〈リノベーション・スタイル〉子どもの能力を引き出す、もっと自由な子ども部屋を

多くの子どもたちが、新型コロナウイルスの影響で外で遊べず、家で過ごす時間が長くなりました。子どもとじっくり向き合えるこんな時期だからこそ、子ども部屋や子どもスペースについて考えてみませんか?

&wの連載「リノベーション・スタイル」の筆者であり、数多くのリノベーション事例に携わってきたブルースタジオの建築家で執行役員の石井健さんに、いま時の子ども部屋事情についてお話を聞きました。今まで手がけたリノベーションの事例から、「子どもの成長に合わせてスペースを変える家」「50平米のコンパクトな家」「子どもを怒らない家」など参考になるものを四つ選び、あわせて紹介します。

そもそも子ども部屋はいるの? いらないの?

僕の答えは、「どちらでもいい」ですね。要不要ではなく、「子ども部屋は、子どもにとって何をするための場所?」という、根本的なところに立ち返って考えることが大切だと思います。そして、一般論ではなく「うちの子どもの場合は?」という視点を持つといいですね。

子どもの性格、年齢、受験をするかどうか、親の考え方などによって、いろいろなパターンがあると思います。僕たちはリノベーションをするとき、「100の家族には100通りの暮らしがあります。あなたはどんな暮らしをしたいですか?」と質問をします。子ども部屋も同じように、使い方によってもっと自由に考えていいと思います。

ここで、具体的な事例を二つご紹介します。一番悩んでいる人が多いと思われる、「子どもの成長に合わせてスペースを変える」事例です。

6歳の姉、2歳の弟の兄弟のいるご家族なのですが、いまは子どもたちはまだ小さいので、親の目が届くリビングを子どもスペースとして使っています。

玄関から家のほぼ真ん中にあるキッチンを通りリビングへ

成長したら、家族の寝室として使っている部屋を二つに分けて、子ども部屋にする予定のため、寝室のドアは初めから二つ作りました。両親の寝室は、リビングの子どもスペースに移動します。

また、リビングに子どもスペースがあることにより、大人スペースとのすみ分けができるというメリットも。子どもは思いっきり遊ぶことができ、大人はゆっくりくつろげるようになっています。

将来の子ども部屋になる寝室は、二つに分けることを考えて、ドアは二つある(右からドア二つが寝室)
リビングに作った子どもスペース。小上がりとロフトが印象的。子どもと大人のスペースを作ることで、リビングに「おもちゃがあふれなかなか片づかない」を解消

二つ目の事例も、同様にリビングに子どもスペースがあり、将来は寝室を子ども部屋にする予定のお宅ですが、全く違う雰囲気になりました。
キッチンカウンターを兼ねるダイニングテーブルはダブルベッドくらいの大きさがあり、親が料理しているときに、子どもたちはここで宿題などもできます。
子どもがパソコンを使うようになったら、親子で一緒に様々な情報に触れることもできますね。親は子どもの様子をみていられて、子どもも安心して学びに向き合えるような空間になっています。

家族のコミュニケーションを最優先に考えた空間構成のLDK
リビング壁の一面は造作本棚。センターテーブルは今のところレゴ専用

どんな子ども部屋にする?

もちろん、親がよく考えて子ども部屋を作ったとして、子どもが思った通りに成長するとは限りません。でも、やっぱり考えることは必要だと思います。

何も考えずに子ども部屋を作ると、子どもの本質を見ないことになりかねない。「子ども部屋は、子どもにとって何をするための場所?」と考えると、勉強でも遊びでも趣味でも、子どもの得意なことや好きなことがわかってくる。「じゃあ、どんな部屋にする?」と広げていくといいと思います。

そこで、三つ目は「50平米というコンパクトサイズの家」の事例です。先に紹介した事例より少し成長した、10代のお子さんのスペースです。

壁をはさんで右手がリビング、左手が子ども部屋

このお宅は、50平米というコンパクトサイズです。スペースが狭いから個室は無理と諦めがちですが、こちらの家族は「それぞれのパーソナルスペースが欲しい」という相談でした。そして、いろいろ話を伺った結果、リビングの一角に壁で仕切った子ども部屋を作りました。勉強机は、リビングのほうに配置。夜は両親が寝室に移動するので、リビングは娘さんだけになり、個室の雰囲気を味わえます。

この間、改めて娘さんの話を聞く機会があり、コンパクトだけど快適だと話してくれました。リビングでの勉強も、両親にアピールできていいと言っていました(笑)。

キッチンを背にLDKを見る。壁の向こうは子ども部屋

子どもの「学び」のために、住まいができること

今回のコロナウイルスの件でも実感しましたが、子どもを取り巻く「学び」の環境も、日々変わっていくのかもしれませんね。さらに今後、AIが発達してくると、「学び」の概念がますます変わっていくのではとも思います。「学び」の場の一つは学校ですが、家での「学び」も重要視されるように思います。AIにはない僕たちが本来持っている「人間力」を養うために、例えば、ものを整理して片づける、手際よくおいしい料理を作るなど、家でできることも多いはず。家づくりのコンセプトも変わるでしょうね。

最後、四つ目の事例は「子どもを怒らない家」。毎日の暮らしの中で、「早く片づけなさい!」「おもちゃを散らかさないで」と子どもを怒ってしまうことがあります。これは、親も子どももストレスです。

おおらかな雰囲気のリビング。「子どもを怒らない家」は大人にとっても快適

「親子でストレスをなくし、おおらかに暮らしたい」というのが、ご夫婦の希望でした。そこで、大きめのランドリースペースを作り、ものを一元管理。シンプルなルールで子どもが迷わなくなり、片づけられるようになりました。また、リビングの隣に子どもの遊び場を作り、散らかしてもいいスペースにしました。
家が子どもの成長に影響するかもしれないという、興味深い事例です。

バルコニーに面した7畳のランドリールーム。クローゼットを兼ねておりこの部屋で洗濯から収納まで完結できる

家はそこに暮らしている人が主役です。家に暮らしを合わせるのではなく、暮らしに合わせて家を作ります。家にいる時間が長いときに、「子ども部屋をどうするのか?」だけではなく、「暮らし全体をどうしたいのか?」と考えてみてもいいですね。

(ブルースタジオ 石井健/構成・大橋史子)

PROFILE

石井 健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

http://www.bluestudio.jp/

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