「生きるレシピ」を探す旅 ―志津野雷―

アンダマン海でダイビングざんまい、ボートトリップ6日間

ゴールデンウィークの湘南の恒例イベントになっている「逗子海岸映画祭」の発起人で、移動式映画館「シネマキャラバン」も主宰する写真家の志津野雷。1年の大半を旅に費やし、写真や映像を撮り続けている。

この連載『「生きるレシピ」を探す旅』は、自然や逗子をこよなく愛し、思索しながら旅をする志津野が自分たちの生活にいかせるかもしれないと感じたヒントや思いをつづるエッセーです。

今回は、世界有数のダイビングスポットとして知られるアンダマン海にあるタイ・シミラン諸島へ。

食わず嫌いのダイビングで教わったこと

ダイビングにそこまで興味はなかった。重たそうな機材を抱え、自分一人で気軽に行ける感じではないので……。いわゆる典型的な食わず嫌いみたいなものだった。

撮影テーマを絞りコンセプトが決まってくると、気にもしなかったことに急に光が当たりだす。自分の中でダイビングはそういう経験をさせてくれるもののひとつだ。

去年、僕の携わるCINEMA CARAVANのプロジェクトのご縁で、三浦半島最南端の城ヶ島にあるダイビングセンター(http://jdc-net.jp)でダイビングのライセンスを取得した。

海水に入ること自体は全く抵抗はないが、水中で呼吸ができることにはまだ違和感がある。まだまだ経験が浅い中、今回ダイビングざんまいの旅をした。アンダマン海のシミラン諸島でのボートトリップ6日間の旅だ。

アンダマン海でダイビングざんまい、ボートトリップ6日間

撮影=すべて志津野雷

アンダマン海でダイビングざんまい、ボートトリップ6日間

地球や人間に不可欠な水、その循環や恩恵を視覚化する僕にとって、この旅は自然の流れだった。

シミラン諸島周辺の海は、世界有数のダイビングスポットとして知られる。

アンダマン海でダイビングざんまい、ボートトリップ6日間

アンダマン海でダイビングざんまい、ボートトリップ6日間

アンダマン海でダイビングざんまい、ボートトリップ6日間

アンダマン海でダイビングざんまい、ボートトリップ6日間

アンダマン海でダイビングざんまい、ボートトリップ6日間

今回の旅は、タイ南部にあるカオラックに拠点も持つe-diveさん(http://www.edivekhaolak.com)にお世話になった。近くの港からボート生活に必要な機材や食料を積み出航。

シミラン諸島は、大きく分けて九つの島からなり、島々の周りにあるサンゴや岩の近くに無数の魚たちが集まっている。その魚たちを観察しているだけでも十分だが、ハードコーラルの群生、水中遺跡のような岩盤地形、カラフルなソフトコーラルなども楽しめる。

インストラクターたちが、その日の海のコンディションを見て、ダイビングポイントを決め、潜り、次のポイントへ移動する。移動中にその場所ごとの地形や潮の流れ、生態系の説明をしてもらい、準備をして1日4本~5本潜る。1本あたりの潜水時間は約45分。

これを毎日繰り返した。

アンダマン海でダイビングざんまい、ボートトリップ6日間

アンダマン海でダイビングざんまい、ボートトリップ6日間

アンダマン海でダイビングざんまい、ボートトリップ6日間

アンダマン海でダイビングざんまい、ボートトリップ6日間

アンダマン海でダイビングざんまい、ボートトリップ6日間

潜る時間帯によっては、同じポイントでも異なる表情を見せてくれ、あっという間に時間は過ぎていく。この短期間で集中して練習できたことで飛躍的にダイビング技術を上げさせてもらった。

脳や体をできるだけリラックスさせてあげればその分だけ酸素の消費も少なくなる。不慣れな撮影機材のことや、酸素の心配、恐怖心などで頭がいっぱいになり、他のダイバーより早くあがらなければならないことも多々あった。もちろん知識や技術はあったほうがいい。ただそれ以上に力まず、欲張らず自然に身を任せることが大事だ。

以前から感じていることだが、自然の中から戻るとその時間がとても濃密だったことに気づく。海中での時間で、海の生物が生きること(捕食することや子孫を残すこと)をより感覚的に行っているという、自然の循環を目の当たりにした。そのことに圧倒された弱き人間の僕は空気のあるいつもの生活に帰ってくると、とてつもない安堵(あんど)感に包まれる。

アンダマン海でダイビングざんまい、ボートトリップ6日間

便利な生活で見失いやすい意識を思い出させてくれた今回の旅。海の中からシンプルに”生きる”という当たり前のことを教わった。

アンダマン海でダイビングざんまい、ボートトリップ6日間

PROFILE

志津野雷

写真家、シネマ・キャラバン主宰、「逗子海岸映画祭」発起人。自然の中に身を置くことをこよなく愛し、写真を通して本質を探り、人とコミュニケーションをはかる旅を続ける。ANA機内誌『翼の王国』や、ロンハーマンなどの広告撮影を中心に活動。2016年初の写真集「ON THE WATER」を発売。

写真家が世界を旅した記憶、映画『Play with the Earth』への思い

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