金を語ろう

根強い需要が支える「ゴールド」の価値

  • 対談 豊島逸夫さん×江連裕子さん(前編)
  • 2015年8月28日

豊島逸夫さん(左)と江連裕子さん

  • 豊島逸夫さん(左)と江連裕子さん

  • 豊島逸夫さん

  • 江連裕子さん

  • 豊島逸夫さん

  • 江連裕子さん

  • 豊島逸夫さん(左)と江連裕子さん

 経済アナリストの豊島逸夫さんと、長く「金」のテレビ特番で豊島さんとコンビを組んだキャスターの江連裕子さんが、世界の金市場をまわった印象や、経済が変動するなかでも根強い需要を誇る金の魅力をテーマに語り合った。

後編はこちら

金価格の底は抜けない

豊島 江連さんとは金の番組で、世界の主な市場をずいぶん取材しました。

江連 そうですね。北京、ドバイ、シンガポール、ニューヨーク……。それぞれの国にそれぞれ違った金の文化、金に対する考え方があって興味深かったです。

豊島 北京では庶民が普段着のままゴールドショップを訪れ、ジュエリーなどを熱心に選んでいる。男性でも自分用の金の指輪を購入する人が多いなど、日本とはずいぶん雰囲気が違いました。

江連 よく覚えています。とても熱気があって、デパートの初売りみたいだと思いました。

豊島 経済のプロは、中国で金が売れていると聞くとそこから今後の中国経済を占う、といった余計なことを考えがちですが、彼らにとって金を買うのは日常的な消費行動であることが、現地に行くとよくわかります。もしもあるとき金がよく売れているとしたら、それは価格が下がっているから。安いときに買うというシンプルな原理で動いているだけなんですね。

江連 内陸部から出稼ぎに来て、親に金の指輪を買って帰りたいと話してくれた男性もいました。金に対するそうした感覚は日本人にはないものですが、親のためにという気持ちそのものはよくわかると思いました。

豊島 インドでは、娘が嫁ぐときにできるだけ多くの持参金ならぬ「持参ゴールド」を持たせたいというのが親の願いです。子どものためなら多少無理をしてでも、という親心は世界共通ですから、インドでは経済が失速している時期にも金の需要はあまり減らない傾向があります。

江連 ドバイのゴールドショップにも独特の華やかさがありました。特に女性たちがみんなおしゃれなことが印象に残っています。黒い民族衣装で体を覆っていても、わずかに見える部分にぜいたくに金を身につけていました。

豊島 彼らに共通するのは、純粋に金が「好き」だということです。できるだけ安く買い、高く売ってもうけようといった意識はほとんどない。

江連 世界的に著名な投資家のジム・ロジャーズさんが来日した際、番組で一緒に東京のゴールドショップに行きましたが、金のお箸やカップなどをいくつも購入していましたね。日本の金の工芸品は細工がとても繊細なので、そばに置いておきたくなるとおっしゃっていました。

豊島 彼にはまだ小さい娘が2人いるので、買った金はすべて娘たちに残すのだそうです。親に指輪を買ってあげたいという中国の男性もそうですが、大切な家族に贈る、残すということを考えたときに、金を選ぶ人が多いようです。そして、こういう需要はとても根強い。今、金の価格は数年ぶりに大きく下がっていますが、世界最大の人口を抱える中国やインドで金を買い求めているのは、モノとしての金の価値を深く愛する人々です。売ってもうけることが目的ではない。こうした文化が根強く生き続けているかぎり、金の価格は一時的に下がっても決して「底が抜ける」ことはない。それが、株や国債などと金の大きな違いです。

〈後編はこちら

    ◇

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島逸夫事務所代表/経済アナリスト。スイス銀行チューリヒ・NYでの豊富な相場体験をもとに金の第一人者として活躍中。

江連裕子(えづれ・ゆうこ)
キャスターとしてTBS、テレビ東京などで活躍。9年間務めた日経CNBCキャスター時代に豊島逸夫さんと世界の金市場取材を経験。現在、東証一部上場企業社外取締役。

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