楽園ビーチ探訪

美しい自然と“黒魔術”の島 フィリピン・シキホール島

美しい自然と“黒魔術”の島 フィリピン・シキホール島

宿泊したヴィラ・マーマリン前のビーチ

不思議なことを体験しました。今思い出しても、首をひねるばかり。それは、フィリピンのシキホール島でのことです。

シキホール島は、おなじみセブ島などを含むビサヤ諸島の南部にある、1周約102キロの島です。この島へ行こうとしたきっかけは、素朴で自然が美しいという話を耳にしたから。現地の宿とやりとりをする中で施術者(ヒーラー)の話題が出て、面白そうと、そちらも手配をお願いすることに。

あとで知ったのですが、実はこの島、一昔前まで “魔女が住む島”と、フィリピンの人々も近寄りたがらなかったとか。今でも、“黒魔術の島”などと呼ばれています。

美しい自然と“黒魔術”の島 フィリピン・シキホール島

島は南西部にリゾートエリアがあるものの、素朴な暮らしに触れられます

“魔女”や“黒魔術”というと、おどろおどろしいですが、つまりは癒やしの儀式のようです。島では先祖代々癒やしの能力をもつ人が生まれる家系があるとされ、人々は病気になったりトラブルに遭ったりするとそこへ相談に訪れるのだとか。携わる人によって方法が異なり、タイプが異なる三つを体験してみました。

まず訪れたのは、山間部のサンアントニオの村でサリサリストア(よろず屋)を営んでいるアニー・ポンセさん宅。彼女の癒やしは伝統的なマッサージの“ヒロット”と、いわゆるほれ薬の“ラブ・ポーション”。やはり、気になるのは後者でしょう。

美しい自然と“黒魔術”の島 フィリピン・シキホール島

こちらがラブ・ポーション。自分の香水を入れて、使います。

“ラブ・ポーション”は、毎年ホーリーウィーク(イースター)に山へ入って摘んだ薬草に祈りを捧げ、ビン詰めにしたもの。人と人を結びつける力があるそうで、恋愛のみならず、仕事にも恵まれるとか。たしかに帰国後、昔の友人から突然連絡が入ることがたびたび。仕事運も上昇しているような気がします。

美しい自然と“黒魔術”の島 フィリピン・シキホール島

サンアントニオの村を訪れたのはお祭り前日。ポンセさん一家は裏庭で、ごちそうである豚の丸焼きを準備していました

次に向かったのは“ボロボロ師”のイキンさん宅。彼の手法は、石を沈めたコップにストローをさし、それを手にぶくぶくと吹きながら身体の周りを移動させるもの。ちょうど金属探知機のような感じで「悪い部分が見つかる」と、コップの中に砂やごみがストローからボワッと吐き出されます。私の場合、のどの近くをコップが通ったとき、魚のフンのようなものが恥ずかしいくらい大量に出てきました。

美しい自然と“黒魔術”の島 フィリピン・シキホール島

ボロボロ師のイキンさん。施術師の役割は人助けなので料金は決まっておらず、心づけを渡します

そして、最後に訪れたハニーさんとヴァージーさんによる“アゲ・サ・イットログ”には本当にびっくりしました。これは生卵を使うもので、悪さをしているものを卵内へ移し、その後、マッサージのヒロットを受けるというもの。事前に穴が開いていないか確認した生卵を私のお腹に押し当て、ハニーさんが呪文のようなものを唱えたのちに、卵を割ると、あら不思議。曲がったクギが計6本も出てきました。すぐ目の前でまばたきもせずに殻を割るところを見ていたのに、どうやってクギが卵内に入ったのか?

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キャンドルを垂らした卵をおなかに押し当て、祈りの後に割ると、中からクギが。2回で計6本のクギが出てきました

こうした体験のインパクトは大きかったですが、もともとの目的は島の豊かな自然。ダイビングではサンゴが美しく、巨大なカメにも遭遇。また、天候によって水の色が変わって見えるカンブガハイの滝や、足の角質を食べてくれるドクターフィッシュがいる池も。

美しい自然と“黒魔術”の島 フィリピン・シキホール島

100段以上の階段を下りてアプローチするカンブガハイの滝

そして極めつきは、ホタルの木。不思議なことに、特定の木にホタルが集まり、プロポーズを繰り広げているのです。その光は小さな白い炎がちらちらと揺らぐようで、風にあおられると火の粉のように舞い上がります。時折流れ星のようにスーッと流れる光があるのですが、地元ガイドさんによると、2匹が抱き合って落ちる瞬間だとか。このホタルの光景は一年中見ることができます。

美しい自然と不思議がいっぱいのシキホール島。癒やされます。

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美しい海を眺めながらいただいたヴィラ・マーマリンの朝食

取材協力/ヴィラ・マーマリン
http://www.marmarine.jp/

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PROFILE

古関千恵子

ビーチライター。リゾートやカルチャー、エコなどを切り口に、国内外の海にフォーカスした読み物や情報を発信する。ダイビング雑誌の編集者を経てフリーとなり、“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”を繰りかえすこと四半世紀以上。『世界のビーチ BEST100』(ダイヤモンド・ビッグ社)の企画・執筆、『奇跡のリゾート 星のや 竹富島』(河出書房新社)の共著のほか、ファッション誌(『Safari』『ELLE Japon』など)やウェブサイトに寄稿。ブログも配信中。

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