京都ゆるり休日さんぽ

シメには甘味? “はふはふ”いただく京都のおうどん「冨美家」

「冨美家(ふみや)鍋ひとつ」。冷えた手をこすり合わせながら、客席につく人々の口からは、次々にその名前が聞こえます。昭和21(1946)年、京の台所・錦市場で創業し、庶民の味として親しまれ続ける京うどんの店「冨美家」。あたたかい土鍋で提供される名物「冨美家鍋」は、京都人なら一度は食べたことがある地元の味です。

シメには甘味? “はふはふ”いただく京都のおうどん「冨美家」

名物「冨美家鍋」(720円・税込み)はえび天、焼き餅、カマボコ、しいたけ、卵の入った鍋焼きうどん

京都のうどんは“やわやわ”のめんに、優しく絡むだしが命。「冨美家鍋」も、そんな元祖・京うどんのアイデンティティーをしっかり守り、天然の利尻(りしり)昆布と数種類をブレンドした削り節、伏見の軟水を使って引いただしを、少し甘めの口当たりに仕上げています。厚ぼったいころものえび天と焼き餅も「冨美家鍋」のトレードマーク。食べ進めると、天ぷらのころもや餅の皮が自慢のだしをたっぷりふくみ、素朴な味わいを引き立てます。

シメには甘味? “はふはふ”いただく京都のおうどん「冨美家」

昼時にはあっという間に満席に。壁には著名人のサインが飾られている

ここは、錦市場の冨美家本店から徒歩1分もかからない、堺町蛸薬師にあるお食事処。現在、本店はイートインスペースを改装中(2018年夏ごろ再オープン予定)のため、観光客からなじみの客までこぞってこちらにやってきます。11時にオープンするやいなや、たちまち店内は満席に。安くておいしくてあたたまる「冨美家鍋」は、冬の京都に欠かせないお昼ごはんです。

シメには甘味? “はふはふ”いただく京都のおうどん「冨美家」

本店から徒歩1分のところにある「お食事処 冨美家」。「京名物」の旗が目印

そして、冨美家の歴史を知る人ならばつい追加で注文したくなるのが、自家製あんこなどを使った甘味。実は冨美家は、甘味処として創業した店なのです。

シメには甘味? “はふはふ”いただく京都のおうどん「冨美家」

「亀山」(480円・税込み)。昔ながらの木型で作る餅を自家製あんこでぺろりと

「原価を気にするよりも、いい材料を使うこと」を何よりも大切にしていた創業者の思いを受け継ぎ、うどんの材料はもちろん、餅やあんこも高級和菓子に使われているような上質な素材を選んでいます。創業時から受け継がれてきたレシピで職人が炊きあげるあんこは、冨美家の隠れた人気メニュー。昔ながらの木型で作った餅を香ばしく焼き、あんこを添えていただく「亀山」は、シンプルながらも冨美家のこだわりが詰まったひと品です。

シメには甘味? “はふはふ”いただく京都のおうどん「冨美家」

つゆから具材まで一式そろったお持ち帰り用は、京都人のお助け役。お取り寄せもできる。

「冨美家鍋」をはじめとした冨美家のメニューは、めん・つゆ・具材などがセットになった家庭用パックが販売されています。サービス精神旺盛な人だったという創業者が、「自宅でも冨美家の味を」との声を受けて、業界でもいち早く持ち帰り用を販売したのだとか。しっぽくうどん、きざみうどん、にしんそばなど、京都らしいうどんやそばが手軽に再現できると、百貨店や地元のスーパーにも並ぶほど京都人に親しまれています。

シメには甘味? “はふはふ”いただく京都のおうどん「冨美家」

錦店は現在テイクアウトのみの販売。「冨美家鍋(お持ち帰り用)」(497円・税込み)ほか、店のお品書きと同じ京うどんのパックが並ぶ

高級料亭や割烹(かっぽう)から話題のレストランまで、美食のトピックスには事欠かない京都。けれど、数百円で本物のだしが味わえて、ぽかぽかと温まる一杯のうどんにも、京都の食文化がぎゅっと詰まっています。地元の人々の胃袋をつかむ、澄んだおだしを最後まで味わったら、シメにはぜひ冨美家の甘味をお試しください。(撮影/津久井珠美)

【お食事処 冨美家】
075-222-0006
京都市中京区堺町通蛸薬師下ル菊屋町519
11:00~16:30 L.O.
年末年始休

【冨美家 錦店】
075-221-0354
京都市中京区錦小路通堺町西入ル中魚屋町493
10:00~18:00(現在はテイクアウトのみ。2018年夏イートイン オープン予定)
年末年始休
http://www.kyoto-fumiya.co.jp

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PROFILE

大橋知沙

編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

フォトグラファー

津久井 珠美(つくい・たまみ)

1976年京都府生まれ。立命館大学(西洋史学科)卒業後、1年間映写技師として働き、写真を本格的に始める。2000〜2002年、写真家・平間至氏に師事。京都に戻り、雑誌、書籍、広告、家族写真など、多岐にわたり撮影に携わる。
http://irodori-p.tumblr.com/

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