中田英寿 福島を旅する<#08> 来ました、福島。―「観光」PR

築40年の山荘から、温泉を備えた瀟洒(しょうしゃ)なホテルへ——。森と湖に彩られた裏磐梯(うらばんだい)の一角に、息をひそめるようにたたずむ一軒の宿がある。フィンランド語で「波」を意味するアアルトと名付けられたホテルは、福島の自然と北欧の風が出会う場所。心尽くしのもてなしで、多くの人を魅了し続けている。

中田英寿 福島を旅する<#08> 来ました、福島。―「観光」

「空間演出にしてもサービスにしても、肩に力が入っていない。すべてのバランスがちょうどいいんですよね」。中田さんの言葉を受けて「うれしいなぁ。最高の褒め言葉です」と笑顔を見せる宗像社長

福島の自然と北欧が調和する高原のホテルへ

全国を旅しながら見つけた日本の“もの”や“わざ”。そのえりすぐりを集めた自著「に・ほ・ん・も・の」で、中田英寿さんは裏磐梯にあるホテリ・アアルトを、こんな書き出しで紹介している。“何かが特別秀でているわけではない。それでも非常に居心地のいい宿がある——”。

中田英寿 福島を旅する<#08> 来ました、福島。―「観光」

森に溶け込むように建つ小さなホテル。三角屋根の山荘だった面影を残す

1年間の3分の2は地方や海外に赴く中田さんにとって、ホテルに宿泊することは特別なことではなく、日常のひとコマだ。より良い環境、心地良い空間を求めて、これまで何百という宿に滞在してきたが、なかでもこの宿を、好きな場所のひとつと語る。

「人の多い場所が得意ではないので、食事やお風呂も個室がある宿泊施設を選ぶことが多いのですが、ここでは、ダイニングで食事する時間も、ストレスなく過ごせます」

五色沼(ごしきぬま)をはじめ、数え切れないほどの湖沼が点在する深い森の中に、ホテリ・アアルトがオープンしたのは今から9年前のことだ。

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空き時間には、中庭からの遊歩道をたどって、敷地内にある2つの沼を散策するもよし

「元々ここは、ある企業の保養所として使用されていた築40年の山荘でした」

オーナーであり、福島県に本社を置く、八光建設(はっこうけんせつ)の宗像剛(むなかた・たけし)社長が、ホテル誕生の背景を明かす。

「弊社はその保養所の管理を任されていたのですが、2007年の3月に閉鎖されることになってしまって。しかしこれほど素晴らしい環境はそうはありません。失うには惜しい。それなら、自分たちの思いを形にしてみようと考えました」

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全13室ある客室は、部屋のしつらえも、窓に切り取られる風景も、それぞれ趣が異なり個性的。選ぶ楽しさ、繰り返し訪れたくなる魅力にあふれている

それから、2年をかけて建物を改修。周囲の景観との調和を図るとともに、環境に配慮し、既存の躯体(くたい)を極力生かすことを決めた。使用する木材は地元産に限定。設計は3人の建築家に依頼し、東京藝術大学名誉教授の益子義弘(ますこ・よしひろ)さんを中心に、チームを組んで進めてもらったと振り返る。

木のぬくもりあふれる空間では、会津木綿などの伝統工芸と、北欧家具がゆるりと調和している。

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会津地方の豊かな食材が並ぶコース料理もまた、ここに滞在する楽しみのひとつ。旬を大切に、素材の味を生かして、彩り良く。一皿ひと皿に、もてなしの心が感じられる

「保養所時代とは間取りは大きく変わりましたが、建設当初のまま生かされています」

訪れる人に肩の力を抜いて、心地良い時間を過ごしてもらえたらと語る宗像社長。食事はもちろん、アルコールを含むドリンク類が宿泊料金に含まれているのも、滞在中、気兼ねなく楽しんでほしいという思いからだ。

中田英寿 福島を旅する<#08> 来ました、福島。―「観光」

絶景の大浴場は源泉かけ流し。ラウンジに用意された湯冷ましドリンクのサービスが心憎い

「温泉のある宿としては珍しいですよね」

と、中田さんが言う。

「ほかにも、大浴場の外のラウンジに湯冷ましの飲み物が用意されていたり、小さな仕掛けが面白い。それでいて、過ぎないサービスが心地いいんです」

福島の人と自然のおくゆかしさから生まれた調和が、訪れる人を惹きつけている。

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福島県の北西部に位置する北塩原村(きたしおばらむら)は、面積の約8割を山林が占める積雪寒冷地帯だ。1888年の磐梯山噴火により形成された湖沼群が広がる裏磐梯エリアは国立公園にも指定されており、多くの観光客でにぎわう

中田英寿(なかた・ひでとし)
1977年山梨県生まれ。ドイツW杯を最後にプロサッカー選手を引退した後は、世界各地を歴訪。日本全国47都道府県を巡る旅を経て、伝統文化・工芸を支援するプロジェクト「REVALUE NIPPON PROJECT」を立ち上げる。15年には、株式会社JAPAN CRAFT SAKE COMPANYを設立。日本酒の魅力、楽しみ方を国内外に発信する活動に取り組む。

◆福島県公式Facebook

◆ホテリ・アアルト

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