あの街の素顔

1個100円!のたまご リッチな味わいのプリンにも 島根県雲南市

 

<「タカの爪? いえオロチの爪です 伝説にちなむ巨大唐辛子 島根雲南市」から続く>

巨大唐辛子「オロチの爪」や山椒の栽培に力を入れる島根県雲南市は、スパイスにしびれた舌にもやさしい「マイルド」な町でもある。昭和40年代から地域ぐるみで養鶏の産地化を目指してきた歴史があり、県内でも有数の、たまごの産地なのだ。スパイス同様、雲南市では「うんなんたまごプロジェクト」も立ち上げ、たまごグルメも楽しむことができる。

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雲南市吉田町の緑あふれる小高い丘の上に建つ、「たなべ森の鶏舎」。昔ながらの平飼いでのびのびと健康な鶏を育てている

雲南市吉田町「たなべ森の鶏舎」は、江戸時代に全盛を極めた、たたら製鉄を生業として550年の歴史を誇る「田部」が運営する鶏舎だ。こだわりを尽くした平飼い有精卵「たなべのたまご」は、なんと1個100円!

1個100円!のたまご リッチな味わいのプリンにも 島根県雲南市

たなべのたまご(写真提供=田部)

「おいしいたまごは健康な鶏であってこそ。わたしたちは豊かな森が広がる自然豊かなこの地で、のびのびとストレスなく元気に鶏たちを育てています」と語るのは、外食・食産事業本部特産事業部部長の山本達也さん。

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たまごかけごはんにすると、こんなイメージに(写真提供・田部)

開放型の鶏舎で平飼い、エサは腐葉土に島根県大根島の高麗人参、宍道湖のしじみの殻、地元のまいたけ、しいたけの菌床などを配合し、乳酸菌で発酵させたもの、飲み水は地下100メートルからくみ上げた清冽(せいれつ)な水。元気いっぱいの鶏たちが産んだたまごは、「濃厚な黄身、クセのない弾力ある白身が特徴です。たまごかけごはんにするなら、塩で食べるのがおすすめですよ」と山本さん。

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「道の駅 たたらば壱番地」にある、たなべ森の鶏舎直営店「ままたまご吉田本店」。たまごや、たまごのコクとうまみをいかしたバウムクーヘンやシュークリームなどのスイーツを販売

「道の駅 たたらば壱番地」内にある直営ショップ「ままたまご吉田本店」で、ゆでたまごを食べて、山本さんの言葉の意味がわかった。コクとうまみ、豊かな甘みのある黄身もさることながら、どこまでも澄み切った「クリアな味わい」の白身に驚く。黄身のおまけという「白身概念」を覆すおいしさだ。

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「ままたまご吉田本店」が販売するゆでたまご。栗のようにほっくり甘い黄身と、澄み切った味わいの白身に感動

たまごをたっぷり使い、限界までやわらかく仕上げているためここでしか購入できない「ままたまごプリン」も、どこまでもやさしく、クリーミーで「たまごを味わう」幸せをしっかりと享受できる逸品だ。

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「たなべ森の鶏舎」から毎日納品される、とれたてたまごをたっぷり使った「ままたまごぷりん」

雲南のたまご新旧グルメもぜひ味わっていただきたい。

創業から50年、木次駅前で愛される食堂「おくい」の人気たまごメニューは「鶏モツ丼」。店主の奥井健功さんが、店を訪れた大学生のリクエストで夜の人気メニュー「モツの煮込み」をごはんにのせてみたことがきっかけで誕生した。

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「鶏モツ丼」。こってり煮込んだ鶏の皮とズリと濃厚な卵の組み合わせを、薬味の青ねぎ、紅しょうが、からしが絶妙に引き立てる

地元のブランド米・仁多米の上に、創業以来継ぎ足して作る秘伝のたれで煮込んだ鶏の皮とズリ、木次ファームのコクのある生卵をのせ、たっぷりの青ねぎをトッピング、しょうが、からしを添える。「変化球の親子丼です」と奥井さん。勢いよく全体を混ぜていただく。たまごがからんだ煮込みはまるで油を加えたかのように、濃厚。たまごが極上のソースと化して、なめらかな口あたりになった丼は一気にたいらげてしまえるおいしさだ。

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奥井健功さんが腕を振るう「おくい」はJR木次駅から徒歩1分。昼は食堂、夜は居酒屋に。雲南市の郷土料理であり、おくいの名物となっている、たらいに入った「焼き鯖寿司(さばずし)」もぜひ食べていただきたい

「倉田カフェ」は、松江市内から木次町に移住した石田知治さんが、4年前にオープンしたカフェ。石田さんのお父さんの得意料理がオムライスだったことから、看板メニューとして提供しているのが「オムハヤシライス」。

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倉田カフェの「オムハヤシライス」。黄金色のとろとろたまごと、じっくり煮込んで牛のうまみを引き出したルーのマリアージュにうっとり

牛骨をベースにしたフォンドヴォ―と赤ワインで牛すね肉をじっくり煮込み、あめ色になるまで炒めたたまねぎを加え、奥出雲「井上醤油(しょうゆ)」のみそ、木次ファームの牛乳やはちみつを隠し味にした特製のルーを、地元産の卵を使ってゆるめにとろりと仕上げたオムライスの上にかけた一品だ。やわらかなたまごと、コクのあるルーが一体となってまろやかな味わい。なんだかホッとする。

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窓からの景色を楽しんでもらいたいと、2階一面を大きな窓に

大きくとったカフェの窓からは、久野川と山々が織り成す美しい風景が望める。

「夕日が山の合間に沈む風景が素晴らしいですよ」石田さん。

窓の外に目を向けると、1両編成のローカル線・木次線の車両が、静かに通り過ぎていった。

島根を訪れたら出雲大社だけではなく、のんびりほっこり、ちょっとピリ辛なアクセントがきいた雲南にもぜひ足をのばしてみてほしい。

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雲南市吉田町の山間にある「菅谷たたら山内」は、約1400年も前から出雲地方に伝わる「たたら製鉄」の職人たちが暮らした集落。製鉄が行われていた高殿がいまも残る

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JR木次駅には、こんなキュートな看板が

■たなべ森の鶏舎
http://morinokeisha.jp/
■おくい
https://www.unnan-kankou.jp/contents/gourmet/641
■倉田カフェ
http://kurata-cafe.com/

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PROFILE

「あの街の素顔」ライター陣

こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、松田朝子、宮﨑健二、井川洋一

池田 陽子

薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト、全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。
宮崎生まれ、大阪育ち。立教大学社会学部を卒業後、広告代理店を経て出版社にて女性誌、ムック、また航空会社にて機内誌などの編集を手がける。カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは?という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。食材を薬膳の観点から紹介する活動にも取り組み、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。趣味は大衆酒場巡りと鉄道旅(乗り鉄)。さばをこよなく愛し、全日本さば連合会にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。著書に『​ゆる薬膳。』(日本文芸社)、『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)、『サバが好き』(山と渓谷社)、『「サバ薬膳」簡単レシピ』(青春出版社)など。

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