楽しいひとり温泉

温泉+朝ごはん とろんとろんの美肌湯 梅ヶ島温泉郷コンヤ温泉・大野木荘

温泉+朝ごはん とろんとろんの美肌湯 梅ヶ島温泉郷コンヤ温泉・大野木荘

新緑を眺めて心地よい風を感じる露天風呂

ひとりで泊めてもらえるかしら。ひとりで泊まっても快適かしら。と、温泉でひとり宿泊ができる宿を探すのは不安に思うこともあります。そんな時、宿のホームページにこんな一言が書かれているのを見つけました。

「女性の一人旅応援しております。ご予約は、お電話にてお問い合わせください。」

なんだか、ほっとします。きっとこの宿なら、ひとり旅でも温かく迎えてもらえそう。あ。もちろん。「男性の一人旅も歓迎しますよ」とご主人。

梅ヶ島温泉郷は、静岡市の北側、山梨県に近い「オクシズ(奥静岡)」と呼ばれる自然豊かな場所にあります。コンヤ温泉という不思議な名前にも興味をそそられて期待が高まります。

温泉+朝ごはん とろんとろんの美肌湯 梅ヶ島温泉郷コンヤ温泉・大野木荘

とろんとろんの感触の温泉を楽しむための工夫に感激

コンヤ温泉は、かつて源泉が湧き出ていた川の場所「コンヤ沢」に由来するものでした。コンヤ温泉を含む四つの温泉が点在する梅ヶ島温泉郷は、古くは武田信玄公の時代に武将たちが傷を癒やした名湯として知られています。

この温泉の魅力は、なんといっても、とろんとろんの感触。入って3秒後には「うわ~、とろとろ~。なにこれ。気持ちいい」と、うっとりしてしまいます。

そして、露天風呂では温泉好きが感激するこだわりを発見。源泉が持つ魅力を最大限に楽しめる工夫がされていました。湯口から注がれる温泉に触れてみると、あれ?少し冷たい。しかも、湯船の温泉よりもさらにとろんとろんで硫黄の香りも強く感じます。むむむ。これは、もしかして……。

その答えはこうです。コンヤ温泉の源泉温度は温泉分析表によると31.7度ですから、湯船で心地よい温度で入るためには加温をしなければなりません。でも、加温した温泉だけで湯船を満たすのではなく、湯口からは何も手を加えていない源泉を注ぎ込み、ピュアな源泉をできるだけ多く湯船へ入れるようにしているのです。そのままの源泉にも触れられてうれしい工夫です。

泉質は単純硫黄泉、pH10.3のアルカリ性。肌表面の汚れや古い角質を落としてすべすべに整える美肌湯に感じます。総硫黄量は6.2mgで、イオン型の硫黄のため濁り湯にはなりませんが、お湯の中に小さな湯の花がふわふわと舞っています。硫黄泉は、療養泉のひとつでもあり、血行を促進するめぐりの湯、この泉質と豊かな自然環境が認められて梅ヶ島温泉郷は環境省より「国民保養温泉地」にも認定されています。

温泉+朝ごはん とろんとろんの美肌湯 梅ヶ島温泉郷コンヤ温泉・大野木荘

2018年10月にリニューアルした客室「すぎの間」

大野木荘は6室だけの小さな宿に男女別それぞれに大きな露天風呂と岩風呂の内湯があるので、ひとりで湯船を独占できる確率も高くて、貸し切り気分でとてもぜいたく。肩まですっぽり入ってとろとろの感触を楽しんだり、絶妙の座り心地の岩に腰かけて半身浴したり、ふんわり硫黄の香りに包まれて温泉を満喫できました。

こつこつと数年かけて全館をリニューアルし、13室を6室に改装。フリーWi-Fiも飛んでいるので山の中でも心配なし。廊下にはジャズなどが流れていていい気分で過ごせます。

