あの街の素顔

シカゴ観光で必見&必撮のアートスポットを巡る

シカゴは、ニューヨーク、ロサンゼルスに次ぐ全米3位の人口を持つ大都市。街の中心部は、海のようなミシガン湖と公園の緑に囲まれ、自然にも恵まれています。そんなシカゴの街には、カメラをしまうタイミングがわからなくなるほど個性的な建物とアートがたくさん。

今回は、この3カ所をおさえたら、シカゴに行った!と語れる、建物&アートをご紹介します。急げば半日、1日あれば余裕で回れます!

(文・写真=松田朝子)

1.摩天楼はシカゴが本場! 超高所の展望スペース「ザ・レッジ」

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シカゴの街中には新旧の高層ビルが林立しています

摩天楼といえば、ニューヨークと思っている人も多いでしょう。でも実はその発祥はシカゴなのです。どちらも19世紀の後半に相次いで建築ラッシュを迎えており、それ以降は追いつけ追い越せとばかり、上へ上へと伸びていっています。

シカゴに高層ビルが誕生したきっかけは、1871年に起きた「シカゴ大火」。3日間にわたる火事は街の大半を焼き尽くし、シカゴはほぼゼロからの街づくりをすることに。そこで浮上したのが鉄鋼を使った高層ビル。1人でも多くの人が暮らし働けるよう、土地を最大限に生かす狙いからでした。地盤が固く、地震もこないという好条件もそろっていました。のちにアメリカ近代建築の父と呼ばれるようになった、ルイス・サリバンをはじめとする新進気鋭の建築家たちにより、シカゴに次々と高層建築の建物が誕生していったのです。

シカゴの摩天楼をさらなる高みから見下ろすことができるのは、シカゴ最大の建物、ウィリス・タワー(旧シアーズ・タワー)。全米ではワン・ワールド・トレードセンターに次いで2位の高さを誇ります。

1974年に竣工したタワーの高さは約443メートル。エレベーターが驚くほど速く、103階の展望フロアに着くまで1分もかかりません。スカイデッキと呼ばれるここからはイリノイ、ミシガン、ウィスコンシン、インディアナの4州を見渡すことができます。

さらにこのフロアには、壁から飛び出たアクリルキューブの展望スペース「ザ・レッジ」があります。ここに立って下を見ると、吸い込まれそう! それにもかかわらず、訪れた人は思いおもいのポーズで記念撮影をしているのです。

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展望スペース「ザ・レッジ」(C)Ranvestel Photographic

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アクリルのつぎ目を隠して撮影すると、今にも落ちそうな感じに

ここを訪れるベストタイミングは、朝の営業開始直後か日没時間の30分~45分前。特に日没の時間帯は、夕日が沈み、夜景へとドラマチックに変わる瞬間を楽しめるのでオススメです。

■ウィリス・タワー
スカイデッキ営業時間:3月~9月 9時~22時、10月~2月 10時~20時

2.シカゴ美術館で歴史的名画を早回り&堪能するオススメコース!

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シカゴ美術館のメイン・エントランス。アメリカの国旗、イリノイ州の州旗、クック郡の旗、シカゴ市の旗が並んで掲げられているのは、10時30分~15時30分までの間だけ。門の両脇にあるライオン像は、向かって左が口を開けていて、右が口を閉じている

アートに興味がない、という人にも足を運んでもらいたいのは、シカゴ美術館。美術史をなぞるように次から次へと出てくる本物の名画には圧倒されます。一通り鑑賞すると、巨匠総出演の壮大なドラマを観たような気分に!

ここは、ニューヨークのメトロポリタン美術館、ボストンのボストン美術館と共にアメリカの3大美術館にも数えられています。シカゴ美術館の特徴は、ルノワールモネスーラゴーギャンなどの印象派の作品が多いこと。これら点数は本国のフランス以外では最大規模の収蔵で、ほとんどが個人からの寄贈によるものだというから驚きです。

19世紀末、大火後の復興から建設ラッシュが起こったシカゴには資産家が集まったそうです。彼らは、当時まだ無名だった印象派の画家たちを支援し、作品を買ってはシカゴの美術大学に寄付をしました。やがて、学校に集められた作品はやがて膨大な数となり、美術大学は1893年のシカゴ万博を機に美術館を創立。現在のシカゴ美術館は、美術大学と図書館なども含み、正式名称を「The Art Institute of Chicago」(シカゴ美術研究所)といいます。

前身の美術大学の生徒には、のちに有名なった人も多く、ウォルト・ディズニーもその1人。ディズニーは大学に入ったものの、学費が払えませんでした。そんな苦学生たちは、美術館の掃除をし、学費に充当していたといいます。

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メイン・エントランスから入ってすぐの階段は、イリノイ州の小学校の教科書にも載っている、ディズニーが掃除に苦労したという場所。映画「ファンタジア」に、魔法使いの弟子として「ほうき」が出てくるのは、そんな背景があるからだという

新旧の建物が複雑に入り組んだ館内を回るには、地図が載っているビジターガイドがあると便利。またミュージアムショップには日本語版のポケットガイドも販売しているので、こちらも入手しておきましょう。

