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再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

約30年前に刊行された『12万円で世界を歩く』(朝日新聞社)。その旅と同じルートを歩いてみる旅。はたして12万円の予算で賄えるかどうか。1回目はタイ・バンコクから南下し赤道をめざした。今回から2回目のヒマラヤ編がはじまる。

赤道編でわかったことは、20年前頃から世界の空を飛びはじめたLCCの存在感だった。日本からや現地での航空券がかなり安くなり、4万円以上も安くあがってしまった。

【「赤道編1」はこちら】

ヒマラヤ編もLCCの恩恵にあずかることができそうだった。しかし問題は体力だった。ネパール、ヒマラヤ中部にあるアンナプルナでトレッキングに挑む旅。当時30代だった僕もいまや64歳。筋力の衰えは実感している。はたして歩ききることができるだろうか。1回目は日本からトレッキングルートの登山口近くの街ナヤプルまで。

今回の旅のデータ

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

東京からネパールのカトマンズに向かう航空券は、タイ・バンコク経由が安かった。トレッキングにかかる日数がわからなかったため、片道で購入。東京からバンコクまでは2万6982円、バンコクからカトマンズまでは2万8202円。30年前は東京からカトマンズまで往復で11万1640円かかっている。帰りの航空券運賃も一応調べてみた。片道で買っても前回より1万円以上は安くなりそうだった。LCCはやはりありがたい。

現地で使うことができる金額は約2万円。トレッキングはただ歩くわけだから、それほど費用はかからないはず……と読んでいた。

飛行機が遅れ、カトマンズにある、ポカラに向かう乗り合いバンがいるあたりに着いたのは深夜0時近かった。もうバンはない。何軒かのホテルがすでに閉まっていたが、道を歩いていた人が連れていってくれた。深夜でもなんとかなる感じだった。一泊500円ほど。カトマンズからポカラまでの乗り合いバンは、ひとり約525円。

長編動画


【動画】ポカラからナヤプルに向かうバスの車窓風景を。ナヤプルはアンナプルナトレッキングの登山口近くの街。しだいに高度があがっていく感覚。味わってください。

短編動画1


【動画】カトマンズからポカラに向かう途中。乗り合いバンのタイヤがパンク。で修理休憩。近くで売っていたサトウキビをもらって味見……。普通のサトウキビでした。

短編動画2


【動画】カトマンズからポカラに向かう途中の食堂で。チャパティーというネパールのパンとミルクティー。あっという間につくってくれました。

タイ・バンコク経由で東京からネパール・カトマンズ、ナヤプルへ「旅のフォト物語」

Scene01

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

東京からバンコクまで乗ったのはLCCのノックスクート。運賃は片道2万6982円だったが、荷物を預けるとプラス3200円。なんとか機内持ち込みにしたいが、7キロまでというルール。で、着込みました。下着を2枚。セーターの上にダウンジャケット。トレッキング用のアウトドアウェアは手持ち。11月とはいえ汗だくチェックイン。

Scene02

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

バンコクからネパールのカトマンズまでの航空券は、LCCではなくネパール航空が最安値で片道2万8202円。預ける荷物は25キロまで無料。やっと身軽になった。しかし飛行機は遅れ、夜の到着に。カトマンズのトリブバン国際空港でネパールの到着ビザを25ドルでとった。申請はビザオフィスのモニターで行う。手伝ってくれる職員がいて、目にもとまらぬ速さで項目を埋めてくれた。

Scene03

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

ホテルに一泊し、翌朝6時半。カトマンズのゴンガブ・バスパーク手前の路上に、ポカラ行きの乗り合いバンが何台も止まっていた。満席になると出発するスタイルだ。各車でいう料金が違う。吹っかけてる? いちばん安い値段を口にした車にした。ポカラまで525ルピー、約525円。6時間で着くという。

Scene04

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

空席が埋まるまでの時間でわさわさと朝食。揚げパン25ルピー、チャイ20ルピーで、合計45ルピー、約45円の朝食でした。揚げパンは中身がしっかり詰まっていて、ボリューム感がある。結局、乗り合いバンは空席を残して7時に出発。途中で客が待っているらしい。運転手の携帯電話が頻繁に鳴る。あわただしい出発です。

Scene05

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

すぐに車体が激しく上下に揺れる悪路。30年前を思い出す。夜行バスに乗ったが、頭が天井につきそうになるほどジャンプした。ネパールの道は相変わらずなのか。でも、杞憂(きゆう)でした。道が悪いのはカトマンズ市内。郊外へ出るとすいすいと進んだ。1時間ほどで休憩。雪をかぶった山に胸がちょっと高鳴る。

