魅せられて 必見のヨーロッパ

不思議な時が流れる白夜 トワイライトに包まれて ノルウェー・オーレスン

不思議な時が流れる白夜 トワイライトに包まれて ノルウェー・オーレスン

水面に揺れる光に魅了されます

オスロの知人から「美しい街だから、ぜひ行ってみて」と勧められて、オーレスンに到着。ノルウェーの人にも人気の町だそうです。ホテルの窓から外を見ると、夜中の12時を過ぎても薄明るいまま。港の周辺を歩いている人影が見えます。バラ色の空が海面に映り、雲と光の織り成す光景に気持ちが高揚して、何だか寝てもいられません。「私も散歩に出かけよう!」と1人外へ。

不思議な時が流れる白夜 トワイライトに包まれて ノルウェー・オーレスン

不思議な時が流れる白夜 トワイライトに包まれて ノルウェー・オーレスン

雲の色彩が紫がかったり、ピンク色が強くなったりします

ここは漁師町で、小さな漁船も停泊しています。パープルやピンクに染まる空を眺めながら港をさまよい歩いていると、何だか夢を見ているような気持ちです。

不思議な時が流れる白夜 トワイライトに包まれて ノルウェー・オーレスン

どこを眺めても美しい街並み

不思議な時が流れる白夜 トワイライトに包まれて ノルウェー・オーレスン

水面に揺れる家々の灯は印象派の絵画のよう

この美しい街並みは、大火の後に再建されました。1904年1月23日に起きた大火災は16時間も続き、850もの建物が焼け落ち、約1万人が家を失いました。

オーレスンの惨事が伝わると、各国から支援が集まりました。火災のわずか3日後には、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の命による緊急援助船が到着しました。当時、ノルウェー国内の経済状況が良くなかったために、仕事を探す建築家や職人もやってきて、1907年に街並みは再建されました。当時としては非常に早い復興でした。おりしもユーゲントシュティール(アールヌーボー)がヨーロッパで盛んな時代でしたから、街並みにその様式が見られます。百年以上も過ぎた今でも、1月23日に大火災の跡を探訪して思いをはせる人々がいるそうです。

不思議な時が流れる白夜 トワイライトに包まれて ノルウェー・オーレスン

クルーズ船が停泊

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港を出る船。夜が明けるのか、このままなのか。気が付けば午前3時を過ぎています

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冬の長いノルウェーで、地元の人たちにとっては夏の太陽は大きな喜びです

「日本から1人で来たの?」とびっくりしたように話しかけてきた女性は「雪と氷に閉ざされた暗い冬とは対照的。夏は解放的で楽しいわ。寝るのがもったいない」とほほえみながら太陽を眺めています。ホテルへ戻ったのは朝の4時過ぎ。私もふわりふわりと白夜を楽しみましたが、気がつけば「ああ、疲れた!」。

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オーレスンの眺め

翌朝9時に、地元ガイドのイーダさんと小高い丘の上のアクスラ展望台へ。なんと、400段以上の階段を昇ります。「ここからの眺望が最高よ」と彼女は誇らしげです。鳥瞰(ちょうかん)図のようにオーレスンの街がありありと眼下に広がります。空と海のブルーが目に染みるように爽やかです。

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アルネス島の灯台

続けてイーダさんが車でアルネス島にある灯台へ案内してくれました。風が強いためか、昼間でもセーターにウィンドブレーカーが必要なほど寒いです。緑の草原に咲く可憐(かれん)な花に囲まれて凛(りん)としてそびえる灯台に、清々とした北国の美しさを感じます。

これから日が暮れるのか、それとも夜が明けるのか、どちらなのかわからなくなるような不思議なトワイライトに包まれた日々。その印象が忘れられず、私は水に映る風景を描きたくなり油絵を始めました。旅路で心に刻まれた風景は、ずっと自分だけのもの。それがいつか、新たな世界への一つの扉になるような気がします。

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バラ色の海と空

visit Ålesund(リンク先は英語です)
https://www.visitalesund.com/

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PROFILE

相原恭子(文・写真)

慶應大学卒業。ドイツ政府観光局勤務を経て、作家&写真家。「ドイツ地ビール夢の旅」(東京書籍)、「ドイツビールの愉しみ」(岩波書店)、「ベルギー美味しい旅」(小学館)、「京都 舞妓と芸妓の奥座敷」(文春新書)、「京都 花街ファッションの美と心」(淡交社)、英語の著書「Geisha – A living tradition」(フランス語、ハンガリー語、ポーランド語版も各国で刊行)など著書多数。国内はもちろん、国際交流基金・日本大使館の主催でスペイン、ハンガリー、エストニアで講演会や写真展多数。NHK「知る楽」「美の壺」、ラジオ深夜便「明日へのことば」「ないとエッセー」、ハンガリーTV2、エストニア国営放送など出演多数。
https://blog.goo.ne.jp/goethekyoko

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