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エル・グレコ「聖母被昇天」。スペイン国外にあるエル・グレコの作品の中では最大

最初に訪れるべき部屋は、20世紀以前のヨーロピアン・アート。ここにはエル・グレコレンブラントゴヤの作品が展示されています。ちなみに写真撮影は、フラッシュをたかなければOK(動画撮影はNG)。ほとんどの作品にはガラスが入っていないので、きれいに写真が撮れます。

次はシカゴ美術館を代表する印象派の数々。ここにあるルノワールの作品は、すべて1人の資産家からの寄付によるものです。ルノワールが使っていた絵の具は鮮やかで時代を経ても退色が感じられず、実物はもちろん、写真に撮っても鮮やか。

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ルノワール「フェルナンド・サーカスの曲芸師たち」。シカゴ美術館で人気の作品の一つ。元の所有者であるアメリカの実業家ポッター・パーマーの妻、バーサ・パーマーはこの作品をこよなく愛しており、海外を旅するときまで持ち歩いたといわれています

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ルノワール「二人の姉妹(テラスにて)」

印象派の画家たちに影響を与えたのは、日本の浮世絵でした。当時、日本から輸出していた陶器などを包んでいた紙に浮世絵が使われていたそう。ルノワールやモネ、ゴーギャンも、そうしてヨーロッパにたどりついた浮世絵を目にしたのでしょう。

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スーラ「グランドジャット島の日曜日」。スーラの代表作。すべて無数の点で表されている点描画で、後期印象派の作品の中で最も重要な作品の一つ。寄贈者の遺言により、門外不出のため、ここでしか見られません

シカゴ美術館をじっくり見ようと思えば、1日はかかってしまいます。しかし、そんなに時間をかけられないという場合、ここからは近代棟とライス・ビルへ行ってください。

2009年にイタリアの建築家、レンゾ・ピアノの設計によって建てられた近代棟は、自然光あふれるスタイリッシュな建物。ピカソやウォーホルなど20世紀以降の作品が展示されています。

ライス・ビルにある、1900~1950年のアメリカ近代美術のコーナーでは、ジョージア・オキーフの作品や、アメリカでよくパロディーに使われるという、グラント・ウッドの作品「アメリカン・ゴシック」、日本でもポスターが売れた、エドワード・ホッパーの作品「ナイトホークス」などを見ることができます。

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ジョージア・オキーフ「雌牛の頭蓋骨とキャラコの薔薇(バラ)」

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グラント・ウッド「アメリカン・ゴシック」

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エドワード・ホッパー「ナイトホークス」

作品の貸し出しの多いシカゴ美術館ですが、「アメリカン・ゴシック」と「ナイトホークス」はどちらも看板作品なので、同時に貸し出すことはありません。今回、この2作品を同時に見られたのはラッキーかもしれません。

時間があれば日本人建築家、安藤忠雄の設計による、「Ando Gallery」へ。照明を落とした部屋に日本のびょうぶが展示されていて、シンプルでシックな空間です。

その他、世界中のリビングルームを12分の1に縮小した「ソーン・ミニチュア・ルームス」も、ミニチュアとは思えない精巧な作りで興味をそそります。ちなみに日本バージョンは箱根(神奈川県)にある「富士屋ホテル」がモデルです。

■シカゴ美術館
10時30分~17時30分(木曜日のみ20時まで)

3.ミレニアム・パークでパブリックアートと遊ぶ!

シカゴ美術館からは、すぐ隣のミレニアム・パークへ。高さ約10メートル、幅約20メートルの大きな豆のようなオブジェは、イギリスの芸術家、アニッシュ・カプーアによるパブリック・アート「クラウド・ゲート」。ここでは現地の人に倣って、様々な角度から触れたり、写真を撮ったりしてみましょう!

丸みを帯びたつぎ目のない全面ステンレスの鏡面に、様々なものが映るのを楽しめます。オススメはミシガン・アベニュー側からの鑑賞で、通り沿いの建物が映り込む様は、トリックアートのようです。また、オブジェをくぐって内側から見ても、色々な面が反射して幻想的な風景を楽しめます。

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この3カ所のアート・スポットは、シカゴ旅や出張を、より素晴らしいものにしてくれるでしょう。オススメです。

■ミレニアム・パーク

■取材協力

・イリノイ州観光局

https://www.enjoyillinois.com/jp/

・シカゴ観光局
https://www.choosechicago.com/

・シカゴ美術館
https://www.artic.edu/
斉藤博子(シカゴ美術館付属美術大学、国際関係研究員)

PROFILE

  • 「あの街の素顔」ライター陣

    こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、松田朝子

  • 松田朝子

    東京・銀座の料亭に生まれ、戦前から続いた料亭を2009年にたたみ、現在は旅行作家/ライターとして旅行メディア等で活動中。日本旅行作家協会会員。旅をして、変なものを見つけると書かずにはいられなくなる癖あり。主な著書に「空飛ぶベビーカー」(東京経済刊)、「子供も大人も ラスベガスの達人」(山と渓谷社刊)、「旅先だとどうして彼は不機嫌になるの」(自由国民社刊)。

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