京都ゆるり休日さんぽ

暮らしを彩る京の美意識 竹工芸「京都三条 竹松」

食卓に、装いに、しつらえや収納に。暮らしに取り入れるだけで、涼やかな雰囲気と手仕事のぬくもりを添えてくれる竹の工芸品。茶道具をはじめ、華道や料理、庭園、建築など、さまざまな分野で竹工芸を活用してきた京都には、職人の手になる美しい竹製品を扱う店が数多くあります。

花六ツ目模様が美しい「盛りかご」(小8,100円・税込み)

花六ツ目模様が美しい「盛りかご」(小8100円・税込み)

東山エリアの三条通に店を構える「京都三条 竹松」もその一つ。1943(昭和18)年に創業し、料亭で使う器や庭の竹垣などを手がけながら、少しずつ一般家庭でも使える竹製品全般を扱うようになりました。取材時にも、軒先のかごにわんさと盛られた竹製品に目を止め、ふらりと立ち寄る内外の観光客の姿が。露店のようにオープンな雰囲気ながら、店の奥へと進むにつれ、珍しい編み方の一点物など上質なアイテムも並ぶので、宝探しのような気分ですみずみまで探索してしまいます。

店先に並ぶさまざまな工芸品。中には訳あり品や掘り出しものも

店先に並ぶさまざまな工芸品。中には訳あり品や掘り出しものも

竹工芸は、国や地域によって編み方や加工技術が異なります。茶の湯の文化とともに発展してきた京都の竹工芸は、節や木肌、繊維といった竹本来の持ち味を生かしつつも、繊細でみやびなたたずまいが特徴。竹松の職人が仕立てる竹製品も、そんな京竹細工のしなやかな美しさを備えたものばかりです。

ずらりと並ぶ箸や台所道具はお土産としても人気

ずらりと並ぶ箸や台所道具はお土産としても人気

料理の後口までおいしく感じる先の細い竹箸や、編み目が繊細な花模様を描き出すコースターなどは、熟練の職人の技術と京都らしい美意識の結晶。ふだんの生活に取り入れやすい日用品ながら、使うことで所作までも美しく見せてくれる逸品です。

初夏のもてなしにぴったりな「花六ツ目コースター」(4,320円・税込み)

初夏のもてなしにぴったりな「花六ツ目コースター」(4320円・税込み)

一方で、日本各地や海外の竹工芸との違いも楽しめるよう、店頭には自社の職人の製品だけでなく、各地から買い付けたかごやざるも並んでいます。おおらかな作風や頑丈な作りなど、その土地の風土や文化を象徴する手仕事に想像をめぐらせることも楽しいもの。竹を四角く曲げて作られる下記の写真の「角物(かくもの)」は、九州地方に多く伝わる竹工芸。丈夫で収納力があり、シンプルな見た目は洋のインテリアにも似合うひと品です。

竹松で吟味した素材を九州の職人に送って作る「白竹化粧かご」(6,696円・税込み)

竹松で吟味した素材を九州の職人に送って作る「白竹化粧かご」(6696円・税込み)

和のイメージの強い竹工芸も、色目や形がシンプルなものを選べばモダンな部屋にも美しくなじみます。白竹や青竹と呼ばれる色味のものは、使い続けるうちにあめ色に変化し、味わい深くなっていくのも魅力。住まいやライフスタイルに合わせて、その人らしい使い方や表情に変わる楽しみがあります。

「白竹あじろ弁当箱」(16,200円・税込み)は小物入れにも

「白竹あじろ弁当箱」(1万6200円・税込み)は小物入れにも

例えば、用途を一つに絞らず、「飾る」と「使う」を両立させてみる。こちらはお弁当箱ですが、手紙やメモなどをしまう箱として使うというアイデアも。あじろ編みというヘリンボーン柄のような編み目が美しく、見せる収納具として棚やデスクの上に置いたままでもさまになります。

白竹、漆塗り、煤竹(すすたけ)など、さまざまな表情の竹工芸からお気に入りを見つけたい

白竹、漆塗り、煤竹(すすたけ)など、さまざまな表情の竹工芸からお気に入りを見つけたい

京都の文化と職人の手仕事に育まれた、優美で繊細な竹工芸。プラスチックや金属などさまざまな素材の日用品が普及するなか、目に心地よく、使うほどに味わいの増す暮らしの道具には、家事や生活を楽しくする力があります。まずは一つ、小さなお弁当箱や収納かごから、竹の手仕事を取り入れてみてはいかがでしょう。(撮影:津久井珠美)

【京都三条 竹松】
075-751-2444
京都市東山区三条通大橋東入3-39
10:00〜19:00
不定休
http://www.kyotosanjo-takematsu.com/

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PROFILE

  • 大橋知沙

    編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

  • 津久井珠美

    1976年京都府生まれ。立命館大学(西洋史学科)卒業後、1年間映写技師として働き、写真を本格的に始める。2000〜2002年、写真家・平間至氏に師事。京都に戻り、雑誌、書籍、広告、家族写真など、多岐にわたり撮影に携わる。

歩く、学ぶ、育む 新しい日本庭園とのかかわり「無鄰菴」

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