魅せられて 必見のヨーロッパ

王侯貴族・セレブの温泉リゾート ドイツ・ヴィースバーデン

ツアーの行き先としてはあまりメジャーではないけれど、足を運べばとりこになってしまう。そんなヨーロッパの街を、ヨーロッパを知り尽くした作家・写真家の相原恭子さんが訪ねました。今回は、“ヨーロッパ旅行のラウンジ”といわれたセレブ御用達の温泉保養地、ドイツ・ヴィースバーデンです。

19世紀ヨーロッパ文化の花形

王侯貴族・セレブの温泉リゾート ドイツ・ヴィースバーデン

社交の舞台となったクアハウス

フランクフルト空港駅から列車で約40分。ヴィースバーデン中央駅に到着。「カイザー・フリードリッヒ温泉」「アウカムタール温泉」で知られる温泉保養地です。特に19世紀から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパ各地の王侯貴族、芸術家や政治家が滞在し、“ヨーロッパ旅行のラウンジ”といわれました。

カジノ、レストラン、コンサートホール、バンケットルームなどを備えた「クアハウス」ではコンサートやイベントが今も昔も多く開催され、滞在客をもてなしています。特に著名な演奏は、1908年5月にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を招き、リヒャルト・シュトラウスが自らの作品『死と変容』『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』や、モーツァルトのシンフォニー『ジュピター』などを指揮したという超豪華なコンサートです。

ゲーテや「シシィ」の愛称で知られる19世紀オーストリア帝国の皇后エリーザベト、ワーグナー、ブラームス、ドストエフスキーなど世界に名をはせた著名人やセレブが訪れ、コンサート、講演会、舞踏会が開催され、当時のヨーロッパ文化の一端を担うような場所でした。クアハウスのすぐ隣にはヘッセン州立劇場もあります。

王侯貴族・セレブの温泉リゾート ドイツ・ヴィースバーデン

ヘッセン州の州都・ヴィースバーデンにあるヘッセン州立劇場

歴史ある温泉保養地で気軽に楽しめる“飲泉”

王侯貴族・セレブの温泉リゾート ドイツ・ヴィースバーデン

町なかには、常に温泉が飲める場所が数カ所あります

ここの温泉はリウマチや肝臓病に効果があるといわれています。温泉を毎日飲みに来るという女性に聞くと、胃の調子が良くなると言います。飲んでみると、塩味が強く苦みもあり、かすかに硫黄の香りがします。おいしいとは言えませんが、確かに胃腸に染み入るような味わいです。

街のシンボル、二つの教会

王侯貴族・セレブの温泉リゾート ドイツ・ヴィースバーデン

マルクト教会

町を歩くと、19世紀に建てられたマルクト教会の尖塔(せんとう)が目につきます。

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黄金のドームが特徴的な正教の「ロシア教会」

一方、正教の「ロシア教会」はネロベルクの丘にあります。町なかから丘へ続く道沿いには、宮殿のような豪華な邸宅がたくさん立ち並んでいます。主に19世紀から20世紀にかけて建てられた別荘で、今も超高級住宅街です。19世紀に建てられ、今もロシア人の信徒たちが集うといいます。

初夏に楽しみたい爽やかな味覚

王侯貴族・セレブの温泉リゾート ドイツ・ヴィースバーデン

左:オペルバート レストランからの眺め 右:食前酒は、もちろん地元のゼクト(ドイツの発砲ワイン)です

「ロシア教会」から歩いて数分の「オペルバート レストラン」でランチ。緑に囲まれた、ヴィースバーデンの中心街を見晴らす素敵なロケーションです。

王侯貴族・セレブの温泉リゾート ドイツ・ヴィースバーデン

初夏の風物詩、アスパラガスとエビのサラダ

王侯貴族・セレブの温泉リゾート ドイツ・ヴィースバーデン

白アスパラガスとスズキの魚料理

サラダだけで、軽い昼食にする人もいます。お魚はパリッと焼いた香ばしいスズキで、白アスパラガスとともに地元の白ワイン(エーレンブライトシュタイナーという希少なブドウの品種で作ったもの)に合います。飲みやすくも重厚な味わいがあり、ブーケの香りが魅力。

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左:クアハウスにあるレストラン、ランベルトゥス 右:初夏に人気のカクテル「フーゴ」

クアハウスのレストラン「ランベルトゥス」で、暑い昼下がりに爽やかなフーゴを1杯。フーゴは人気のカクテルで、エルダーフラワーのシロップ、ゼクト、炭酸水、ライム果汁、ミントの葉で作ります。

華やかな19世紀に思いをはせると、ノスタルジックで優雅な気分になりました。

「ドイツ歴史古都17都市 /Historic Highlights of Germany」
http://www.historicgermany.travel/ja/

「ヴィースバーデン ツーリスト・インフォメーション(日本語)」
https://www.wiesbaden.de/ja/tourismus/service-center/tourist-information.php

「オペルバート レストラン」
http://www.wagner-gastronomie.de/restaurant-in-wiesbaden/

「レストラン ランベルトゥス」
https://www.kuffler.de/en/wiesbaden/lambertus/

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PROFILE

相原恭子(文・写真)

慶應大学卒業。ドイツ政府観光局勤務を経て、作家&写真家。「ドイツ地ビール夢の旅」(東京書籍)、「ドイツビールの愉しみ」(岩波書店)、「ベルギー美味しい旅」(小学館)、「京都 舞妓と芸妓の奥座敷」(文春新書)、「京都 花街ファッションの美と心」(淡交社)、英語の著書「Geisha – A living tradition」(フランス語、ハンガリー語、ポーランド語版も各国で刊行)など著書多数。国内はもちろん、国際交流基金・日本大使館の主催でスペイン、ハンガリー、エストニアで講演会や写真展多数。NHK「知る楽」「美の壺」、ラジオ深夜便「明日へのことば」「ないとエッセー」、ハンガリーTV2、エストニア国営放送など出演多数。
https://blog.goo.ne.jp/goethekyoko

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