京都ゆるり休日さんぽ

京都のガラス作家のグラスで、涼やかな夏のしつらえを

京都のガラス作家のグラスで、涼やかな夏のしつらえを

レース模様の花器はしずく型やひょうたん型など柔らかなフォルムが魅力(10,000円・税込み)

蒸し暑い京都の夏を心地よく過ごすため、先人たちが取り入れてきた知恵が「目で涼む」ということ。6月にもなると、和菓子店の軒先にはキラキラと透き通る和菓子が数多く並び、石畳には打ち水が打たれ、料理人たちは涼やかなうつわで客人をもてなします。そんな夏のしつらえに、なくてはらないのがガラスのうつわ。それが作家の手仕事の品ならば、夏の暮らしがより豊かに彩られそうです。

京都のガラス作家のグラスで、涼やかな夏のしつらえを

作家の佐藤聡さん(左)とパートナーの貴美子さん(右)。後ろに飾られているのは制作の道具

祗園の閑静な路地にありながら、ひときわ目をひく端正な建物の一角にたたずむ「PONTE(ポンテ)」。作家の佐藤聡(さとう・さとし)さんが一つひとつ手作業で作る、ガラスアイテムのショップです。中でも、代表作ともいえるレースガラスのシリーズは、プロの料理人も愛用する一品。透明なガラスにくるくると螺旋(らせん)を描いた線が重なり、まるでレースのように美しい透かし模様を浮かび上がらせます。うつわや花器としての実用性だけでなく、オブジェのようなアート性も兼ね備えた作品たちは、とっておきの京都みやげや贈り物として選ぶ人も少なくありません。

京都のガラス作家のグラスで、涼やかな夏のしつらえを

レース模様の素材となるガラス棒は、カトラリーレストとして販売されている(2,500円・税込み)

この独創的なレース模様の素となっているのは、デザインの異なる数種類のガラスの棒。波模様や格子柄など、さまざまな線が編まれたガラスの棒を組み合わせ、いったん高温の炉(ろ)で溶かした後、「宙(ちゅう)吹き」という息を吹き込む技法で、グラスや花器などの形に仕上げています。あめ細工のように引き伸ばし、ふくらませることによって、模様に一つひとつ絶妙なゆらぎが生まれていく。これが、一つとして同じものはないPONTEのレース模様の秘密。数値化されたパターンではないからこそ、自然物のように有機的な模様が描き出されるのです。

京都のガラス作家のグラスで、涼やかな夏のしつらえを

すりガラスの花器は、透明のレースシリーズとはまた違った雰囲気

京都のガラス作家のグラスで、涼やかな夏のしつらえを

ガラスでは表現しにくい、長い時を経たような質感を出した作品も

店内には、定番のシリーズのほか、すりガラスで仕上げた色付きレースの作品や、青銅や錆(さび)を思わせる表情の酒器・花器なども。さまざまな質感を出すために気の遠くなるような地道な加工を施していますが、その形はどれもシンプルで使いやすいフォルムです。「西洋のガラスは“飾って楽しむ”ことが前提にありますが、日本では食事や花を引き立てることが大切にされています。東洋の骨董(こっとう)や陶器の形からインスピレーションを得て、日本人の暮らしになじむガラスを提案できたら」と佐藤さん。店内のディスプレーはパートナーの貴美子(きみこ)さんが担当し、暮らしの中に溶け込むガラスの魅力を伝えています。

京都のガラス作家のグラスで、涼やかな夏のしつらえを

モダンな家具や季節の植物と組み合わせてディスプレーされる空間は、ギャラリーのよう

光を受けて美しい影を落とす、PONTEのガラス。その繊細なゆらぎの線は、水や風や氷といった自然の情景を思わせる、不思議な力があります。「目で涼む」という京都の夏の知恵を、美しい手仕事のガラスで取り入れてみてはいかがでしょう。(写真/津久井珠美 文/大橋知沙)

京都のガラス作家のグラスで、涼やかな夏のしつらえを

PONTEの入るZENビルには、鍵善良房の「ZEN CAFE(ゼンカフェ)」やアンティークショップ「昴 KYOTO(コウ・キョウト)」、革小物の「緙室 sen(カワムロ・セン)」もあり、店巡りも楽しめる

【PONTE】
075-746-2125
京都市東山区祇園町南側570-210 ZEN内
11:30~18:00
月曜・火曜定休
京阪祇園四条駅から徒歩5分
http://ponte-kyoto.com

■「京都ゆるり休日さんぽ」のバックナンバーはこちら

PROFILE

大橋知沙

編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

フォトグラファー

津久井 珠美(つくい・たまみ)

1976年京都府生まれ。立命館大学(西洋史学科)卒業後、1年間映写技師として働き、写真を本格的に始める。2000〜2002年、写真家・平間至氏に師事。京都に戻り、雑誌、書籍、広告、家族写真など、多岐にわたり撮影に携わる。
http://irodori-p.tumblr.com/

京都の夏の風物詩・鴨川納涼床をカジュアルに楽しむビストロへ

一覧へ戻る

木もれ日輝く、京都・青もみじの名所を訪ねて

RECOMMENDおすすめの記事