楽しいひとり温泉

温泉+器 波佐見焼と三川内焼の器巡りと美肌湯 長崎県・波佐見温泉

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三川内焼美術館には、現代も活躍する名窯元の器がずらりと並ぶ

ひとり旅に出かけるときに、何かテーマや目的があると楽しいものです。今回のひとり温泉の目的は器の工房巡り。長崎県には、わずか数キロしか離れていない場所に、個性も成り立ちも制作過程も全く異なるやきものの里があります。 波佐見焼は近年、普段使いの暮らしに根付いたやきものとして発展し、デザイン性が高く日々を楽しくする器として人気があります。 三川内焼(みかわちやき)は、お殿様に献上する器を作る御用窯としての歴史が長く、当時は平戸焼と呼ばれ珍重されました。伝統を守りながら生み出される現代の器は海外からのゲストにも人気だそうです。 どちらも魅力的。「そうだ。両方のやきものの里を巡ってみよう」。いざ、器巡りのひとり温泉へ出発です。

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波佐見焼「西山」のギャラリー&ショップ

1日目は波佐見焼へ。人気の工房のひとつ「西山」を訪ねました。敷地には、昔ながらの木造家屋がショップになっているギャラリーと、大きな器工場があります。西山では、工房のオートメーション化を進めて、手仕事の部分と機械で作る部分を組み合わせて、すてきな器を手頃な価格で出せる工夫をしたといいます。

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西山の器は、カラフルな色使いと現代的なデザインが人気

西山の器は、テンションが上がってしまうようなカラフルでモダンなデザイン。しかも1000円~3000円ほどで手に入るのもうれしくて、ついついあれこれと手に取ってしまいます。

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大量生産を実現した西山の工場を見学

工場見学へ出発。わー。見事に器がどんどん作られています。素材は熊本の天草陶石が中心。オートメーションで作られた器を点検して運んでいくのは熟練者の仕事。その速さも神業です。

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制作過程はオートメーションと分業の組み合わせ

紋様入れは分業制で、筆で描くのが得意な職人もいれば、スタンプを正確に押していく専門の職人もいます。機械で紋様を入れる器もあります。

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オリジナルデザインの模様付け用のスタンプ

これが、西山が独自にデザインした紋様スタンプのパーツ。スタンプの紋様と筆描きが組み合わせされて器が完成していきます。

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器が大量に次々と焼きあがる自動制御の窯

オートメーションの窯。全長25メートルのトンネル窯を数時間かけて器が通る間に、高温で焼かれたり、クールダウンしたりして焼きあがってきます。すごい。

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ホテルブリスヴィラ波佐見の外観

もちろん、宿泊は温泉です。ホテルブリスヴィラ波佐見は、ひとりでも気軽に泊まれるお宿。すぐ前にある日帰り温泉施設の、はさみ温泉「湯治楼」(ゆうじろう)の入浴券付き。チェックインした日も翌朝も温泉に入れます。

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はさみ温泉「湯治楼」の露天風呂。川からの風が心地よい

湯治楼の温泉の泉質はナトリウム―炭酸水素塩泉、pH7.7の弱アルカリ性で、つるつるとろとろの感触にうっとり。内湯には三つの湯船があり全て源泉を使っています。ひとつは加温調整した源泉をかけ流しにしている湯船。その隣には加温源泉に人工炭酸ガスを溶け込ませた温泉炭酸風呂があります。こちらは少しぬるめの37~38度になっていてゆっくりと入れば、 温泉+炭酸ガスの作用で血行が促進されて、ぽかぽか。三つ目は冷泉の源泉をそのまま入れた冷泉風呂。サウナの後にクールダウンしたり、温かい温泉と温冷交互浴をして冷泉浴を楽しみます。露天風呂は、循環併用していますが、桜の季節は絶景花見温泉になります。

そして、なんとシャワーやカランまで全て温泉水を使っています。だから、シャワーを浴びていても、なんだか、ずっととろとろつるつる。せっけんやシャンプーをどこまで流したらいいのかわからなくなるほどで笑ってしまいます。

炭酸水素塩泉は、肌の汚れや古い角質を落としてくれるクレンジング作用が期待できます。髪や顔も温泉水のシャワーで流せるわけですから、頭皮も髪も顔もすっきり、髪の毛もさらさら。売店で地元のみかんを買ってビタミン補給し、上機嫌で朝を迎えました。

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三川内焼の平戸松山窯のギャラリーショップの建物

2日目は佐世保方面へ向かい、三川内焼の里へ。平戸松山(しょうざん)窯の格式ある建物に「御用窯」として栄えた歴史を感じます。江戸時代の後期に平戸藩の御用窯で将軍家への献上品として描かれていた代表的な図柄が唐子絵です。

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唐子絵をはじめ、複雑な手書き紋様の器が見事

ギャラリーには、唐子絵の器がたくさん並んでいます。原料は天草陶石。地は白く、絵柄は鮮やかな藍色がよいとされているそうです。

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現代の生活へと飛び出した表情豊かな唐子たち

伝統紋様の献上唐子絵は、松の下でチョウを追いかける唐子たちの姿を描いています。一つの器に描かれる唐子は将軍の持ち物の場合は7人、公家や大名は5人、一般の武士は3人と、身分の決まりがあったそうです。現代ではその唐子たちが伝統紋様から飛び出して、ひとりひとりイキイキした表情で様々な器で遊んでいます。「自由に組み合わせて日々の生活の中で楽しんでくださいね」と背中を押されて、お気に入りの唐子皿を自分用に。

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絵の濃淡は日本茶を筆に含ませることで調整する

工房では、下絵を入れた器を仕上げていくのは、全て職人さんの筆。色の濃淡が熟練の筆さばきで描かれていきます。

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ほぼ丸一日かけて焼きあがる、窯出しの瞬間

幸運にも窯出しを拝見できました。形の異なる器を窯のどの場所にどのように入れ込んで焼き上げるのかも、職人さんの経験と勘がものをいう最後の大切な工程だそうです。

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「泰平や」で、三川内焼の器に盛られた平戸藩ゆかりの料理を味わう

三川内皿山にある「泰平(たいへい)や」では、平戸松山窯の器で平戸名物の郷土料理を味わえます。江戸時代から平戸藩に伝わる「平戸寿司(すし)」は400年間受け継がれてきた武家料理。具を中心に詰めて外側から見せないという武士の美意識が込められた逸品です。中から穴子やしいたけ、野菜など、ざくざくと飛び出してきます。のっぺ汁は、とろみのある具だくさんのおつゆ。器は使ってこそ美しいと感じるひと時でした。

*泰平やは完全予約制。ランチは通常5人からですが、ほかにも予約が入っていれば、おひとり様でも受けていただける日もあります。

予約は10日前までに三川内陶磁器工業協同組合
TEL/0956-30-8311

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.温泉でのんびり泊まって器巡り
2.ひとりだと行きたいところに集中できる
3.お気に入りの器で日常も幸せに

ホテルブリスヴィラ波佐見
https://www.hotel-blissvilla.com/

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PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)ほか。新著「感動の温泉宿100」(文春新書)が10月に発売された。

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