楽しいひとり温泉

温泉+庵 文豪気分で離れにおこもり 広島県・宮浜温泉「庭園の宿 石亭」

温泉+庵 文豪気分で離れにおこもり 広島県・宮浜温泉「庭園の宿 石亭」

ひとり宿泊も可能な「居中庵」

しとしとと、屋根をつたう雨の音に耳を澄ます。庭の奥にぽつりとしつらえた庵(いおり)で過ごす静かな時間は、ひとり旅ができる人生の喜びのように感じられて、「雨の旅もいいものだ」とつぶやきたくなります。

広島県廿日市市(はつかいちし)にある宮浜温泉「庭園の宿 石亭」は、瀬戸内の海の向こうに大きな宮島を見渡す場所に建っています。「宮島というのはいまだに船でしか行けない場所で、豊かな自然の宝庫なんですよ」と今回の宿の仲居さん。

森のミネラルが海へと運ばれて、おいしいカキや魚が育つそうです。そんな海の潮風も感じられる立地で日本庭園を囲むように宿泊する部屋が並んでいます。この宿でひとり宿泊ができるのは、「居中庵」という小さな庵です。海に向かって下っていく長い回廊を、仲居さんに誘われ歩いていく道のりは特別感があってワクワクします。

温泉+庵 文豪気分で離れにおこもり 広島県・宮浜温泉「庭園の宿 石亭」

こんな庵に一度はこもってみたいという憧れ空間

まるで、文豪がこもって執筆でもしていたような部屋。足を投げ出してくつろげる椅子もあってのんびり読書でもしたくなります。「こちらにお食事を運ばせていただきますので、今日はどうぞごゆっくりとお過ごしください」と仲居さん。

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奥には坪庭を眺める専用の温泉がある

庵の奥にはひのき風呂の温泉があります。蛇口をひねれば温泉、好きな時に好きな温度で入ることができます。障子をあければこの庵だけの坪庭、深めの大きな湯船にざぶんとつかって、浜千鳥の声を聴く、そんなぜいたくな温泉です。

宮浜温泉の泉質は、単純弱放射能泉。温泉につかると体の芯まで温まり、弱アルカリ性のやわらかな肌触りに癒やされます。この宿には、岩風呂や露天風呂、お茶室のような雰囲気の内湯など、趣向をこらした大浴場の温泉もあるので、散歩がてら、そちらの温泉も楽しみます。

温泉+庵 文豪気分で離れにおこもり 広島県・宮浜温泉「庭園の宿 石亭」

骨董(こっとう)の器をセンス良く使う日本の暮らしを感じさせる

部屋の水屋に置かれていた古美術の重箱。中にはコーヒーやお茶のセットが入っていました。この宿には、日本の伝統ある調度品がごく自然に使われていて、今の生活にこういった調度品を取り入れるヒントをもらえます。

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ぐっすり眠れるベッドルーム

寝室はベッド。庵という小さな空間は、巣ごもりするようで安堵(あんど)感があり、ぐっすりと眠れました。

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なんと、隠し部屋が庵の2階に

なんと、この庵の奥に階段があります。のぼってみると、隠し部屋を発見。オーディオと本があって、テラスへ出れば海が見えます。ああ、できることなら1週間くらいこの庵にこもって過ごしたい。

温泉+庵 文豪気分で離れにおこもり 広島県・宮浜温泉「庭園の宿 石亭」

ロビーでは季節の料理に合わせたお酒の試飲が

宿の大浴場の温泉に入り、高台のロビーで湯上がりにひと休み。ソフトドリンクもありますが、なんと、お酒の試飲が……。春の料理におすすめの地酒が、説明書きとともに置かれているのです。お気に入りを見つけてから、夕食に注文ができるなんて、とても気が利いています。

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宮島や海を眺める美しい庭を囲んで部屋がある

夕暮れの幻想的な宿の風景。美しい日本庭園、その向こうには瀬戸内海、そして宮島。右の一番奥に見える小さな屋根が、我が庵。さて、そろそろお部屋に戻ってお楽しみの夕食です。

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先付けは宿名物の穴子ざんまい

食前酒の地酒と一緒に出される先付けはこの宿の名物「穴子ざんまい」です。実は、この宿は、宮島名物の「穴子めしのうえの」が経営していて、先付けと最後のごはんは、ここでしか味わえない穴子料理がお約束なのです。

この日の先付けは、穴子とウニのゴマじょうゆあえ、穴子の白焼きと西京みそ焼きの食べ比べ、手前にある小さい黒いものは、穴子の肝の甘露煮です。穴子黒米揚げはさくさくと香ばしい衣が穴子の甘みを引き立てます。いきなりお酒がすすんでしまうではありませんか。

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料理の中盤に出る八寸は広島名物が並ぶ

おわん、お造りに続いて登場する八寸(少量ずつひと皿に取り合わせたもの)は、広島の名物が満載です。カキは、3種類のお料理。衣揚げは揚げたてのカキフライ。

熱々をほおばれば、中からふっくらしたカキのおいしさが広がります。しゃもじに乗っているのはカキの宮島焼き。和風のタルタルソースで香ばく焼いてあります。カキとチーズのカナッペは、イタリア料理のブルスケッタのような感じ。広島牛や春マスの薫製やタコの柔らか煮など、一つひとつに驚きがあって楽しくいただきました。

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最後のお楽しみは釜炊き穴子ごはん

たくさんおいしいお料理が続きましたが、やっぱり、最後のお楽しみはこれ。そう、穴子釜炊きごはんです。仲居さんがふたを開けると、おいしい香りが漂って、もう、たまりません。染み込んだたれの味わいと穴子の甘露な風味。至福のひとり旅ごはんでございました。

 

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.ひっそりたたずむ庵に泊まる
2.ぜいたくなマイ温泉付き
3.宿名物の穴子ごはんを堪能

■広島県・宮浜温泉「庭園の宿 石亭」
https://www.sekitei.to/
*ひとり宿泊は「居中庵」のみHPから予約可能。

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PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)ほか。新著「感動の温泉宿100」(文春新書)が10月に発売された。

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