太公望のわくわく 釣ってきました

恵みの雨に期待してアマゴ釣り 和歌山県・四村川

分かっていても、行動に出てしまうのが、本当に釣りが好きだからなんでしょうか?

自分でもおかしいぐらいに……。

3月1日に、近畿圏のほとんどの河川で渓流釣りが解禁になりました。渓流釣りでも、アユ釣りでもそうなんですが、解禁日というのは、この釣りが好きな人間にとっては、お祭りでもあり、一種の行事でもあるような気がします。

ここ10年ほど、解禁日は欠かさず、和歌山県熊野川の支流にあたる、四村川へ出向いています。サイズこそ望めないものの、数が釣れるからなんです。多い年は3ケタという数字も残しています。少なくても40、50尾は望めました。

しかし、昨年秋からの雨が少なく、今年の紀州では「瀬切れ」と言って、表面を水が流れない状態の川まで出ていたのです。川の釣りは水次第とは、先輩からの教えですが、今シーズンの渓流は、非常に悪いと予想していたのです。解禁日は23尾と、やはり自分が予想していた状況でした。

昨年の台風で、また川沿いの道路がえぐり取られ、工事もしていました。工事場所から下流は石の泥がかぶったままです。工事現場の上流は川底の石もきれいでしたが、釣果が少なく感じました。水量のせいでしょう。

雨さえ降れば……と思っていたところに、3月6日、そこそこの雨が降りました。

川の釣りは水次第。少しでも増えれば、岩の穴に隠れていたアマゴも出てくるのではないか。解禁日以降、竿(さお)が入っていても、また釣れるのではないかと、3月7日に車を走らせたのでした。

今回は、解禁日よりさらに上流を攻めてみようと思っていました。いくら水が増えたとはいえ、1週間前に自分が攻めたポイントにもう一度入るのはどうかと思ったのです。

恵みの雨に期待してアマゴ釣り 和歌山県・四村川

エサのイクラは塩漬けしたもの。しょうゆ漬けイクラが主流で、スーパーではほとんど入手できない。切った仕掛けは、丸めてエサ箱へ

用意を済ませ、川へ降りて行きます。雨のおかげで、前回より10センチほど水位が上がっていました。これはひょっとして、と、釣果を「つ抜け」の10尾、と予想しました。つ抜けとは、数を数えるときに、ひとつ、ふたつ…、ここのつまでは”つ”が入りますが、10からは入らないために、10尾釣ることをつ抜けというんです。釣り独特の呼び方ですね。

釣りだして早々、アマゴが目印をさっと走らせ、アタリが来ました。こんな派手なアタリ方なら、つ抜けの倍は行くのでは、と期待したものの、なかなか次が釣れません。ポツリポツリと、拾い釣りとはこのことです。

恵みの雨に期待してアマゴ釣り 和歌山県・四村川

すんなりと1尾目が釣れて、順調に釣れるかと思ったが…

恵みの雨に期待してアマゴ釣り 和歌山県・四村川

成魚放流しないので、釣れるアマゴは、尾ビレがピンと張っていてきれいだ

雨で増水したにもかかわらず、この釣れ具合なら、10センチの増水は、条件として良くなっていない印象です。もっと水がないとアマゴは動かないのかもしれません。とは言っても、釣りだした以上、このまま上流を目指して上がっていくしかないのです。

恵みの雨に期待してアマゴ釣り 和歌山県・四村川

小さな滝ツボは、魚の隠れ家になるのだが

途中から、目がかゆくなりだしました。雨後の晴れで、スギ花粉が飛散したのでしょう。以前は何ともなかったのに、今年は、杉花粉にやられた感じです。だからと言って、渓流釣りはやめないですけどね……。

恵みの雨に期待してアマゴ釣り 和歌山県・四村川

渓流では、いろいろなもので春を感じることができる。ネコヤナギは、地味だが、銀色に輝いている

ある場所からは、先行者とみられる靴の跡形が見られるようになり、そこからまったくアタリが途絶えました。お昼を過ぎ、これ以上上っても釣果が期待できないと、道路への上がり口を探しながら釣りをし、ここなら上がれるというところに来て、道路から「安田さん」と声が掛かったのです。

解禁日に一緒に釣りをした、堺市の河野さんでした。

やっぱりなー。「ほんで、なん尾釣りました?」と聞くと、「20ほど」という答えが返ってきました。「この前入ったところが悪かったので、雨が降って良くなったんじゃないかと、上流を攻めてみた」とのこと。私とまったく同じ考えだったのですね。

ということで、この日の釣果は、最初に予想を立てた、つ抜けは達成していました。

恵みの雨に期待してアマゴ釣り 和歌山県・四村川

目標通りの10尾、つ抜けの釣果。長い期間の減水がたたっているのか

時間も早いことだし、違うポイントへ移動するも、釣果は増えず。

帰りにフキノトウを採取して、四村川を後にしました。アマゴは唐揚げに、フキノトウは天ぷらにして、夕食のおかずになりました。(文・写真 安田明彦)

恵みの雨に期待してアマゴ釣り 和歌山県・四村川

私の場合、フキノトウも「釣果」の一部となる

PROFILE

釣り大好きライター陣

安田明彦、猪俣博史、西田健作、石田知之、木村俊一

安田 明彦

釣りライター

1959年大阪市生まれ。父親の影響で子供のときから釣りが大好き。大学卒業後、釣り週刊誌の記者、テレビの釣り番組解説者などを務め、「やっさん」の愛称で親しまれる。あらゆる釣りを経験するが、近年は釣って楽しく、食べてもおいしい魚だけを求めて行くことが多い。釣り好き、魚好きが高じて、大阪市内で居酒屋「旬魚旬菜 つり宿」を営んでいる。

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