楽園ビーチ探訪

水上ハウス「ケロン」でバーベキュー インドネシア・ビンタン島

 

これは早朝、朝日の光が強くなるにつれ、電灯を消してゆく沖に浮かぶケロン

これは早朝、朝日の光が強くなるにつれ、電灯を消してゆく沖に浮かぶケロン

シンガポールから、フェリーでわずか1時間。インドネシアの島ながら、地理的にも文化的にもシンガポールの影響を色濃く受けているビンタン島。島の北側、フェリーふ頭から車で約15分のところに、インドネシアとシンガポールの両国が共同で開発に取り組む総合リゾート「ビンタン・リゾート」があり、この島の看板的存在になっています。

5ツ星リゾートホテルやアジア最高水準のゴルフコース、巨大ウォーターパークなど、その充実したラインナップとスケールの大きさは、数日の滞在では遊びきれないほど。そのせいか、ビンタン島=巨大なアミューズメントリゾートというイメージを抱いていました。が、実はビンタン島は1周約6時間もかかる大きな島で、その中にユニークな独自の文化や人々の暮らしぶりがあるとは、知らなかったのです。そのことを教えてくれたのは、たまたま知り合った日本出身、現地在住のIKUMIさんでした。

浮きを付けたやぐらの上に家を乗せた造りのケロン

浮きを付けたやぐらの上に家を乗せた造りのケロン

まず彼女に質問したのが、東海岸のトリコラビーチの沖に点在して浮かんでいる不思議な形の物体。漁船にしては小さく、石油プラントのような足場にも見えるけれど、それほど大きくはない。夜になると100個ほどが集まり、蛍光灯であたりを照らし、まるで半島を描くネオンの光のようにも見えるものが海に浮かんでいますが、あれ、何でしょう?

これは“ケロン”という漁民の家。浮きを付けたやぐらの上に簡素な小屋を乗せたもので、船にけん引してもらい、移動するとのこと。沖に出て漁をして1週間程度で陸に戻ってくるのが通常パターンだけれど、水がなくなった時も補給に帰ってくるそう。

島を縦断するカワル川の河口付近にある、昔ながらの漁師町

島を縦断する川の河口付近にある、昔ながらの漁師町

ビンタン・リゾートから外へ出てみると、島の暮らしが当たり前にありました。カメラを向ければ、Vサイン

ビンタン・リゾートから外へ出てみると、島の暮らしが当たり前にありました。カメラを向ければ、Vサイン

知らなかった、そんな住居があるなんて。一体、ケロンの内部はどうなっているのだろう? と、気になります。

IKUMIさんのはからいで、知り合いから借り受けたケロンでバーベキューをすることに。船にけん引してもらう移動式ではなく、木材で組んだ固定式だったけれども、洋上ハウスということに変わりはありません。ただ、使わせてもらったケロンは、生活感のあるものが壁に貼った写真の切り抜き以外、きれいに片付けられていたのが少々残念。ま、人に家を貸すのに、そのまま引き渡す人はいないかもしれませんね。

体験した固定式のケロン。IKUMIさんの勤める旅行代理店「ルマビンタン」経由でアレンジが可能です

体験した固定式のケロン。IKUMIさんがご主人と切り盛りしている旅行代理店「ルマビンタン」経由でアレンジが可能です

お待ちかねのバーベキューでは、見たことも食べたこともない郷土料理がずらり。炭火で焼き上げたエビやカニなどを、ご当地のタレ“チョロチョロ”をつけていただきましたが、これがうまい! このかわいい名前のチョロチョロ、トマトとチリ、ニンニクをマリネし、ライムをしぼったもので、食欲をそそります。メインディッシュは、正月のごちそうになるという“イカン・レバム”という白身魚。皮が厚く、身に弾力があって、鶏肉のような歯ごたえ。生まれて初めての食感で、美味でした。

手前が特別な日にいただく白身魚のイカン・レバム。食感に弾力があり、滋味深い味わい

手前が特別な日にいただく白身魚のイカン・レバム。食感に弾力があり、滋味深い味わい

バーベキューではカニもたくさんいただきました。こんなぜいたくにカニを食べてバチが当たらないかと不安に……

バーベキューではカニもたくさんいただきました。こんなぜいたくにカニを食べてバチが当たらないかと不安に……

IKUMIさんのビンタン島探検ツアー、続いては市場へ。小さい玉ねぎの方が香りは強い、伝統薬のジャムウの“トモラワ”は胃腸に効く、住民はウコンやショウガをまとめ買いするなど、目にしたものから地元の暮らしを教えてくれます。

ブンブ(スパイシーなインドネシアのソース)は石臼ですりつぶした方がマイルドでおいしいそうです

ブンブ(スパイシーなインドネシアのソース)は石臼ですりつぶした方がマイルドでおいしいそうです

さらに連れていってもらった場所は、「SMK NEGERI 1 TANJUNGPINANG」(タンジュンピナン第一職業高校)。日本語教育を行っているアルカンドリ先生とともに、日本語が達者な3人の学生さんに学内を案内してもらいました。教室に入ると、見慣れぬ日本人を見て恥ずかしそうにしながらもあいさつをきちんとしてくれる学生さんたちのかわいいこと。日本語の授業を見学したり、学食でごはんを食べたり、なかなか体験できることではないかも。中でもびっくりしたのは、校内に先生や生徒がお金を預ける銀行まであり、1~2年生が当番制で行員を担当していました。

第一職業高校の日本語の授業。同じテキストをずっと使っているそうです

タンジュンピナン第一職業高校の日本語の授業。同じテキストをずっと使っているそうです

作られた観光も楽しいけれど、やっぱり地元の暮らしに触れるのが面白い! ビンタン島のイメージががらりと変わった旅でした。

【取材協力】
ルマビンタン
http://rumah-bintan-travel.com/

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PROFILE

古関千恵子

ビーチライター。リゾートやカルチャー、エコなどを切り口に、国内外の海にフォーカスした読み物や情報を発信する。ダイビング雑誌の編集者を経てフリーとなり、“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”を繰りかえすこと四半世紀以上。『世界のビーチ BEST100』(ダイヤモンド・ビッグ社)の企画・執筆、『奇跡のリゾート 星のや 竹富島』(河出書房新社)の共著のほか、ファッション誌(『Safari』『ELLE Japon』など)やウェブサイトに寄稿。ブログも配信中。

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