クルーズへの招待状

「クイーン・エリザベス日本一周クルーズ」後編

クルーズ旅の魅力や楽しみ方をクルーズライターの上田寿美子さんがご案内する連載「クルーズへの招待状」。前回に引き続き「クイーン・エリザベス」による日本一周クルーズの様子をお届けします。イチゴ狩り、仮面舞踏会、韓国式ティーセレモニー、熊本県の八代城跡お堀船巡りなど様々な体験ができるようです。

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境港のイチゴ狩り

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八代港のクイーン・エリザベス(撮影:上田英夫)

クイーン・エリザベスの日本一周も後半に入り、6日目の朝、鳥取県の境港に到着しました。雨模様ですが、岸壁では、傘踊りのお出迎え。外国の乗客も、傘を持って舞い踊る珍しいパフォーマンスに興味津々の様子でした。境港では、車で約30分の所にある中海フルーツパークを訪ね、イチゴ狩りを楽しみました。

イチゴのハウスに入ると、甘い香りが漂い、緑の葉っぱから章姫(あきひめ)という品種の真っ赤なイチゴがたくさん顔を出していました。はさみとカップをもらい、「ちょっと形が悪く、へたが反り返っているものがおいしい」といった見分け方や、「とがっているほうから食べるとより甘みを感じられる」といった食べ方も教わり、早速おいしそうなイチゴ探しが始まりました。

童心に戻り、イチゴを選んではチョッキンとはさみを入れ、とれたてをそのままかじると、新鮮な果汁が口いっぱいに広がります。感激したのは章姫といういちごの上品で豊かな甘さ。あえて、コンデンスミルクを出さない理由がわかりました。

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中海フルーツパークでイチゴ狩り(撮影:上田英夫)

昼食は、地元の人々で行列ができるほどの人気店・魚山亭でおまかせ定食。大きな椀(わん)のカニ汁、殻つきサザエの刺し身、地魚の刺し身、煮魚や天ぷらなど鳥取の海の味覚を豊富に取り合わせた、食べ応え十分のランチとなりました。

船上の仮面舞踏会

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船上人気イベントの一つ仮面舞踏会(撮影:上田英夫)

やがて夜になると、クイーン・エリザベスの人気イベント「マスカレード・ボール」(仮面舞踏会)が開催されました。有志の乗客が思いおもいの仮面をつけて、クイーンズ・ルームに集まり、まずは仮面パレードの開始です。

さらに、乗客の中から数人選ばれ、ユニークな仮面や仮装の人を競うコンテストが開催されました。チャンピオンを乗客の拍手と歓声で決めます。優勝者は魔法使いの老婆のような仮面をつけた子供の乗客となりました。コンテストの後は、ダンスそしてダンス。仮面をつけた男女の、あでやかでミステリアスな舞踏会は、中世ヨーロッパの宮廷にタイムスリップしたような雰囲気を醸し出していました。

釜山のティーセレモニーを楽しむ

翌朝は、韓国の釜山に入港。ここでは、ちょっと珍しい「韓国式ティーセレモニーツアー」に参加しました。

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金色の阿弥陀仏座像がある弘法寺(撮影:上田英夫)

会場の弘法寺は、21メートルの韓国最大座像「金銅阿弥陀大仏」が鎮座する仏教寺院です。靴を脱ぎ、多数の小型の阿弥陀仏がならぶ堂内に入ると、床には茶わん、茶入れ、湯こぼし、茶合などが並んだお膳が置いてありました。

そこに、チマチョゴリを着たティーセレモニーの師匠が登場し、まず精神統一と瞑想(めいそう)のための呼吸法を教わりました。ここでは、茶葉を使い、急須でお茶を淹れるのですが、手のひらを反したり、呼吸を整えたりする動作が加わり、日本の煎茶道とも異なる、独特の作法を教わりながら進行しました。乗客たちも見よう見まねで実際にお茶を淹れ、韓国式ティーセレモニーはおおいに盛り上がりました。

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韓国式ティーセレモニーを教わる(撮影:上田英夫)

八代城跡お堀船巡り

翌日は熊本県の八代港に初入港。港から無料のシャトルに乗って町へ向かい、青葉が茂る八代城跡を訪ねました。

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八代城欄干橋跡(撮影:上田英夫)

八代城は加藤清正の子忠広が1619(元和5)年に江戸幕府の許可を得て、家臣加藤正方に命じて1622(元和8)年に竣工。肥後国熊本城と八代城の二つの城がある、一国一城令の時代では例外的な存在となりました。

現在は水堀に囲まれた本丸の石垣が残っていて、当日は「八代城跡お堀舟巡り」も行われていました。堀にかかる橋を渡ろうとすると突如、甲冑(かっちゅう)をつけた武士が現れ、外国人乗客相手に立ち回りをしたり、刀を見せたり。これは八代市の観光サービスだそうで、日本茶のふるまいもありました。

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甲冑姿の武士と外国人乗客(撮影:上田英夫)

クイーン・エリザベスの船内でゆっくりと

この日の観光は半日にとどめ、昼食は、船内のザ・コートヤードで屋外ランチに。ここは、獅子の噴水があるクイーンズ・グリルとプリンセス・グリルの乗客専用の中庭で、天気の良い日は絶好の昼食会場になります。

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ザ・コートヤードの獅子の噴水(撮影:上田英夫)

午後は船の図書室で久しぶりに本を読みました。実は寄港中の船内は、人が少なく、船内施設でゆっくり過ごすには最適なのです。クイーン・エリザベスの図書室は2階だてで、蔵書数約8000冊を誇る本格派。特に客船史の本が多数あり、落ち着いた雰囲気の中で、古き良き豪華客船時代を振り返りました。

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2階建ての図書室(撮影:上田英夫)

ところで、今回の日本一周クルーズでは、ショップに入ったり、バーに座ったりすると乗組員から「おはようございます」「こんばんは」など、今まで以上に日本語のあいさつを受けました。その秘密はキュナード・ラインが作成した日英あいさつ用語の虎の巻「Japanese Greetings.(日本語あいさつ手帳)」。乗組員全員に配り、日本発着クルーズに備えたのだそうです。

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「Japanese Greetings.(日本語あいさつ手帳)」(撮影:上田英夫)

もちろん、今回の船長を務めたキャプテン・ラヴもこの「Japanese Greetings.」を携帯していました。そして「美しく、優雅で、伝統的な客船クイーン・エリザベスによる船旅は、伝統を大切にする日本のお客様の嗜好(しこう)に合致し、きっと楽しんでいただけると思います」とのメッセージも贈ってくれました。

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英国出身のサイモン・ラヴ船長(撮影:上田英夫)

2020年、クイーン・エリザベスは、春に4回の横浜港発着クルーズ、秋に3回の東京港発着クルーズを予定しています。来年は女王船で巡る日本再発見の旅はいかがでしょうか。

このクルーズの問い合わせは最寄りの取り扱い旅行会社まで。
https://www.cunard.jp/

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PROFILE

上田寿美子

クルーズライター、クルーズジャーナリスト。日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。クルーズ旅行の楽しさを伝え続けて30年。外国客船の命名式に日本を代表するジャーナリストとして招かれるなど、世界的に活動するクルーズライター。旅行会社等のクルーズ講演も行う。著書に「豪華客船はお気に召すまま」(情報センター出版局)、「世界のロマンチッククルーズ」(弘済出版社)、「ゼロからわかる豪華客船で行くクルーズの旅」(産業編集センター)、「上田寿美子のクルーズ!万才」(クルーズトラベラーカンパニー)など。2013年からクルーズ・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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