美しい丘の街で特産のトリュフざんまい クロアチア・モトブン
文: 相原恭子(文・写真)

おとぎ話の絵のように美しい丘の街、モトブン
クロアチアのイストラ半島をドライブしながらモトブンへ。遠くの丘の上にそびえる街が、モトブンです。周辺は丘陵地帯になっており、森やワイン用のブドウ畑が取り囲んでいます。車が近づくにつれ、街の様子がはっきりと見えてきます。

丘を堅牢な城壁が取り巻いています

対向車が来たらどうしよう、と不安になるほど細い路地が続きます
車でカーブの多い石畳の細い道を昇っていきます。こぢんまりとしていて歴史を感じさせる街です。モトブン観光局のミケラさんがレストラン「モンド」で出迎えてくれました。彼女によれば、モトブンとはケルト語で「丘の上の都市」という意味だそうです。約500人が丘の上の旧市街に、約1千人が丘を降りた地域に暮らしているといいます。

さりげない小さなレストラン「モンド」
レストラン「モンド」は、ニューヨーク・タイムズなど各国のメディアで紹介された、美食家には知られるレストラン。地元特産の香り高いトリュフをぜいたくに使った料理と、地元モトブンのワインが人気です。近隣のオーストリア、ドイツ、スロベニアはもちろん、アメリカ、カナダ、アジアからのお客さんも多いそうです。有名ではありますが、アットホームな雰囲気でくつろげるレストランです。
トリュフというとイタリアを思い出す人が多いかもしれませんが、ここモトブン周辺の森はトリュフの産地。ミケラさんによれば、1999年には1.3キロを超える巨大なトリュフが発見されました。

地元のワイン醸造所「トマズ」の白ワイン
「モンド」のオーナー、クラウディオさんがまず薦めてくださったのが、地元の醸造所トマズの白ワイン。ブドウの品種はイストラ半島を代表する「マルヴァジア」。フェンネルの爽やかな香りと白コショーのかすかなスパイシーさがあり、軽快でありながらも骨格があります。トリュフに合います。マルヴァジアはスロベニアやイタリアなど近隣諸国でも栽培されています。

トリュフとオリーブのディップ
トリュフとオリーブのディップ。運ばれてきたとたんに、トリュフの香りが漂います。オリーブの割合は少なく、ほとんどがトリュフ! パンにのせていただくと、その香りと味わいの素晴らしさにびっくり。いままでに食したトリュフは何だったのかしら、と思うほどです。

トリュフをふんだんにかけた牛肉のカルパッチョ

目の前でバッサバサとトリュフを削ります

ホウレンソウのペーストとセロリのみじん切りが入ったラビオリにもトリュフ
牛肉のカルパッチョは脂肪の少ない牛肉にチーズ、トリュフが絶妙のハーモニーを醸し、ケッパーとバルサミコが味わいを引きしめています。卵黄が入ったホワイトソースのパスタにも、トリュフがとても合います。ラビオリにもトリュフ。すごいトリュフ尽くしです。私が着ているブラウスにもトリュフの香りが移ってくるかのようです。

小さな旧市街を散策

展望抜群のテラス

城壁の堂々とした門
標高約270メートルの丘からの眺望は抜群。周囲に広がる緑の丘陵地帯やブドウ畑、澄み切った空を眺めながら、ランチの後で旧市街を散策しました。英語はもちろん、イタリア語も通じます。7割近くの住民がイタリア語を話すそうです。旧市街の街並みは13世紀から16世紀ごろの姿を今に伝えています。

夕闇が迫るテラス
静かな夕闇が迫ると、語り合う人たちの姿があります。できれば旅は急がずに、時の流れに身をゆだねて、その土地のライフスタイルや文化を肌で感じたいものです。この日は多少時間に余裕があったので、地元の人たちと夕暮れのひとときを楽しみました。そんなわずかな時間が後になってみると、忘れがたい旅の思い出となるものです。
【取材協力】
モンド
www.eistra.info/mondo-konoba/
クロアチアハートフルセンター
http://croatia.jp/croatia-travel-center/
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