楽園ビーチ探訪

ベトナムでは貴重な水平線のサンセットを求めてフーコック島へ

ベトナムでは貴重な水平線のサンセットを求めてフーコック島へ

フーコック島の西海岸に約20キロ続くロングビーチ。こちらはソル・ビーチ・ハウス・フーコック前

ベトナムを地図でみると、インドシナ半島の東海岸をなぞるように国土がのびています。西海岸はベトナム南部に少々ある程度。そこで、自分の記憶をたどってみると、あれ、ベトナムで水平線に沈むサンセットを見たことがない……。西海岸に面したエリアは観光地としてはあまり知られていない中、2016年末あたりからリゾートホテルが続々とオープンしている注目の存在が、ベトナム本土の南西沖に浮かぶフーコック島です。ここならば、バカンス気分あふれるサンセットが期待できそうです。

ベトナム本土から約45キロ沖に浮かぶフーコック島は、南北約50キロ、東西約25キロのハート形をした島です。国境に近く、高台からは南シナ海を隔ててカンボジアを肉眼で見ることができます。また、自然豊かなこの島はユネスコの生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)に指定され、“ベトナム最後の秘境”とも呼ばれています。

フーコック島へ訪れるのなら、11~4月に。私が訪れた10月はまだ雨季に片足を突っ込んでいるようで、初日は豪雨でした。ちなみに、6~10月の雨季は激しく、一部のホテルは休業になり、学校が休校となることもあるとか。島観光のメインともいえるナイトマーケットは、今回は雨のためにおあずけ。フーコック島へ行く機会があったら、ぜひ立ち寄ってみてください。

ベトナムでは貴重な水平線のサンセットを求めてフーコック島へ

アントイ港の朝の風景。魚を仕入れに、多くの客がバイクで乗り付けています

さて、翌日は快晴。地元の若いガイドさんとフーコック探検でまず向かったのは、水揚げでにぎわう早朝のアントイ港。湾には色とりどりの漁船がひしめき、岸壁にはイカや小魚を山盛りにしたたるやザルがずらり。手押し車でとれた魚を運ぶ人、ウニをさばいている人など、活気にあふれています。岸壁の一角では元締めらしき男性がどっしりと構え、漁師がはかりにかけた魚の重さを確認しては帳面に書きつけ、現金を渡している姿も。ひと仕事を終えた人たちのための屋台や食堂も繁盛しています。

ちなみにアントイ港では、世界最長のロープウェーが2018年に開通。ホントム島のテーマパークまで、いくつかの島を中継する約7900メートルものロープウェーが海上に架かっています。いわばリゾート開発が進むフーコック島の象徴のような存在。アントイ港周辺は屋台や雑多な日用雑貨店が連なり、地元の暮らしがうかがえますが、少し離れると道路が整備され、コンクリート造りの店舗もちらほら。開発の波が近づいている気配を感じます。

ベトナムでは貴重な水平線のサンセットを求めてフーコック島へ

ペンキで塗ったソファに色あせたパラソルが並ぶ、東海岸のサオ・ビーチ。素朴さが持ち味

ベトナムでは貴重な水平線のサンセットを求めてフーコック島へ

ヌクマムの工場。お土産に購入する気満々で訪れたものの、ヌクマムはたとえスーツケース内でも飛行機に持ち込むことがNG

地元の若きガイドさんはフーコック島の名産のヌクマム工場や、はちみつ農園、コショウ農園、仏教寺院、ハムニン桟橋の水上レストランなど、あれこれ案内してくれますが、なかなかビーチへ行こうとしません。

ベトナムでは貴重な水平線のサンセットを求めてフーコック島へ

ハムニン桟橋の水上レストラン。ガイドさんは友人とよくこちらへ行くそうです

「そろそろ、ロングビーチ(チューンビーチ)を見てみたいです」と、リクエストしてみました。ロングビーチとは西海岸に沿って約20キロも続く白砂ビーチで、いわば今回のメインイベントです。わかったと、ガイドさんが連れていってくれたのは、ホテル建設現場を抜けた、何もないビーチ。地元の親子が遊んでいるなごやかな風景の片隅には建設資材が転がっています。続いて連れていってくれたのは、真珠の加工工場を見学するふりをしながら建物を通り抜けた先の狭いビーチでした。

ベトナムでは貴重な水平線のサンセットを求めてフーコック島へ

ホテルの工事現場を抜けて、ロングビーチの一角へ。地元の人々の憩いの場でした

あれ? 何かが違う。どうやら若きガイドさんは、外資系ホテルの敷地内に入ってはいけないと意識にたたき込まれているようで、いわば裏ルートからロングビーチへ案内しようと試みているのだと気づきました。「ビーチに入っていいか、ホテルには私が聞いてみますよ」と言うと、「いいんですか?」と安心した表情を浮かべています。まじめなガイドさんでした。

ベトナムでは貴重な水平線のサンセットを求めてフーコック島へ

ソル・ビーチ・ハウス・フーコックで迎えた、待望のベトナムのサンセット

ようやくソル・ビーチ・ハウス・フーコックの白砂ビーチを堪能。サンセットに合わせて戻ると、ほんのりあかね色に染まるビーチに宿泊客が三々五々集まってきます。これがベトナムの海に沈む夕日なのかと、いつもの日没より、不思議にありがたく感じられました。

ベトナムでは貴重な水平線のサンセットを求めてフーコック島へ

リゾートホテルが進出中ではあるけれど、旅情あふれるフーコック

取材協力/ベトナム航空
http://www.vietnamairlines.com/jp/ja/

バックナンバー

>> 連載一覧へ

PROFILE

古関千恵子

ビーチライター。リゾートやカルチャー、エコなどを切り口に、国内外の海にフォーカスした読み物や情報を発信する。ダイビング雑誌の編集者を経てフリーとなり、“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”を繰りかえすこと四半世紀以上。『世界のビーチ BEST100』(ダイヤモンド・ビッグ社)の企画・執筆、『奇跡のリゾート 星のや 竹富島』(河出書房新社)の共著のほか、ファッション誌(『Safari』『ELLE Japon』など)やウェブサイトに寄稿。ブログも配信中。

急ピッチで進化中のカンボジアの秘境、ロン島

一覧へ戻る

竹馬漁と英国造園家が手がけた楽園 スリランカのウェリガマ

RECOMMENDおすすめの記事