラミが出てきたのね。前回、うちの子、大変だったから気をつけなくちゃ」と普通に会話をしているフランス人のママたち。残念ながらフランスでは、驚くべきことではなかったのです。正式には「アタマジラミ」というもので、人間の頭部に寄生して吸血し、それによって痒(かゆ)みが出てくるのです。

 例えば、子どもたちが教室で遊びに夢中になり、頭を突き合わせていたり、シラミのいるお友達の帽子やブラシを使ったりしたことで広がっていきます。フランスでは3歳から11歳の子どもに多く発生するといわれています。大人は、子どもの添い寝などをしている時にうつされてしまうことが多いようです。

 「フランス人って不潔なんでしょう?」と聞かれることがありますが、正直、わかりません。夫や友人たちは、毎朝シャワーを浴びています。我が家の子どもたちもきちんとお風呂に入れています。子どもたちのお友達が泊まりに来ても、不潔な子はいません。

 シラミは不潔にしているから発生するわけではない、と「シラミに関する小冊子」で読みました。清潔にしていても予防は難しいのだそうです。実は、長女が5歳の時にシラミがやってきました。忘れもしません。1月でした。その数日前から頭を頻繁に搔(か)いているので、乾燥のせいかと思っていました。クリームをつけても治まらないので、皮膚科に連れていくと「あ、シラミがいますね」と。もう目の前が真っ暗でした。私がもっと気を付けていればと落ち込んでしまいました。

 その週末、長女の仲良しのお友達が我が家にお泊まりに来る予定でした。ところが、ご両親から「娘にシラミがいるので、お泊まりを延期してほしい」と言われました。どうやらそのお友達からうつってしまったようです。さて、ここからが大変。数日おきにシラミ除去用のシャンプーで時間をかけて頭髪を洗い、シャンプー後は専用の櫛(くし)で頭髪全体を丁寧に梳(と)かしていきます。頭が触れた枕カバー、シーツ、帽子、セーターなどは毎日、60度以上の高温で洗濯をします。洗えないものはビニール袋に入れて1週間ほど置いておくという方法もあるようです。また洗髪も、ビネガー(酢)を使うと効果的だということも知りました。

 あまり詳細を書くと、痒(かゆ)くなってきそうで申し訳ないのですが……。シラミの産卵数は一日に3~4個、1カ月でおよそ100個。約1週間で孵化(ふか)して、吸血を繰り返し3回の脱皮後、約2週間で成虫になるのだそうです。成虫は黒っぽく3ミリくらいの大きさですが、卵は薄い茶色です。

 卵は一見、黒髪の人にはフケのようにも見えますが、髪の毛にしっかりとついていて簡単には取れません。日当たりの良いキッチンに娘を座らせ、数時間にわたってサルの親子のノミ取りのように、卵を一つずつ取っていったのは今となっては思い出です。結局、その年はクラスの中でシラミが繰り返し発生したため、私は娘の長かった髪の毛を耳の下でスッキリと切ってしまいました。

 翌年はファーマシーで勧められた予防のスプレーを使いましたが、臭いがきつく、まさに殺虫剤でした。頭皮にもあまり良くないのではないかと思い、色々と探した結果、ラベンダーエッセンスが予防になると知り、それ以降、我が家では常備しています。リラックス効果もあるので、お風呂にも入れています。

 シラミが発生しやすいのは、耳の後ろあたりと後頭部です。湿気が多い部分なので、長髪の子はポニーテールにして予防をしています。今では「シラミに注意!」という貼り紙が出ると、毎朝、登校前の子どもたちの耳の後ろと後頭部にエッセンスをつけています。幸い、あれ以来、我が家にはシラミはやってきていません。

 パリに来て、まさかシラミと格闘することになるとは思っていませんでした。今ではシラミと聞いても動じなくなった私です。でも「シラミ退治が大変なのよ~」と明るく言えるフランスっていいなあとも思う今日この頃です。

 次回は2月10日の配信を予定しています。

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PROFILE

中村江里子(なかむら・えりこ、Eriko Barthes)

1969年東京都生まれ。立教大学経済学部卒業後、フジテレビのアナウンサーを経て、フリー・アナウンサーとなる。2001年にフランス人のシャルル エドワード バルト氏と結婚し、生活の拠点をパリに移す。妻であり、3児の母でもある。現在は、パリと東京を往復しながら、テレビや雑誌、執筆、講演会などの仕事を続ける。著書に『エリコ・パリ・スタイル』(マガジンハウス)、『ERIKO STYLE暮らしのパリ・コラージュ」(朝日新聞出版)、『女四世代、ひとつ屋根の下』、『マダムエリコロワイヤル』」(ともに講談社)、新刊『ERIKO的 おいしいパリ散歩』(朝日新聞出版)と多数。


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