クルーズへの招待状

洋上の宮殿 クイーン・メリー2で上海から北九州へ

洋上の宮殿 クイーン・メリー2で上海から北九州へ

「洋上の宮殿」とたたえられる客船クイーン・メリー2(画像提供:キュナード・ライン)

客船クイーン・エリザベス(9万900トン)はとても有名ですが、同じキュナード・ラインの同僚客船クイーン・メリー2(15万1400トン)も知名度では負けていません。この船は2004年、当時の世界最大客船としてデビューし、命名式では英国のエリザベス二世女王陛下がゴッドマザー(名付け親)を務めました。さらに、船上初のプラネタリウム劇場「イルミネーションズ」を搭載したことでも話題を呼びました。

クイーン・メリー2が就航15年を迎える今年は、3月1日に北九州に初寄港することを発表。そこで、上海~天津~北九州のクルーズに乗船しました。

キュナード・ラインは、1839年サミュエル・キュナード氏らにより創業され、1840年、同社の第1船ブリタニア号が初の大西洋定期航路を開始したことに端を発する歴史の長い会社です。デッキ3には、初の大西洋横断で訪問したボストン港で、市民から感謝の印に贈られた銀製カップが今もなお飾られています。さらに、グランド・ロビーの上部を彩る銅板レリーフ、ブリタニア・レストランにかけられた大型タペストリー、同社の歴代の客船たちの絵画や乗船したスターたちの写真など、船内各所には豪華客船史を生き抜いてきたキュナード・ラインならではの品々を陳列し、マリタイムミュージアムの趣を醸し出しています。

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1840年ボストン市民から感謝の印に贈られた銀のカップ(以下、撮影=すべて上田英夫)

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グランドロビーを飾る銅版レリーフ

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2層吹き抜けのブリタニア・レストランには大型タペストリー

この船は木製甲板を多用していることも特徴です。しかも、多数の娯楽遊具などは配置せず、広々とした甲板に、シャッフルボード、デッキクオイッツ(輪投げ)といった昔ながらのデッキゲーム盤が白いペンキで描かれているのも、懐古調です。今回はのんびりとした船上の時の流れに誘われて、数十年ぶりにデッキクオイッツで遊んでみました。

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広いウッドデッキに描かれたシャッフルボード盤

また、蔵書数約8000冊の洋上最大級の図書室もこの船の自慢。重厚かつ静寂の中での読書は、時のたつのも忘れさせてくれました。

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洋上最大級の図書室。日本語書籍も

昼食に、キングス・コートというビュッフェレストランに行ってみると、サラダ、パスタ、ピッツア、冷肉料理、温肉料理、カレー、サンドイッチ、チーズ、デザートなど多岐にわたり、ラーメンやすしまであったことに驚きました。

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キングス・コートのランチタイムで発見したラーメンとすし

3日目、クイーン・メリー2は中国・天津港へ到着。上陸オプショナルツアー「ザ・グレートウォール(万里の長城)訪問」に参加しました。万里の長城とは紀元前7世紀の春秋時代から明代まで2000年以上にわたり造成を続けてきた総延長約2万1000kmの世界最長の壁。1987年にはユネスコの世界文化遺産にも登録されました。

今回は、天津市薊県(けいけん)にある黄崖関長城を訪問。ここは、城を守る関所として556年ごろに建てられ、黄色い壁が夕日を浴びて、金色に輝くことからこの名がつけられたそうです。始めはなだらかな坂から、不均等な石段、段差の高い石段、そして急こう配の石段と続き、45分ほど登ったところで休憩。さらに約15分登りましたが、頂上に思えた先にも道が続くので、引き返すことに。以前訪れた八達嶺長城よりすいているので、ゆっくりと眼下の景色を楽しみながら降りてくることができました。そして、せっかくの記念なので10米国ドル払い、名前入りの「万里の長城に登った証明書」をもらいました。

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万里の長城の天津市薊県にある黄崖関長城

ところで、船内には、エレガントなシャンパンバー、眺望の良いコモドアー・クラブ、ジャズ演奏も行われるチャート・ルームなどしゃれたバーがたくさんあります。上陸観光から戻り、シャワーを浴びて、バーで食前酒を1杯飲むのは、続く夕食への粋なプロローグとなるでしょう。今夜のプリンセス・グリルでの夕食は、エスカルゴ、マッシュルームスープ、そしてこのレストランの人気料理・子羊のロースト。さらにテーブル横のワゴンでフランベの炎とともに仕上げるデザートのクレープシュゼットが華やか。一皿一皿を丁寧に仕上げる演出もごちそうのうちです。

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食前酒もクルーズの楽しみ

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プリンセス・グリルの名物は炎を上げるフランベの演出

クイーン・メリー2といえば、クイーンズ・ルームで開かれる服装にテーマを持たせた舞踏会が有名ですが、今回も有志の乗客がアジアの民族衣装などを着て踊る「アジア舞踏会」、和服風衣装や花かんざしなどをつけて踊る「蝶々夫人の舞踏会」などが開催されました。社交ダンスの他にも、日替わりのショーが楽しめる劇場、本格的カジノ、2階建てのダンスクラブなど、バラエティー豊かな娯楽の選択肢も「洋上の宮殿」の貫禄と言えるでしょう。未来型とは一線を画す伝統の香り漂うクルーズは、20世紀に乗った優雅でのどかな船旅時代を彷彿(ほうふつ)とさせてくれました。

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蝶々夫人の舞踏会

洋上の宮殿 クイーン・メリー2で上海から北九州へ

歴史を感じるクルーズがクイーン・メリー2の魅力

そして、クイーン・メリー2は3月1日北九州に初寄港。岸壁には話題の客船を一目見ようと集まった大勢の人々で埋め尽くされていました。4月には同僚船クイーン・エリザベスが日本発着クルーズを予定しています。女王船たちによる日本関連クルーズは各港に華やかな春を運ぶことでしょう。

このクルーズの問い合わせは最寄りの取り扱い旅行会社まで。
https://www.cunard.jp/

PROFILE

上田寿美子

クルーズライター、クルーズジャーナリスト。日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。クルーズ旅行の楽しさを伝え続けて30年。外国客船の命名式に日本を代表するジャーナリストとして招かれるなど、世界的に活動するクルーズライター。旅行会社等のクルーズ講演も行う。著書に「豪華客船はお気に召すまま」(情報センター出版局)、「世界のロマンチッククルーズ」(弘済出版社)、「ゼロからわかる豪華客船で行くクルーズの旅」(産業編集センター)、「上田寿美子のクルーズ!万才」(クルーズトラベラーカンパニー)など。2013年からクルーズ・オブ・ザ・イヤー選考委員。

大改装直後の「セレブリティ・ミレニアム」でアジアクルーズ

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