家族のPCで、夏休みにグランプリ作品を制作。小学生の原動力と日常生活

子どもたちがプログラミングを使った発想力や技術力を競う「全国小中学生プログラミング大会」。昨秋開かれた第4回大会で、350点余りの応募作からグランプリに選ばれたのは、東京都内の公立小学校に通う小長井聡介君(当時2年生)の作品でした。
審査員からは、独創性や現地調査などの作品への丁寧な姿勢が高い評価を受けました。この作品はどのようにして生まれ、小長井君は普段、どのような生活を送っているのでしょうか。ご両親と一緒にオンラインで話を聞きました。

スクランブル交差点を再現

小長井君の作品は、東京・渋谷のハチ公前にあるスクランブル交差点の様子をコンピューターでシミュレーションしたプログラム「現実シリーズ2 渋谷スクランブル交差点信号機」。最初に渋滞の状況を設定すると、画面には上空から見た交差点がリアルに再現されるというもの。信号が変わると、設定に応じて無数の自動車やバス、歩行者が動き出し、見ているだけで楽しくなる作品です。

渋谷のスクランブル交差点の様子を緻密(ちみつ)に再現したグランプリ作品「現実シリーズ2 渋谷スクランブル交差点信号機」(大会実行委員会提供)

使用したのは、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボのグループなどが開発した「Scratch(スクラッチ)」という無償の教育プログラミングツール。子どもたちを中心に世界各国で使われており、難しい構文を覚えなくても、「○回繰り返す」「ずっと(○○を続ける)」と書かれた「ブロック」と呼ばれるパーツを画面上で組み合わせることで、プログラムを組むことができ、完成した作品をオンライン上で他人と共有することも可能です。

本を片手に家族共用のパソコンで作成

小長井君が「Scratch」を知ったのは、小学1年の時に見たという子ども向けの教育番組。番組では「Scratch」でコンピューターに楽器を演奏させており、「面白い。自分もやってみたい!」と、地元の図書館に行き、プログラミングの本を何冊も借りたそうです。本を片手に、家族共用のパソコンを使い、実際にプログラミングに挑戦。最初は難しく感じたこともあったけれど、「慣れるとイメージ通りに動かせるようになった」といいます。

小長井君の趣味の一つは読書。図書館ではプログラミングのほかにも、図鑑や絵本など、さまざまなジャンルの本を借りるという(本人提供)

小長井君はみるみる腕を上げ、1年生の冬には早くも最初のオリジナル作品を完成。題材にしたのは大好きな電車のホームドアで、駅に止まった私鉄の車両とホームのドアが、連動して開閉する様子をプログラムで再現しました。プログラミングに興味を持つ子どもやメンターが参加するコミュニティーで作品を発表すると、「着眼点が面白い」と褒められ、これが一つの励みになり、いろいろな作品づくりへの挑戦につながりました。

自分の体験と、地道な調査

近所の信号機のしくみに興味があり、シンプルな交差点もScratchで作ったという小長井君。これが上手くできたこと、また、渋谷駅から乗ったバスの中から、渋滞している様子を見たことで、「大きくて複雑な渋谷のスクランブル交差点を再現してみたい」と、大勢の人が一度に交差点を渡る様子に着目したそうです。

「プログラミングをすすめるうちに、より細かい部分がわからなくなったので、昨年の夏休みに、何度か渋谷に行って、信号が変わるタイミングや順番などを調査しました。信号の数も多いし、複雑なので、調べたことを確認しながら、少しずつバージョンアップしたり、バグを修正したりしました。そこから、実際に渋谷を走っている車やバスをデザインしたり、歩行者のプログラムを工夫して、交差点や周囲の建物は、パソコン上で航空写真をトレースして作りました」

完成したのは、昨年9月の応募締め切り直前。大会では募集作品のテーマや使用ツール、形式は自由。パソコンやスマートフォンなど、デバイスにも制限はなく、「発想力」「表現力」「技術力」が審査基準になっており、小長井君の作品は、「現地調査など応募に対する丁寧な姿勢に、審査員一同、非常に多くの共感を覚えた」と評価されました。

小長井君は受賞について、「ちょっと驚いたけど、とてもうれしかったです。プログラミングは自分で考えたことを表現したり、動かしたりできるところが楽しい」と、笑顔で振り返りました。

昨秋に開催された「第4回 全国小中学生プログラミング大会」でグランプリになり、表彰状を手にする小長井君(大会実行委員会提供)

パソコン以外にも、趣味の世界は広がり続ける

さぞやデジタル漬けの日々を送っているのだろうと、パソコンやデジタルツールをどのように家庭で使っているかをご両親に質問してみると、意外な答えが返ってきました。

「ゲーム機は持っていないので、週末にパソコンでプログラミングやMinecraft(マインクラフト)を楽しんでいます。プログラミングなどに夢中になっても、くたびれると自分でやめ、運動したり、ほかのことをやっています。そのうちに、ひらめいたアイデアでプログラムを改良したりしているようです」

プログラミングに限らず、やりたいこと、好きなことがあれば、見守りながら応援し、子どもの自主性や探究心を大事にしたいと、ご両親は考えているそうです。

年が明けると次第にコロナ禍が拡大し、学校を含めた多くの施設が休みを余儀なくされました。小長井君は休校中、自宅で小学校の課題に取り組むほか、VRでの博物館見学や鉄道のイベントを楽しんだり、IT専門家のオンライン講義を受けたり、友達とリモートで遊んだりと、パソコンを通して様々な新たな体験をしたといいます。

その子ならではの発想、興味を持ったことを大切に

学びはデジタルのみにとどまりません。布マスクを母親が手作りしているのを見て、「楽しそう。自分もやってみたい!」とミシンの使い方を教わり、家族の分も含め、10枚ほどを自由なデザインで縫製。本を参考に車両の絵を描き、電車のペーパークラフトを作るのも趣味の一つです。

小長井君の手作りマスク(本人提供)
電車が大好きだという小長井君。方眼紙で電車の模型も作成している(本人提供)

「かわいくて、形が面白い」と太古の海の生物・アンモナイトにも興味津々。昨夏はプログラミングと並行し、自由研究のテーマに選んだそう。小長井君は、博物館などに足を運び、駅の石壁に埋め込まれた化石探し、文献を調べるなどの研究をおこなったといいます。

アンモナイトをテーマにした昨夏の自由研究(本人提供)

両親は「本人ならではの発想、興味をもったことを大切にしたい」と思っており、結果として、小長井君の好奇心と探究心が、無限大に膨らんでいるのでしょう。

そんな小長井君の将来の夢は「電車の運転士さん」になることだそうです。「電車は格好いいし、大きなものを安全に動かす仕事をやってみたい」と目を輝かせます。もちろん、プログラミングも続けるつもりだといいます。

「プログラマーにも興味はあります。3D(3次元)のプログラミングができたらすごいと思います」

プログラミングと聞くと、どうしても身構えてしまう親の世代とは違い、プログラミングが日常の一コマになりつつあるのだと実感させられたインタビューでした。

子どもにも、親にも、新しい学びの時代へ

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