旅空子の日本列島「味」な旅

城下町の面影残す菊池寛ゆかりの港町 高松市

江戸時代、松平氏12万石の城下町としてひらけた高松は、瀬戸大橋の開通までは宇高連絡船が往来する四国の表玄関。四国各地への列車の発着で大いににぎわった。今も行政や経済、文化、交通の中心地として中高層のオフィスビルやホテルが駅周辺やクス並木の中央通りに連なる。片原町や丸亀町にのびるアーケード街には商店が軒を接して続いている。

城下町の面影残す菊池寛ゆかりの港町 高松市

近代都市の装いが進む高松駅前

そんな都市化の中で城下町の面影は駅から5分の高松城跡(玉藻公園)に残っている。海水を堀に引き込んだ日本三大水城で、安土桃山時代の領主・生駒氏から松平氏へ、今も月見櫓(やぐら)や艮(うしとら)櫓、石垣、庭園などに歴史がしみじみとしのばれる。

城下町の面影残す菊池寛ゆかりの港町 高松市

海際に立つ高松城跡の月見櫓

駅前からバスで10分の栗林(りつりん)公園は、紫雲山を借景にして六つの池と13の築山、多数の松からなる広大な大名庭園。茶店や橋などもあって「一歩一景」の言葉通り、歩くごとに景観が変わり、心地よい空間と時間に包まれた。

城下町の面影残す菊池寛ゆかりの港町 高松市

代々の藩主が造営を続けた大名庭園の栗林公園

市役所や県庁など官庁街にある中央公園や周辺には、『恩讐(おんしゅう)の彼方(かなた)に』『真珠夫人』の小説や文芸春秋社創立などでおなじみの菊池寛の生家跡や銅像、戯曲『父帰る』の一場面を表したブロンズ像もある。

城下町の面影残す菊池寛ゆかりの港町 高松市

菊池寛通りに立つ『父帰る』の像

丸亀町や片原町あたりの商店街で目に付くのは、太くてコシが強くダシのきいた「讃岐うどん」。近年は皮がパリパリ、肉がジューシーな「骨付鳥」も高松名物になっている。

城下町の面影残す菊池寛ゆかりの港町 高松市

香川名物の高松駅構内の「連絡船うどん」

数えきれないほどあるうどん店の中で食べた一軒が、JR高松駅にある立ち食いの「連絡船うどん」。かつて宇高連絡船で評判だったうどんの味を伝えるので人気があるが、手軽に手早く味わえるのもありがたかった。

城下町の面影残す菊池寛ゆかりの港町 高松市

三友堂の「木守」

おみやげには干し柿から作ったあんをせんべいではさんで和三盆糖を振った上品な茶菓である三友堂の「木守」や、高松城の瓦をかたどったすこぶる硬いが和三盆糖の甘さになごむ宗家くつわ堂の「瓦せんべい」がおすすめだ。

〈交通〉
・JR予讃線・高徳線高松駅下車
〈問い合わせ〉
・高松市観光交流課 087-839-2416

※都道府県アンテナショップサイト「風土47」より転載。

PROFILE

中尾隆之

中尾隆之(なかお・たかゆき)ライター
高校教師、出版社を経てフリーの紀行文筆業。町並み、鉄道、温泉、味のコラム、エッセイ、ガイド文を新聞、雑誌等に執筆。著作は「町並み細見」「全国和菓子風土記」「日本の旅情60選」など多数。07年に全国銘菓「通」選手権・初代TVチャンピオン(テレビ東京系)。日本旅のペンクラブ代表・理事、北海道生まれ、早大卒。「風土47」でコラムを連載中。

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