楽しいひとり温泉

温泉+炭酸歩行浴 坂茂氏設計の建築で楽しむ「クアパーク長湯」

ひとりでも温泉を楽しみたい! 連載「楽しいひとり温泉」は、全国各地の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する、温泉ビューティー研究家の石井宏子さんが、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。

今回ご紹介する温泉とお宿は、大分県竹田市の「クアパーク長湯」。“建築のノーベル賞”といわれるプリツカー賞を受賞した、建築家・坂茂氏設計の複合温泉施設です。この外観! 中はどうなっているのでしょう?

2019年6月オープン、こんな温泉見たことない?!

待ちに待った新しい複合温泉施設にやってきました。建築家・坂茂氏設計の「クアパーク長湯」は、2019年6月にオープンしたばかり。ここにしかないユニークな美空間の中で、二酸化炭素ガスや、炭酸水素イオンを含む温泉に入浴できます。しかも、美と健康を磨く健康増進も考えた温泉なんです。

敷地内には、全長約50メートルの温泉歩行浴が気持ちいい温泉施設「クアハウス」、温泉ひとり暮らしの気分で滞在できる「クアホテル」、地産満載の料理を提供する「クアレストラン」があります。ちょっとした建築の工夫を発見できるのも楽しみのひとつです。

美空間な温泉施設「クアハウス」

■水着着用の「バーデゾーン」

温泉+炭酸歩行浴 坂茂氏設計の建築で楽しむ「クアパーク長湯」

クアハウスのバーデゾーン

まずは、クアハウス1階の水着着用の「バーデゾーン」へ。坂茂氏らしい屋根架構の天井デザインが圧巻です。カツラむき芯材の丸太を組み上げて大天井を支えるエコロジーなアイデアが独特の世界観を出し、柱がない空間はより広く感じられます。

温泉はかけ流しで、毎日完全に抜いて新しい源泉が注がれます。この施設が有する4本の温度の異なる源泉を駆使して、それぞれの湯船の目的にあわせた温度に調整しています。

ここは36度ほどで体温よりほんのり温かな温度に調整された深めの湯船。ぬるめの湯に長時間入ってリラックスしたり、手足を伸ばしてストレッチして筋肉を緩めます。また、日によってはここで専門の指導員による湯中運動が行われることもあるそうで、温泉の中で運動してものぼせないようにと低めの温度になっています。

■全長約50メートルの温泉歩行浴が気持ちいい

温泉+炭酸歩行浴 坂茂氏設計の建築で楽しむ「クアパーク長湯」

全長50メートルの本格温泉歩行浴も、坂茂氏設計の美空間で

温泉は野外へとつながっていて、全長約50メートルの細長い温泉歩行浴へ。風を感じながら温泉の中をゆっくりと進む歩行浴はとっても気持ちがいい。自分の水着でもOKですが、この施設オリジナルのレンタル水着は、体にはりつかず動きやすくて快適です。湯あみ着のようなふわっとしたデザインで、中は水着のようになっていて、まさにいいとこ取り。

左は敷地の庭とコテージゾーン、右は芹川の流れや長湯温泉の街の暮らしを少し感じる風景が広がります。胸元まで温泉につかる深さの場所やひざ上ほどの浅い場所まであって、体の負荷のバランスが変わります。

温泉+炭酸歩行浴 坂茂氏設計の建築で楽しむ「クアパーク長湯」

のんびり芹川を眺めてくつろげる露天風呂が2カ所ある

ちょっと歩き疲れたら、歩行浴のコースの横へとエスケープ。そこには、40度前後の温かな露天風呂が待っています。渓流を眺めて、空を眺めて、ぼーっと温泉でリラックス。

「さて、もう1周歩いてこようかな」

■裸で入浴の内湯も

温泉+炭酸歩行浴 坂茂氏設計の建築で楽しむ「クアパーク長湯」

男女別の温泉内湯は、建築のおもしろさを間近に楽しめる

2階は男女別の温泉内湯。デザインの異なる内湯は一日ごとに男湯と女湯が入れ替わります。こちらは通常のお風呂と同じく裸で入浴。屋根のデザインを間近に見ることができて建築やアートが大好きな人にもたまらないぜいたくな温泉です。

