魅せられて 必見のヨーロッパ

「人間ゲーテ」の足跡をたどる ドイツ・ワイマール

「人間ゲーテ」の足跡をたどる ドイツ・ワイマール

「人間ゲーテ」の足跡をたどる ドイツ・ワイマール

街路樹の緑が美しいワイマールの街なみ。古典主義の都としてユネスコ世界遺産に登録されています

ドイツのフランクフルトからドレスデンまで続くゲーテ街道。その途上にあるワイマールは、緑の多いアカデミックな雰囲気の街です。ゲーテ、シラー、ヘルダー、ヴィーラントなど、ドイツのみならずヨーロッパの精神史に大きな影響を与えた人物たちがここに暮らしました。図書館、博物館、書店などが数多くあり、特に「ゲーテ国立博物館」は観光客が必ずというほど訪れる人気のスポットです。

「人間ゲーテ」の足跡をたどる ドイツ・ワイマール

フラウエンプランにある「ゲーテが暮らした家」の外観。ゲーテ収集館、クロニック・ハウスとともに「ゲーテ国立博物館」となっています

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「ゲーテが暮らした家」の内部

ゲーテは1775年に、ザクセン・ワイマール・アイゼナッハ大公カール・アウグストによりワイマールへ招かれました。大公は年上のゲーテを慕っていたといいます。ガイドのミュラーさんによれば、ゲーテはこの家に暮らし、約2万個もの鉱物(ゲーテは鉱物の研究でも知られ、ゲータイト=針鉄鉱は彼の名に由来する)や、ギリシャやローマの彫刻のレプリカを集めました。

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「ゲーテが暮らした家」の庭

ゲーテは、ワイマールで1年に240通余りのラブレターをシュタイン夫人や後に結婚することになるクリスティアーネに送り、植物学にも夢中になり「『彼は文章を書かないで、ブドウのツルが左巻きか右巻きかを研究し始めた』とシラーが言ったそうです」とミュラーさん。さすがに大人物。本業以外にも才能を発揮しています。

「人間ゲーテ」の足跡をたどる ドイツ・ワイマール

ワイマールの公園にある「ゲーテの庭の家」。どことなく隠れ家のような風情です

緑に囲まれた公園にある「ゲーテの庭の家」。39歳のゲーテは、はつらつとして若々しい23歳のクリスティアーネに魅了され、この小さな家で逢瀬(おうせ)を重ねました。

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「ゲーテの庭の家」の内部。小さな家ですが、間取りが愛らしく、窓からの眺望も美しく、逢瀬の場所であったことがうなずけます

クリスティアーネは、貴族で公国の大臣であるゲーテに、兄に職場を紹介してほしいと依頼にきた娘でした。身分違いから寝床の恋人などとうわさされながらも、ゲーテは意に介さず、長男アウグストをもうけました。自由を求める気持ちからかゲーテは未婚の父となり、アウグストが17歳になってようやく結婚しました。

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「ドイツ国民劇場」の前にたつゲーテとシラーの像。

若い頃のフリーデリーケとケートヒェンというガールフレンドを持ち、70代で10代の少女にふられて悲嘆にくれて「マリーエンバートの悲歌」を書いた老ゲーテ……。数え切れないほど各地で多くの浮き名を流し、自由を求めて生きた人生を思うと、優等生的な表情のこのゲーテ像が何だかほほえましく思えます。

「ゲーテ博物館」(デュッセルドルフ)の元ディレクターであるハンゼン教授は「ゲーテは何事にも純粋に夢中になり、美食やワインを愛し、美しいものを好みました。天才で多才。幸せな人かもしれません」と話してくれました。

ゲーテに限らず人間は、有名無名、才能の有無にかかわらず、多くの側面があるのではないでしょうか。ワイマールを歩きながら、人間の体は小さいけれど、その精神世界は自由に、限界がなく広がってゆくような気持ちになりました。

「ドイツ観光局」
https://www.germany.travel/jp/index.html

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PROFILE

相原恭子(文・写真)

慶應大学卒業。ドイツ政府観光局勤務を経て、作家&写真家。「ドイツ地ビール夢の旅」(東京書籍)、「ドイツビールの愉しみ」(岩波書店)、「ベルギー美味しい旅」(小学館)、「京都 舞妓と芸妓の奥座敷」(文春新書)、「京都 花街ファッションの美と心」(淡交社)、英語の著書「Geisha – A living tradition」(フランス語、ハンガリー語、ポーランド語版も各国で刊行)など著書多数。国内はもちろん、国際交流基金・日本大使館の主催でスペイン、ハンガリー、エストニアで講演会や写真展多数。NHK「知る楽」「美の壺」、ラジオ深夜便「明日へのことば」「ないとエッセー」、ハンガリーTV2、エストニア国営放送など出演多数。
https://blog.goo.ne.jp/goethekyoko

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