温泉+朝ごはん とろんとろんの美肌湯 梅ヶ島温泉郷コンヤ温泉・大野木荘

部屋に洗面台やトイレがあるので女性ひとり旅にも安心

宿泊したのは「すぎの間」。部屋には専用の可愛い洗面台やトイレもあって、女性ひとり旅にはとっても便利で安心です。

温泉+朝ごはん とろんとろんの美肌湯 梅ヶ島温泉郷コンヤ温泉・大野木荘

夕食かと思うほどのごちそうが並ぶ朝食

一夜明けて、朝ごはん。そう、この写真は朝ごはんなのです。夕食といってもおかしくないほどの美しいごちそうです。うっかり「ビールください」などと言ってしまいそうなお料理が並んでいてビックリ。「うちは、朝食も自慢なんですよ」とおかみさんがお料理を説明してくれました。

温泉+朝ごはん とろんとろんの美肌湯 梅ヶ島温泉郷コンヤ温泉・大野木荘

大豆の甘みを梅ヶ島産本わさびが引き立てる

どれもこれもおいしかったのですが、特に感激した3品を詳しくご紹介します。お豆腐は地元の名品「平野の豆腐屋」の4代続く手作り豆腐。ずっしりとした木綿豆腐です。その上には梅ヶ島温泉郷を流れる安倍川上流で育った梅ヶ島の本わさびをたっぷり。すっきり爽やかなおろし立てのわさびとお豆腐をとりもつのは、大おかみの出身地・佐賀県唐津市の濃厚甘口しょうゆ。絶妙の相性です。

温泉+朝ごはん とろんとろんの美肌湯 梅ヶ島温泉郷コンヤ温泉・大野木荘

朝からお酒が欲しくなるヤマメの塩焼き

お宿自慢のヤマメの塩焼き。じっくり焼いたヤマメは身がふわふわでしっとりジューシー。これ、ほんとうに朝ごはんですか?

温泉+朝ごはん とろんとろんの美肌湯 梅ヶ島温泉郷コンヤ温泉・大野木荘

忘れられない原木しいたけの味わい

忘れられない味わいだった、志村農園の原木しいたけ。標高700メートルの山の上のこの一帯は、ご主人いわく「梅ヶ島のマチュピチュと呼ばれています」。そこで、クヌギの木のみを原木として栽培されるしいたけは、肉厚で香り豊か。

「じっくり、ゆっくり焼いてくださいね。」いい香りがしてきても、もうちょっと我慢。焼き色がほんのりついてしっかり中まで火が通ったら、ちょこっと塩だけつけて熱々をぱくり。脳天まで抜けるようなうまみと香り。こんな幸せを朝から味わえるなんて……。

温泉+朝ごはん とろんとろんの美肌湯 梅ヶ島温泉郷コンヤ温泉・大野木荘

囲炉裏での夕食も魅力

実は、このお宿、夕食は囲炉裏のまわりに集って炭火焼きのお料理をいただきます。駿河シャモのシャモ鍋や梅ヶ島の本わさびを使った、秘湯のわさびパスタなど、夜も幸せいっぱいになれるのです。

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.女性のひとり旅も応援してくれる
2.とろんとろんの美肌湯
3.朝食もごちそうで感激

静岡県、梅ヶ島温泉郷コンヤ温泉・大野木荘
https://o-nogi.jp/
*ひとり宿泊は電話で問い合わせを。

バックナンバー

温泉+海  熱海・伊豆山温泉「ATAMIせかいえ」
> 温泉+椿 伊東温泉「星野リゾート 界 伊東」
> 温泉+庵 文豪気分で離れにおこもり 広島県・宮浜温泉「庭園の宿 石亭」
> 温泉+密林 タイで見つけた温泉楽園 ワリーラック温泉リトリート
> 温泉+忘我 秘境に湧く温泉の一夜 秋田県「夏瀬温泉 都わすれ」

>> 連載一覧へ

PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)ほか。新著「感動の温泉宿100」(文春新書)が10月に発売された。

温泉+海  熱海・伊豆山温泉「ATAMIせかいえ」

一覧へ戻る

温泉+貸し切り温泉 プライベートな時間を大切に 由布院温泉「金門坑。」

RECOMMENDおすすめの記事