海のオルガンと友好のマグロ クロアチア・ザダル
文: 相原恭子(文・写真)

ザダルにヨットを停泊させ、毎年休暇に訪れるスカンジナビアやドイツなど北ヨーロッパの人たちに出会いました
アドリア海に沿ってクロアチアのスプリトからザダルへ、車を走らせて快いドライブです。海の青、空の青、たくさんの島々、沿岸に迫る山々に魅せられます。マリーナにはヨットが停泊して、解放的な初夏です。

フェリーで島々へ手軽に渡れます
ザダルからはプレコー、モラットなど島々へのフェリーが出ていて、日帰り観光ができます。海風を受けながら紺碧(こんぺき)のアドリア海を肌で感じると、子供の頃の夏休みのウキウキする気持ちがよみがえります。

海辺のレストランで、マグロのタルタルなどの前菜
レストランへ入ると「本日のスペシャル」はマグロ料理。日本のスーパーマーケットでもクロアチア産のマグロを見かけると思いますが、ザダルはマグロの養殖がさかんで、そのほとんどが日本へ輸出されています。

焼きかげんがほどよくて、おいしいマグロのステーキ。シェフのおすすめです
レストランのシェフは「毎年マグロフェスティバルがあって、マグロ料理に地元のワインを合わせたり、日本の職人がお寿司(すし)を握って皆で試食したりします。うちの店でもマグロの注文が増えていますよ」とうれしそうです。在クロアチア日本大使館によれば、「マグロ・寿司&ワイン祭」を発案・後援しており、今年(2019年)4月に5回目を迎えたそうです。初日の開会記念式典やガラ・イブニングにはマトゥシッチ観光副大臣、ミラノビッチ元首相、ザダル市長や企業関係者などが出席し、河野太郎外務大臣も祝辞を送るなど、マグロを通して両国の親善や観光を促進していると言います。クロアチアと日本を結ぶ「マグロのご縁」です。

聖ストシャ大聖堂の鐘楼(しょうろう)
さて、食後は旧市街散策。細い路地を歩きながら、目立つ塔はダルマチア地方で最大規模とされる聖ストシャ大聖堂の鐘楼(しょうろう)です。

聖ドナト教会
ローマ時代の広場であったフォーラムに面して、堂々とそびえる9世紀に建てられた聖ドナト教会。フォーラムは現在ではコンサートなどパフォーマンスが行われ、観光客も地元の人も立ち寄る広場です。

聖マリア教会・修道院
聖マリア教会・修道院の宗教美術品の展示は、「ザダルの金と銀」と呼ばれ、その価値の高さと数の多さで知られています。

サダル城壁と門
地元の人によれば、ベネチア共和国時代には共和国内で最も堅牢な城壁と城門と言われ、オスマン帝国さえも攻略できなかったことを誇りにしているそうです。

海のオルガン
海岸に面した階段。その下にはパイプが設置してあり、海水の波やうねりにより音が出て「海のオルガン」と呼ばれています。その音は、私には「ボーッ、ボーッ」と深海の底から響いてくるような、たとえて言えば海の神ポセイドンが叫んでいるような太い声に聞こえました。波の状態や聞く人により、いろいろに聞こえるようです。
夜風に吹かれながら地元の人たちと散策した海辺を今も思い出します。
Zadar Tourist Board
https://www.zadar.travel/en
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