楽しいひとり温泉

温泉+お酒 お酒に合う創作料理が次々と「長野県・美ケ原温泉」

「旅館すぎもと」の玄関。民芸調の雰囲気がすてき。

「旅館すぎもと」の玄関。民芸調の雰囲気がすてき

松本市街から見える美ケ原高原はうっすらと雪化粧をしていました。今回のひとり温泉は、その山々へ続くふもとにある美ケ原温泉の「旅館すぎもと」です。松本駅へ着くと、暖冬の東京に比べてひんやりした空気、美ケ原温泉は、車なら15分ほど、路線バスでも25分という近さにありながら標高800メートルもあり、ブドウやりんご畑が広がる丘陵地から松本市街とはるかなアルプスの山々が見渡せる場所にあります。駅から松本城を通って行く道のりは、城下町らしく、くねくねと細い路地が続き、紙芝居のように町の風景が変わっていきます。細い道の角を曲がると土塀と梁(はり)が印象的な「旅館すぎもと」が見えてきました。

松本家具のチェアは何十年たっても楽しめて座り心地もいい。

松本家具のチェアは何十年たっても楽しめて座り心地もいい

玄関を入るといい音楽が流れています。シャンデリアにアンティークソファのロビーという外観からは想像できない空間が新鮮で、テンションがあがります。ご主人の花岡貞夫さんこだわりのオーディオから心地よいジャズが聞こえてきます。「ようこそ、お越しくださいました。お茶でも飲んでゆっくりとなさってください」。カウンターで花岡さんが煎茶をいれて出迎えてくれます。

落ち着ける部屋は、それぞれに雰囲気が違う

落ち着ける部屋は、それぞれに雰囲気が違う

「うちは、ひとり泊まりのお客様も多いんです」という言葉に励まされて、心の緊張がほどけます。部屋は、落ち着いた民芸調のお座敷や、隠れ家風のベッドルーム、建物の梁をいかしたロフトがある別荘風など、色々なタイプがあって、ほとんどの部屋でひとり宿泊が可能です。こだわりのオーディオがある部屋もあって、センスのいいCDが置いてあります。いい音が流れていると、自然に心身がリラックスして、残っていた仕事もあっという間に片付いていました。

歴史ある源泉を眺める中庭にゲストが集う

歴史ある源泉を眺める中庭にゲストが集う

宿の中庭がステキ。ここには歴史ある束間(つかま)の湯源泉があります。奈良時代から湧き出ていて、美ケ原温泉の共同の源泉の一つになっています。湯上がりには、椅子が並ぶ気持ちのいい場所でくつろげます。

男女別大浴場へ行く回廊

男女別大浴場へ行く回廊

その奥が温泉棟。庭をめでながら、いそいそと温泉へとすすみます。

丸みのある露天風呂は癒やしの雰囲気

丸みのある露天風呂は癒やしの雰囲気

内湯で軽くあたたまったら、露天風呂へ。泉質はアルカリ性単純温泉。柔らかで優しい肌触りの温泉で、肌がしっとりすべすべになります。 丸石が印象的なデザインの露天風呂は、やさしい印象で癒やされます。

中庭にはすてきな演出で地ビールが並ぶ

中庭にはすてきな演出で地ビールが並ぶ

松本のクラフトビールがずらり。氷を張った火鉢で冷やされています。飲みたい人は伝票に書いて、好きなビールを、キンキンに冷えたグラスに注いでごくり。こういうセンスが心憎い宿なのです。

地元の野菜や山菜、きのこなどの小さなお料理がずらり

地元の野菜や山菜、きのこなどの小さなお料理がずらり

この宿のもう一つのお楽しみは食事。「楽しくなければおいしいとは言えない」というご主人の理念のもとに生み出される創作料理は、別名「飲まずにいられない美食」。それを物語る最初の一品は、ずらりと小鉢が並ぶ前菜。これだけでも、お酒がすすみそうです。

馬刺しの食べ方が楽しい

馬刺しの食べ方が楽しい

松本の馬刺しは赤身が特徴。さっぱりと肉のうまみを味わえる逸品です。そして、たくさんの種類のお薬味がのっているのが、「旅館すぎもと」流。わさび菜を炊いたものや、オリジナルの唐辛子みそ、しょうが、みょうがなどなど、あれこれと組み合わせを変えて味わうのが、本当に面白い。

皮をひらくと柔らかなタケノコが

皮をひらくと柔らかなタケノコが

珍しい早生タケノコ。塩をふってじっくり焼いてあり、皮をひらくと黄色くツヤツヤで香り豊かなタケノコが現れます。う~。これはたまらん。

毎日手打ちする十割そばは、この宿の名物

毎日手打ちする十割そばは、この宿の名物

最後は毎日手打ちする十割そば。そばだけで香りを味わい、塩をつけて味わい、うま辛の唐辛子で味わい、と順に薬味を変えて楽しむのがすぎもと流。そう、最初から最後まで、とことん「おつまみ」になってしまう、魅惑のフルコースなのです。信州のおいしい地酒や、ワインもそろっていますので、こよいは、ほろ酔いひとり旅を満喫です。

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.心地よい音楽と過ごせる
2.お酒がすすむ美食の数々
3.くつろげる共用空間がステキ

旅館すぎもと
http://ryokan-sugimoto.com/

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PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)ほか。新著「感動の温泉宿100」(文春新書)が10月に発売された。

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