長湯温泉は天然の二酸化炭素ガスを豊富に含む希少な温泉地。クアハウスの源泉の泉質名は、マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩温泉ですが、二酸化炭素ガスが600mg以上検出されている源泉もあります。

ゴゴッゴゴッと音を立てて注がれる源泉の湯口を見ると、泡がプチプチと弾けるのがわかり、温泉の特徴を実感します。じっとつかっていると、次第にじんじんと血行促進されて皮膚表面が紅潮してきます。これぞ二酸化炭素ガスを含有する温泉のパワー。ぐるぐるめぐりが良くなって、すっきり爽やかな気分です。

温泉ひとり暮らしの気分で滞在「クアホテル」

温泉+炭酸歩行浴 坂茂氏設計の建築で楽しむ「クアパーク長湯」

敷地内のクアホテルは、独立したコテージタイプ

ホテルフロントでチェックインしたら、コテージタイプのクアホテルへ。宿泊料金は、1泊朝食付きで1万1000円からです。

敷地にあるクアレストランは朝食以外にランチも夕食もアラカルトで注文できるし、温泉街へぶらりとでかけて食事をしたり外湯めぐりを楽しんだり「温泉ひとり暮らし」の気分で滞在できます。

温泉+炭酸歩行浴 坂茂氏設計の建築で楽しむ「クアパーク長湯」

ベッドを壁に収納して広く使えるアイデアがすてき

部屋の中も、コンパクトな住宅や空間も手掛ける坂氏ならでは。二つあるベッドは、壁収納式。おひとり様滞在時にはひとつは壁に収納して部屋を広く使える設計がすてきです。

温泉+炭酸歩行浴 坂茂氏設計の建築で楽しむ「クアパーク長湯」

坂茂氏らしい個性的な紙管のデザインもあちこちに

細かいインテリアに目をやると、「わ~、テーブルの足が紙管~。あ!ワゴンも紙管!」と、坂茂氏の十八番といえるデザインを見つけて大興奮。このまま住み着いてしまいたいと思う居心地のいい部屋でした。

朝湯の後に、地産満載の朝食「クアレストラン」

温泉+炭酸歩行浴 坂茂氏設計の建築で楽しむ「クアパーク長湯」

クアハウスから眺める美しい朝の田園風景

クアハウスは朝6時~9時までは宿泊者専用。部屋から水着とバスローブを羽織って、そのまま歩行浴へ行くこともできます。シュワシュワと肌を目覚めさせてくれる温泉の中を歩き、小鳥の声を聴く静かで幸せな朝湯です。

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敷地内のクアレストランは夜9時まで営業

朝から温泉に入っておなかがペコペコです。クアレストランからはおいしそうな香りがしてきました。

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テーブル席の他にカウンター席もあって快適なひとりごはんに

ひとり温泉の朝ごはんは、川の流れを楽しみながら窓に向かったカウンター席で。地元農家の野菜中心のサラダバーや、竹田産のひのひかり米。長湯温泉近くの「湧水(ゆうすい)茶屋」の豆腐、大分産ブリの照り焼き、おみそ汁は地元の合わせみそ、と、地産満載の朝食。1週間くらい滞在して体を整えたいなあ、と、後ろ髪をひかれつつ旅を終えました。

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.本格温泉ウェルネスが気軽に
2.坂茂氏の建築空間が楽しい
3.おひとり様使用の部屋が快適

大分県・長湯温泉 クアパーク長湯
https://www.kur-nagayu.co.jp/

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PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)ほか。新著「感動の温泉宿100」(文春新書)が10月に発売された。

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