クルーズへの招待状

「クイーン・エリザベス日本一周クルーズ」前編

「クイーン・エリザベス日本一周クルーズ」前編

横浜ベイブリッジ手前の大黒ふ頭のクイーン・エリザベス(撮影:上田英夫)

2019年4月19日、横浜大黒ふ頭の新客船ターミナルがオープンし、それに合わせて客船「クイーン・エリザベス」による初の横浜発着日本一周クルーズが催行されました。

まず、ターミナル内で行われた開所式では横浜市長・林文子氏、国土交通大臣政務官・阿達雅志氏、駐日英国大使ポール・マデン氏、クイーン・エリザベス船長サイモン・ラブ氏などのスピーチに続き、オープンを祝うテープカットが行われました。

「クイーン・エリザベス日本一周クルーズ」前編

大黒ふ頭新客船ターミナル・オープニングセレモニーのテープカット(撮影:上田英夫)

かつて、クイーン・エリザベスは、2014年に初めて横浜の大さん橋に入港しましたが、その時、高さ約56.6メートルのクイーン・エリザベスが、海面から橋げたまで約55メートルのベイブリッジをくぐることが話題を呼びました。

この時は潮の干満が激しい大潮を利用しベイブリッジをくぐり抜けましたが、船の煙突と橋げたの隙間はわずか約2.2メートル。実際に船の煙突の下でこの光景を見ていましたが、ぎりぎりすれすれでした。のちに、この時の船長アリスター・クラーク氏に「怖くなかったですか?」と聞くと「大丈夫、ちゃんと計算してますから」という答えが返ってきましたが、今や世界の客船は巨大化時代。

そこで、ベイブリッジの手前に大黒ふ頭の新客船ターミナルを建設し、大型客船の円滑な受け入れ態勢を整え、横浜港も時代に即した対応をしたわけです。

「クイーン・エリザベス日本一周クルーズ」前編

2014年横浜ベイブリッジ通過の瞬間(撮影:上田寿美子)

出来立てのターミナルでチェックインし、乗船するとグランド・ロビーに到着。正面には、1940年に就航した初代客船クイーン・エリザベスを寄せ木で描いた壁画がかけられていました。作者は英国エリザベス女王陛下のおいにあたるリンリー子爵です。

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初代客船クイーン・エリザベスの壁画(撮影:上田英夫)

横浜を出港し、翌日は太平洋を北上する航海日。船上では朝から晩まで50以上のイベントが組まれていました。特に、クイーン・エリザベスの運航会社キュナード・ラインが力を入れているのは世界の著名人による文化講演「キュナード・インサイト・レクチャー」です。

今回は日本人乗客が1000人以上乗っているので日本語のメニューやデイリープログラムも用意され、日本人講師による「キュナード・インサイト・レクチャー」も開催されました。

その一つがソムリエ田崎真也さんによる講演「ワインのある人生」で、穏やかな語り口がワインをぐっと身近に感じさせてくれました。特に、スマートに見えるワインテイスティングの方法は、船上レストランのワイン注文の際に早速役立つ実用的な内容でした。

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船長主催歓迎パーティーでシニアオフィサー紹介(撮影:上田英夫)

夜は船長主催の歓迎パーティーがクイーンズ・ルームで開催され、カクテルがふるまわれました。今夜のドレスコードはガラ・イブニング。会場はタキシードやイブニングドレスの乗客が多く、クイーンズ・ルームは一段と華やかです。クイーン・エリザベスは、現代の客船の中ではトップクラスにタキシード着用率が高いので、おしゃれを楽しみたい人にはお勧めの船旅といえるでしょう。

翌朝目が覚めると船はちょうど函館山の沖を通過中。やがて函館港に入ってゆきました。港から無料のシャトルに乗って函館駅に到着。

すぐそばにある朝市に行ってみると各店に「歓迎クイーン・エリザベス」の張り紙が貼ってありました。そのうちの1軒・恵比寿屋食堂で、ウニ・イクラ・カニの「こぶり三色丼」と、水槽で泳いでいた「活(い)きイカ刺身」を注文。透き通ったイカの刺し身を口に運ぶと、ぴちぴちした新鮮な歯ごたえと、甘さが広がりました。

