あの街の素顔

絶景の天然インフィニティ・プール「イエルベ・エル・アグア」メキシコ

マヤ文明を筆頭にいにしえの文化や美しいカリブ海のリゾートが人々を魅了するメキシコ。日本の国土の5倍以上を有するこの国には、知られざる魅力が多数存在する。なかでも、山間の緑のなかにこつ然と現れる「イエルベ・エル・アグア」は、大自然がつくり出す“天空のオアシス”そのもの。人生で一度は訪ねてみたい絶景スポットだ。

(文・写真・動画/鈴木博美)

玄関口は世界遺産の町オアハカ

絶景の天然インフィニティ・プール「イエルベ・エル・アグア」メキシコ

世界遺産に登録されているオアハカ歴史地区。カラフルな家並みが可愛らしい

メキシコ南東部に位置する人気の観光都市オアハカ。ここは先住民文化が色濃く残るカラフルな民芸品や料理など、メキシコの魅力を凝縮したような街だ。なかでも旧市街には、スペイン統治時代に建てられたコロニアル風の鮮やかな建物が並び、どこを見ても無限の色で満ちあふれている。まるで映画「リメンバー・ミー」に登場しそうな雰囲気だ。

絶景の天然インフィニティ・プール「イエルベ・エル・アグア」メキシコ

極彩色あふれる木彫りの工芸品「アレブリヘ」

また、オアハカは特産品のチョコレート(カカオ)を使ったモーレ料理や“さけるチーズ”など、ユニークな食文化にも注目だ。“さけるチーズ”は日本でもおなじみのものの元祖だろうか?

大自然がつくり出したインフィニティ・プール

絶景の天然インフィニティ・プール「イエルベ・エル・アグア」メキシコ

天然のインフィニティ・プールが空に浮かぶように広がる

オアハカの旧市街からハイウェーを車で走ること、およそ1時間。さらにほぼ未舗装の山道を上下左右に揺られながら山頂に向けて走ると、イエルベ・エル・アグアがある村に到着する。入り口で入場料25ペソを支払い、駐車場から徒歩で約3分。絶景と対面する心の準備をする間もなく、それは突如目の前に現れた。

崖の上に淡い緑色の水が広がる天然のインフィニティ・プールが、まるで天空に浮いているように広がっている。谷底から、どんどん雲霧が湧き出て視界を遮ったかと思えば、霧がすっと晴れて緑に覆われた山々が現れる。その繰り返しが実に神秘的だ。周囲から今でもこんこんと湧き出る水に含まれる多量の炭酸カルシウムが沈殿し、水の流れをせきとめて天然プールをつくっている。

イエルベ・エル・アグアは、スペイン語で「沸騰した水」という意味だが、足を入れると、意外にも冷たくてビックリした。水温は20度ほどで、地中からボコボコと湧き出す水が沸騰しているように見えることから名付けられたそうだ。冷泉だが日中の暑い時であれば水遊びにちょうど良く、地元の人たちも泳ぎに来る。

絶景の天然インフィニティ・プール「イエルベ・エル・アグア」メキシコ

湧き水に含まれる成分が長い年月をかけて崖に沈積し、白い滝のような岩を形成した

そんなイエルベ・エル・アグアで見ることができる、もうひとつの絶景が石の滝だ。白い水しぶきをあげて激しく流れ落ちているように見えるが、実は、岩盤からしみ出た水に含まれる石灰分が流れ落ち、凝固することによってできたものだ。案内板に従って10分ほど歩けば石の滝の上まで行くこともできる。

絶景の天然インフィニティ・プール「イエルベ・エル・アグア」メキシコ

石の滝の頂上部分にできた小さな棚田状の石灰華段丘(せっかいかだんきゅう)

絶景の天然インフィニティ・プール「イエルベ・エル・アグア」メキシコ

巨大な鍾乳石は圧巻

また同じく案内板にそって山道を下れば、石の滝を下から見上げるポイントに行くこともできる。巨大なカーテン状の鍾乳石が高層ビルのようにそびえ立っている光景は圧巻の一言。洞窟ではない地上で、これだけの規模の鍾乳石を見ることはそうないだろう。

絶景の天然インフィニティ・プール「イエルベ・エル・アグア」メキシコ

天然プールにつかりながら景色を楽しむぜいたくな絶景スポット

その年によって天然プールの水量は変化するが、どの季節に訪れても絶景は楽しめる。ただし、午前10時から正午の間はオアハカからのツアー客がどっと押し寄せる。さらに週末には地元の人たちも加わり、芋洗い状態になることも。朝もやの幻想的な雰囲気を楽しむなら、車をチャーターして午前9時ごろまでに訪れることをオススメする。

近郊のミトラ遺跡も見逃せない

絶景の天然インフィニティ・プール「イエルベ・エル・アグア」メキシコ

ミトラの石造建築物を利用して16世紀にスペイン人が建てたサン・パブロ教会

イエルベ・エル・アグアの手前にある、ナワトル語で「死者の地」を意味する言葉が名称の由来のミトラ遺跡は、オアハカ周辺で栄えたサポテカ文明の宗教儀式の中心として機能していた場所。

特に壁面を埋め尽くす幾何学模様が連続する装飾は、アメリカ大陸のなかでも有数の美しさを持つともいわれ、古代メキシコ文化の芸術性の高さがうかがえる。モザイク装飾は壁面を彫刻したのではなく、切り出した石を組み込んで立体模様にしているところも興味深い。イエルベ・エル・アグアとぜひセットで訪れたい。

動画はこちら。

【動画】「イエルベ・エル・アグア」メキシコ

PROFILE

「あの街の素顔」ライター陣

こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、松田朝子

PROFILE

旅行業界で15年間の勤務を経てフリーの旅行家に。旅を通じて食や文化、風土を執筆。日本航空機内誌のほか、新聞雑誌等に海外各地の旅の記事を寄稿。著書に一人旅に役立つ電子書籍「OL一人旅レシピ」インド編、カンボジア・ベトナム編、エジプト編、世界中のおいしい料理をおうちで作る「いつもの食材で作る世界の料理レシピ」。ブログ「空想地球旅行」で旅のあれこれを発信中。

石川県小松市で「酒造りの神様」の日本酒をたのしむ

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