ちょっと冒険ひとり旅

見どころは? インドの異世界「シッキム」の旅02

何回目かのひとり旅、ちょっとだけ冒険をしてみたい。そんな旅人にご紹介したい渡航先、まずはインドのシッキム州から。2回目は現地の見どころをご案内しよう。

【前回】入域許可証が必要、インドの異世界「シッキム」への旅01

グリーン・グリーン・シッキム

ヒマラヤ山脈を中心に、チベット系の人々が暮らし、伝統的な文化や宗教が息づく「チベット文化圏」と呼ばれる地域はいくつもある。たとえば中国のチベット自治区、ブータン、現在ダライ・ラマが拠点とするインドのダラムサラ、同じくインド北部のラダックなどだ。チベット自治区、ブータン、ネパールと国境を接し、かつてチベット系の王族が支配していたシッキムもそのひとつ。

見どころは? インドの異世界「シッキム」の旅02

一歩街の外に出ると森が広がる。白い旗はダルシンと呼ばれる幟(のぼり)で、経文が記されている

「『グリーン・グリーン』が街のテーマなんだ」

緑濃い森を背景に、家や壁が緑に塗られた街並みが斜面に広がる不思議な光景に見入っていると、シッキムの州都ガントクで何度か頼んだタクシー運転手が解説してくれた。

「森と水力のおかげで大きな工場も多くてね、仕事はけっこうある。でも給料はデリーより安いよ」

昼間はデザイン会社で働きつつ、結婚資金をためるためタクシーを走らせているという27歳のドライバーもその恋人もヒンドゥー教徒。ガントクには、チベット系の先住民よりも、インド系の人たちの方が多く暮らしている。

ガントクの中心街MG・マーグ・マーケットの周辺にはカフェや土産物屋、レストランが軒を連ね、観光客でにぎわう。待ち合わせスポット兼撮影スポットにもなっているのがマハトマ・ガンジー像だ。

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偉人の存在感のある立ち姿は「ここはインドだぞ」と主張しているかのようにも見える。MG・マーグ・マーケットの「MG」は、マハトマ・ガンジーの略だ

このMG・マーグ・マーケット周辺だけが平らで、ガントクの道はほとんどが坂道。左右にのびる路地は密集する建物を縫うように上に、あるいは下にのびていて迷路のよう。ところどころにバーやレストラン、公園があり、路地を適当に下へ下へと降りていったら、地下にある大きなマーケットに突然たどりついて驚いた。

「クズザンポ−!(こんにちは!)」

背後から唯一知っているブータンの言葉が聞こえて振り向くと、ブータンの民族衣装姿の男性ふたりが握手を交わしている。店の人はチベット系、買い物客はインド系。ここは今も、ヒマラヤに暮らす民族の交差点なのだ。

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坂の上から街の夜景を一望。屋根も壁も緑色

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こんな路地……というか階段が至る所にある。足腰が鍛えられそうだ

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路地をどんどん下っていったら突然現れた大きな市場

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チベットの民族衣装を売るお店

チベット仏教世界に触れる

シッキムでのいちばんの見どころは点在するチベット仏教寺院群だ。

ガントク郊外にある壮麗なルムテク僧院はチベット仏教カギュ派の総本山。先代宗主カルマパ16世の遺灰がおさめられた金のストゥーパは目を見張るほどのきらびやかさ。また本堂内の大きな忿怒尊(ふんぬそん)は怒りと悲しみの感情が全身からあふれ出るような見事な立像だった。筆者が各地で見てきたなかでいちばん恐ろしげな姿で、その日の夢に出てきたほどだった。

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巡礼者の姿が絶えないルムテク僧院(内部は撮影禁止)。中国政府から初めて認定された化身ラマ、カルマパ17世は中国のチベット自治区からインドに亡命。しかしインド政府は、本来はここを守るはずのカルマパ17世がルムテク僧院に入ることをまだ許可していないそう

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仏教学校も併設されており、たくさんの少年僧・青年僧を見かけた

西シッキムにあるのどかな村・ペリン周辺にも魅力的なチベット仏教寺院が集まっている。18世紀初頭に建てられた僧院で、ストーリー性にあふれた仏画が楽しいペマヤンツェ・ゴンパ、眺望抜群の丘に建つ小さな山寺、サンガ・チョリン・ゴンパが代表格だ。

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ペマヤンツェ・ゴンパ。山中の寺院なのに海の怪物が生き生きとしたタッチで描かれていたり、堂内(撮影禁止)にも踊る骸骨などユニークな仏画が多く描かれていたり、見応えがある

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1時間ほど山道を登り到着したサンガ・チョリン・ゴンパでは、お茶とお菓子が出てきた。この日はプジャ(法要)があり、お相伴にあずかったのだ。少年楽師たちが管楽器や太鼓でちょっぴり不器用に祈りの音楽を奏でていた

最近は新たな寺院建立も盛んだそうで、途中立ち寄ったブッダ・パークでは広大な公園に鎮座する巨大仏を見物。国内外に散らばる信徒の寄進が大きな資金になっているという。シッキムはインド化が進み伝統文化の喪失が心配されていると聞いたが、巨大仏やぴかぴかな寺院があちこちで建立されている風景を眺めると、やはりここは今もチベット文化圏なのだな、と思わされた。

見どころは? インドの異世界「シッキム」の旅02

ブッダ・パーク。入場料はインド人20ルピー、外国人200ルピー。観光客はしっかり寄進せよ、ということか

さて次回は食事やホテル、旅の経費など実用データを紹介しよう。

PROFILE

山田静

女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『旅の賢人たちがつくったヨーロッパ旅行最強ナビ』(辰巳出版)、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。2016年6月中旬、京都に開業した小さな旅館「京町家 楽遊 」の運営も担当。

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