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函館朝市で「活きイカ刺身」(撮影:上田英夫)

今度は函館山のロープウェーに乗り日本海側と太平洋側を一望する絶景を堪能。さらに、函館山からは港町ふ頭に停泊中のクイーン・エリザベスの姿がよく見えたので、周りの観光客の「あの船がクイーン・エリザベスだって」「立派な船だね」という声に、ちょっと誇らしい思いもしました。

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函館山からクイーン・エリザベスを見る(撮影:上田英夫)

翌日は秋田港。竿灯まつりやなまはげ太鼓など、秋田の伝統の祭りや行事が出迎えてくれ、海外から来た乗客も大喜び。さらに岸壁には、いま世界的に人気のある秋田犬も来ていて、大勢の人と記念写真を撮っていました。世界一有名な豪華客船クイーン・エリザベスで行くと、港でのお出迎えにも一段と熱気がこもっています。

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秋田港では竿灯のお出迎え(撮影:上田英夫)

ところで、船内にはロンドンスタイルのパブ「ゴールデン・ライオン」があります。昼食時には、ビールやコーラなどの有料の飲み物を注文すれば、フィッシュ&チップスなどのパブ料理が無料で食べられるのが人気。秋田に居ながらにしてロンドン気分が味わえるのも不思議な旅です。

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ゴールデン・ライオンのフィッシュ&チップス(撮影:上田英夫)

三つ目の寄港地は金沢港。加賀百万石の歴史と豊富な海の幸に恵まれた魅力豊かな港です。早速、日本三名園の一つ兼六園を目指しました。歴代の加賀藩主により長い歳月をかけ、形作られた回遊式庭園で、特に霞(かすみ)ヶ池にかかる「ことじ灯籠(とうろう)」の景観が有名です。4月末の訪問時には何種類もの桜と新緑の織り成す美しい庭園風景を見せてくれました。

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日本三名園の一つ兼六園(撮影:上田英夫)

そして、今日の昼食は、金沢で老舗のすし屋「宝生寿(ず)し」へ。カウンターに座り、のどぐろをはじめ地物尽くしの握りずしに舌鼓を打ちました。

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金沢の老舗「宝生寿し」(撮影:上田英夫)

「クイーン・エリザベス日本一周クルーズ」前編

取れたての地魚を使った握りずし(撮影:上田英夫)

船に戻れば、英国式アフタヌーンティーが待っていました。船上で毎日午後3時半から始まるアフタヌーンティーは、クイーン・エリザベスの名物と言っても過言ではありません。白手袋をはめたエレガントなサービスで、紅茶とともに、サンドイッチ、ケーキ、クッキー、スコーンなどの登場です。特に焼き立てのスコーンのおいしさは格別。クローテッドクリームとジャムをたっぷりつけて食べると英国気分を満喫できるでしょう。

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エレガントなプリンセス・グリルのアフタヌーンティー(撮影:上田英夫)

このようにクイーン・エリザベスの日本一周では、船上で本格派の西洋料理やアフタヌーンティーを味わい、各港で本格派の和食が食べられるので、西洋と日本を行ったり来たりする味覚旅行が楽しめるのも魅力と言えるでしょう。

女王船の旅は、鳥取県の境港へと続きます。

このクルーズの問い合わせは最寄りの取り扱い旅行会社まで。
https://www.cunard.jp/

PROFILE

上田寿美子

クルーズライター、クルーズジャーナリスト。日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。クルーズ旅行の楽しさを伝え続けて30年。外国客船の命名式に日本を代表するジャーナリストとして招かれるなど、世界的に活動するクルーズライター。旅行会社等のクルーズ講演も行う。著書に「豪華客船はお気に召すまま」(情報センター出版局)、「世界のロマンチッククルーズ」(弘済出版社)、「ゼロからわかる豪華客船で行くクルーズの旅」(産業編集センター)、「上田寿美子のクルーズ!万才」(クルーズトラベラーカンパニー)など。2013年からクルーズ・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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