永瀬正敏フォトグラフィック・ワークス 記憶

(2) 見つめる先は 永瀬正敏のカメラ その向こうの未来

(2) 見つめる先は 永瀬正敏のカメラ その向こうの未来

© Masatoshi Nagase

とにかく無表情で、笑わないで、カメラのレンズの先に未来があるような強い目で見てほしい。撮影の時、彼女たちに、そうお願いしたように思う。手にしているのは、未来を照らす小さなともしび。彼女たちは、未来そのものだから。

青森県深浦町にあるこの岬の形が気に入って、撮影に協力してくれる高校生の女性がいないか地元の方に相談したら、県立木造高校深浦校舎の生徒が、先生と一緒に歩いて来てくれた。この時が初対面だった。

個々人のいろいろな思いを撮りたかった。日没前のマジックアワーのわずかな光、青森県を取り囲む海と、いろいろな要素を入れて。この世とあの世の境界線のようなものも、どこかで意識していた気がする。

昔のイギリス映画「さらば青春の光」で、主人公が断崖絶壁からスクーターでジャンプするシーンがある。ここへ来て、その場面を思い出した。もっとも、崖の高さは、映画のほうが10倍は高いと思うけれど。

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> (1)雪にハネト
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PROFILE

永瀬正敏

1966年宮崎県生まれ。1983年、映画「ションベン・ライダー」(相米慎二監督)でデビュー。ジム・ジャームッシュ監督「ミステリー・トレイン」(89年)、山田洋次監督「息子」(91年)など国内外の約100本の作品に出演し、数々の賞を受賞。カンヌ映画祭では、河瀬直美監督「あん」(2015年)、ジム・ジャームッシュ監督「パターソン」(16年)、河瀬直美監督「光」(17年)と、出演作が3年連続で出品された。近年の出演作に石井岳龍監督「パンク侍、斬られて候」、甲斐さやか監督「赤い雪」など。写真家としても多くの個展を開き、20年以上のキャリアを持つ。2018年、芸術選奨・文部科学大臣賞を受賞。

(1) 雪原に、夏のハネト衣装で横たわる 永瀬正敏・想像の青森

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(3) 風が止まっていた 風車の羽も 永瀬正敏の青森 

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