京都ゆるり休日さんぽ

その日仕入れた素材で朝8時開店 京都のレストラン「バルマーネ」

日の出が早く、気温がまだ上がりきっていない夏の朝。いつもより少し早起きして訪ねたい、朝8時から営業しているレストランがここ「バルマーネ」です。

「毎朝市場に行くので、そのまま朝から店をオープンできたらと思って」

そう語るのは、店主の奥田匡章(まさあき)さん。メニューの黒板には、市場から仕入れたばかりの旬の野菜や魚介を使ったアラカルトがずらりと並びます。

その日仕入れた素材で朝8時開店 京都のレストラン「バルマーネ」

心地よい光がめぐる店内。季節の花のしつらえは修代さんの担当

午前8時から11時までのモーニングは、フレンチトーストやクロックマダムなどフレンチの朝食メニューが中心。京都のフレンチ割烹(かっぽう)で修業した後、フランスに渡り現地のレストランでも経験を積んだ、匡章さんのセンスと技術が生かされています。

無農薬の野菜をはじめ、パン、卵、バターまで一つひとつ丁寧に食材が選ばれ、ハムやベーコン、ジャムはすべて自家製。葉先までピンと生命力に満ちた野菜のみずみずしさには、感動せずにいられません。しっとりとうまみを含んだ自家製ハムに、フレンチ仕込みのベシャメルソースと濃厚な卵がからみ合うクロックマダムは、それぞれの食材のエネルギーと調和に満たされるひと皿です。

その日仕入れた素材で朝8時開店 京都のレストラン「バルマーネ」

「クロックマダムセット」(1250円・税込み)コーヒーまたはルイボスティーが付き、+150円で季節のスープに変更できる

また、朝食と一緒にぜひオーダーしたいのが、バルマーネ自慢の「季節のスープ」。その時期に旬の食材を使い、野菜の甘みと風味を生かして仕上げるスープは、朝の空腹にしみわたります。

スープに限らず、黒板をにぎわせる季節の素材を使った多彩なアラカルトは終日オーダー可能。タパスやパエリヤなどスペイン料理の要素も織り交ぜ、バルのように気軽に、自由に組み合わせて食事を楽しむことができます。

その日仕入れた素材で朝8時開店 京都のレストラン「バルマーネ」

「季節のスープ」(単品540円・税込み)。この日はビーツ。鮮やかな色は目にするだけで元気に

「まず食材ありきで、旬の素材をなるべくシンプルにおいしく食べていただくことを大切に料理を考えています」と匡章さん。その隣で、一緒に店を営む妻の修代(ひさよ)さんは「食材マニアなんですよ」と笑います。市場で生き生きとした野菜や珍しい海鮮などが手に入ると匡章さんは目を輝かせているそう。

2人は、匡章さんがフランスで修業中、修代さんがワーキングホリデーで仏滞在中に偶然出会い、帰国後に結婚。3年ほど前にこの店をオープンしました。

その日仕入れた素材で朝8時開店 京都のレストラン「バルマーネ」

奥田匡章さん、修代さん夫婦。フランス文化への共通の興味が2人を近づけた

「フランスでも、彼は料理だけでは飽き足らず、『日本では学べないことを学びたい』とワインの醸造やオリーブオイル作りまで勉強していて。作ることが本当に好きなんでしょうね。遅くまで黙々と料理していて『大丈夫? 疲れない?』と聞いても、『楽しい』って言うんです」と修代さんは目を細めます。

その日仕入れた素材で朝8時開店 京都のレストラン「バルマーネ」

黒板には、食材ごとに調理法や料理が書かれたアラカルトが並ぶ。魚介料理の豊富さにも季節を感じる

スッキリとシンプルな内装の店内は、朝、東向きの窓いっぱいに光が降り注ぎます。朝食に立ち寄る人の多くは旅行客や京都をたびたび訪れる常連客。ランチや予約制のディナーでは、地元客が旬の食材やバル気分を味わいにきます。

欧風料理のおおらかさ、組み合わせのセンスがベースにありつつも、季節を喜び、季節でもてなす、しなやかな感性は京都の料理店そのもの。いつ訪れても、心地よく穏やかな空間とその時にしか味わえない季節の恵みに迎えられることが、旅行客も地元客をもひきつける理由です。

その日仕入れた素材で朝8時開店 京都のレストラン「バルマーネ」

カウンターにざっくりと置かれた野菜。うつわやしつらえにもセンスが宿る

本格的な暑さの到来を前に、比較的涼しい朝の時間を活用して散策を楽しむのが、夏の京都歩きの一つのアイデア。作ることに一途な店主の手腕が生きたフレッシュな朝食で、京都の朝をスタートしてはいかがでしょう。(撮影:津久井珠美)

その日仕入れた素材で朝8時開店 京都のレストラン「バルマーネ」

四条駅〜五条駅の中ほどにある住宅街の一角。一面の窓から光が注ぐ

バルマーネ
https://www.instagram.com/barmane_/

BOOK

その日仕入れた素材で朝8時開店 京都のレストラン「バルマーネ」

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が6月7日に出版されました。& TRAVELの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1,200円。

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PROFILE

  • 大橋知沙

    編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

  • 津久井珠美

    1976年京都府生まれ。立命館大学(西洋史学科)卒業後、1年間映写技師として働き、写真を本格的に始める。2000〜2002年、写真家・平間至氏に師事。京都に戻り、雑誌、書籍、広告、家族写真など、多岐にわたり撮影に携わる。

ガラス瓶の中の景色に見とれて。梅仕事を体験する専門店「蝶矢」

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