京都ゆるり休日さんぽ

仕事や暮らしのパートナーに 京都「革工房Rim」で新生活の品々を

京都には、伝統工芸や芸術の分野以外にも、みずみずしい感性でものづくりに取り組む作り手がたくさんいます。「革工房Rim(リム)」の押野敬子さんもその1人。古い一軒家のアトリエ兼ショップで、すべて手作業で作られるオリジナルの革小物やバッグは、シンプルながらも形や配色に遊び心が宿ります。旅行中に出合い、そのまま気に入って旅のおともにする人も少なくありません。

仕事や暮らしのパートナーに 京都「革工房Rim」で新生活の品々を

鮮やかな色のスエードのバッグは、斜め掛けにしたり巾着型にしたりとアレンジして楽しめる

ダークカラーのイメージが強い革小物ですが、Rimに並ぶのは布地のようにカラフルな品々。発色がよく、使うほどに味わいを増す植物タンニンなめしの革を用い、色とりどりの糸で一針一針手縫いで仕上げます。

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マチ付き名刺ケース(6,800円)、キーホルダー(S・2,800円〜)、イヤホン&コードホルダー(1,800円)など。すべて税込み

財布やカードケースといった革小物の定番から、スリッパやティッシュケースなどのインテリア用品、経年変化を楽しみながら使い込んでいきたいバッグなど、多彩なラインナップはお目当ての品を心に決めていても目移りしてしまうほど。かごバッグのハンドルやカバーに革をあしらったり、観葉植物をつり下げるプラントハンガーやワインボトルケースなど意外なものに革を使ったりと、自由な発想で独自のレザーアイテムを作ってきました。

仕事や暮らしのパートナーに 京都「革工房Rim」で新生活の品々を

ショップオープン時は、アトリエで作業しながらお客様を待つ

「自分が日々の生活の中で『こういうものがあったらいいな』と感じることが、アイデアの源です。例えばプラントハンガーは、ロープを編んだものはよく見かけますが、シンプルな革製のものは見当たらない。私と同じように、誰かがこういうものを探しているんじゃないかって」と押野さん。違いを表現しにくい革製品の中で、京都の外からわざわざRimを訪ねて来る人が多いのは、そんな「ありそうでなかった」ものづくりに共感してのこと。好みの革と糸を選べるセミオーダーでは、1時間も2時間も組み合わせを悩むお客様もいます。

仕事や暮らしのパートナーに 京都「革工房Rim」で新生活の品々を

セミオーダーで選べる革と糸の数々。名前や日付を刻印してもらうこともできる

小さい頃から手を動かすのが好きで、友人にもらった革の切れ端で小物を作ってみたことがきっかけで楽しさに目覚め、独学でレザークラフトの道を歩み始めたという押野さん。この店を始める以前は、「あじき路地」という若手の作家が職住一体の暮らしを営む町家長屋で、看板作家の1人として活躍していました。あじき路地を「卒業」後、2011年にアトリエを兼ねたショップをオープン。「作り手と話せたり、工具や作業風景が見られたりすることで、手仕事の良さが少しでも伝われば」と押野さんは話します。

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アトリエには色とりどりの革が並ぶ

その言葉通り、ずらりと並んだ裁断前の革のロールや武骨な工具の数々を見ると、1枚の革が作品に仕立てられていくプロセスに想像がふくらみます。革を縫う作業は、まず菱(ひし)目打ちという工具で点々と糸を通す穴を打ち、裏表どちらから見ても縫い目が整うよう糸を交差させていきます。厚みのある革を丈夫に縫いとめていくのは、見た目以上の力仕事。できあがった作品は、均一に縫われているはずなのに不思議と縫い目に表情が生まれ、温かさがにじみます。

仕事や暮らしのパートナーに 京都「革工房Rim」で新生活の品々を

左はグレーの長財布。右が押野さん愛用の同色のもの。使うほどにツヤが出て色合いも変化する

革は、使い続けるうちに柔らかくなじみ、味わい深く変化していくもの。持ち主の日々を映すかのように、よく使うポケットが柔らかくなり、いつも持つ部分の色がワントーン深くなります。どんどん「年をとって」いく様子は相棒のようでいとおしいものです。新年度を迎え、仕事や環境が新しくなる人が多いこの季節。京都の若き作り手が生み出す手仕事の品は、仕事や暮らしに彩りを添え、新しい日々にエールを送ってくれるはずです。(撮影:津久井珠美)

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古いガラスの建具が印象的な外観。思わず足を止める人も多い

革工房Rim
https://www.rim-works.com

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PROFILE

大橋知沙

編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブック、カフェ、雑貨などのムック本・書籍を中心に取材・執筆を手がけるほか、手仕事や印刷の分野でも書籍の編集に携わる。主な編集・執筆に『恋するKYOTO雑貨』(成美堂出版)、『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

PROFILE

津久井 珠美(つくい・たまみ)

1976年京都府生まれ。立命館大学(西洋史学科)卒業後、1年間映写技師として働き、写真を本格的に始める。2000〜2002年、写真家・平間至氏に師事。京都に戻り、雑誌、書籍、広告、家族写真など、多岐にわたり撮影に携わる。
http://irodori-p.tumblr.com/

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