Scene06

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

カトマンズからポカラまでの道は、日本でいったら東京から大阪に向かう幹線。途中の街の規模も大きい。ぼんやり見ていると、阿部稔哉カメラマンが、「ビールの『ツボルグ』の看板、多くないですか?」。確かにこの建物一帯は「ツボルグの関係者かッ」といいたくなるほどの多さ。でも店には置かれていないことが多い、不思議。

Scene07

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

乗り合いバンは焦って出発したわりに、ちょこちょこトイレ休憩。ときに運転手の買い物もある。こういう充実した八百屋兼果物屋を見ると、ついのぞいてみたくなる気持ちもわからないではないですが……。ネパールの暮らし、着実に豊かになってきたこと、この店をみればわかります。

Scene08

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

僕らのバンに追走するバイクが1台。バイクにはなぜかカナダ国旗が。バンにはカナダ人のおばあちゃんがネパール人女性と乗っていた。バイクを運転するのは、ネパール人女性の夫で、おばあちゃんの孫だろうか? バイクをもっとよくみると、ナンバーが手書き。ネパールではこれでもいいんですね? 一応、本物らしいのですが。

Scene09

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

カトマンズから遠のくにつれて、時代をさかのぼっていくように感じるのがネパールという国。ブランコも金属製から竹製に。それと呼応するかのように、乗り合いバンもパンク。修理のために車が止まると、道端にサトウキビ屋が。売り物のサトウキビを分けてくれました。ネパールらしい旅になってきました。その様子は短編動画でも。

Scene10

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

ポカラに着いた足で観光案内所へ。ここでトレッキング許可証を発行してくれる。料金は3000ルピー、約3000円もするが。女性職員にアンナプルナトレッキングの登山口までの行き方を聞いた。教えてくれたのはバグルン・バスパーク。後で知ったのだが、ほとんどの客は四輪駆動車をチャーターして登山口に向かう。なぜか、僕らにはバス。そういう顔をしてた?

Scene11

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

バグルン・バスパークに行くと、シワイ行きのバスに乗れという。間もなく出発といわれて、なにも考えずに乗ってしまった。これが後でトラブルを生むことになる。バスがあったらすぐに乗る……これは、『12万円で世界を歩く』の旅で身についてしまった節約旅のノウハウ。バスはどんどん高度をあげる。振り返るとポカラの街。

Scene12

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

このバスの運賃は500ルピー、約500円。四輪駆動車をチャーターすると1台7000ルピー、約7000円と聞いて、すごく得した気分になった。しかしそこが落とし穴。シワイにはホテルがなく、僕らは手前のクミで降ろされてしまい、翌日、そこから登り口まで歩くことに。乗客の大半は地元の人。そこで気づくべきだった。その話は次回で。

Scene13

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

午後4時。バスはトイレ休憩。僕らは昼食も食べていなかった。1個30ルピー、約30円のサモサで空腹をしのぐ。明日からトレッキングだというのに、こんなことでいいんだろうか。山が深くなってきた。途中の大きな街はナヤプル。そこにも着いていない。はたして今夜、僕らはどうなる?

Scene14

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

バスの運転席にはヒンドゥーの神がまつられていた。バスの運転手たちは皆、安全を祈ってこうするのだろう……程度に思っていた。しかしこれはナヤプルから先の厳しい山岳路を考えてのことだと、1時間後に思い知らされることになる。それほどひどい道が待っていたのだ。その話も次回で。

Scene15

再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編1

バスはようやくナヤプルに着いた。午後5時。すでに暗くなりかけていた。乗客はほぼ全員が降り、道に沿った店で買い物をはじめた。運転手はセーターを着こみ、その上からジャンパーを羽織り、手袋をはめる。そして店でポリ袋に入った弁当を買う。皆、準備をしている。なんの準備? 僕らにはそれがわからなかった。

【次号予告】次回はアンナプルナトレッキングの登山口へ。

※取材期間:2018年11月2日~3日
※価格等はすべて取材時のものです。

PROFILE

下川裕治

1954年生まれ。「12万円で世界を歩く」(朝日新聞社)でデビュー。おもにアジア、沖縄をフィールドに著書多数。近著に「一両列車のゆるり旅」(双葉社)、「週末ちょっとディープなベトナム旅」(朝日新聞出版)、「ディープすぎるシルクロード中央アジアの旅」(中経の文庫)など。最新刊は、「世界最悪の鉄道旅行 ユーラシア大陸横断2万キロ」 (朝日文庫)。

フォトグラファー

阿部稔哉(あべ・としや)
1965年岩手県生まれ。「週刊朝日」嘱託カメラマンを経てフリーランス。旅、人物、料理、など雑誌、新聞、広告等で幅広く活動中。最近は自らの頭皮で育毛剤を臨床試験中。

再び「12万円で世界を歩く」赤道編5

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再び「12万円で世界を歩く」ヒマラヤ編2

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