あの街の素顔

エストニアのインテリアはミニマム機能と上質さ志向 現地フェアでチェック

海外居住者コミュニティサイトの調査で「デジタルライフに最適な国」に選ばれ、IT政府の国としても知られるエストニア。旅先としても注目されつつあるこの国の耳寄りな情報を、エストニア人の夫と結婚して首都タリンで暮らすカルーシオン真梨亜さんが報告します。今回はエストニアのインテリアデザイン。フェアを訪れたカルーシオンさんが発見したものは?(イラスト:あんじミサ)

いざ、コンベンションセンターへ

曇り空が続く日々のあと、ようやく青空が広がった4月のある日。もうじき2歳になる息子を連れて散歩に行く先を探していたところ、インテリアデザインフェアが開催されていました。「エストニアのインテリアデザイン」に興味があったわたしは、早速行ってみることにしました。

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フェアの会場となったコンベンションセンター

会場は、タリン市内にある八つの行政区の一つ、ピリタ区にあるコンベンションセンター。エストニア国内の約250社が出展していました。ここでは旅博やエストニアの食べ物に関する展示、ガーデニングフェアなど数多くの催しが行われてきました。バルト海に面した沿岸部にあり、近隣からは、対岸にあるフィンランドのヘルシンキ港を往来する大型客船を望むこともできます。

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会場のあるピリタ区から望む旧市街

キュートなフェルトとメリノウールの品

はじめにわたしの目をひいたのは、なんとも可愛らしい人形が展示された「Andrianna Felt Design」(アンドリアンナ・フェルト・デザイン)のブースでした。

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「アンドリアンナ・フェルト・デザイン」のブース

こちらのブランドは自然の素材を大切にし、女性用のエレガントなストールやシルクのカーテンなどの柄物プリントは印刷技術を使わず、花や草などの色を使い手染めで行っているそう。エコフレンドリーで、なおかつ可愛らしく、ぼぉっと見つめているだけでも癒やされる苔(こけ)の妖精を連想させるフェルトのオブジェなど、目をひかれる作品が数多くありました。

「フェルトを愛し、全ての作品に心と魂を込めています」と、オーナーのアンナ・アンドリヤノヴィッツさんは語ります。

エストニア人のママたちの間でとても人気で愛用されている、メリノウール100パーセントのセーターやベビー用ブランケットなども全て手作りでした。メリノウールは柔らかくてチクチクせず、何より温かいので、冬が長いエストニアでは非常に重宝されます。

硬い木を自在に曲げて加工する

次にご紹介したいのは「uBent」。折り曲げるという意味のことばにちなんだブランド名のように、硬い木を曲げてさまざまな造形の作品を生み出しています。オーナーのヴィルヨ・ナーリッツさんによると、この木を曲げる技術は、船やスキー板などを作るときに使われる伝統的なもの。スチームルームに入れて熱く湿った状態にした木を金属製ベルトを使って曲げ、冷まして形を作り、表面をやすりでなめらかにした後、オイルコーティングを施すそうです。

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uBentのフラワーランプ。「クロッカス」(左)と「アネモネ」

薄い部分で厚さ4ミリという板を繊細に折り曲げて作ったランプは人気が高く、中でも一番人気は、アネモネやクロッカスの花をかたどったフラワーランプ。あかりをともすと映し出される花の影も楽しめます。

顧客の半分はエストニア人、半分はフィンランドやスウェーデンなどの外国人だそうです。

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「uBent」のワインボトルホルダー

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結婚祝いなどで喜ばれる木の鍋敷きは二つのパーツが重なり合うようにデザインされています

好きな文字をハンガーに入れる

母の日に、こんなハンガーのプレゼントはどうでしょうか。「Mänfred Design」(マンフレッド・デザイン)では木を切り抜き、名前やメッセージ、会社のロゴなどを入れるオーダーができるサービスを主にしています。価格は好きな文字を入れたものが、ひとつ17ユーロだそうです。

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母の日のプレゼント例。Emmeはエストニア語で「ママ」を意味します

木に包まれるような家具

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「SOWOOD」のベッド

森林の中で木に包まれているかのように、大きな木のパーツを大胆に用いたデザインが目を引くのは「SOWOOD」(ソーウッド)の家具です。オーナーのヤーン・ユーリッカスさんが所有・保管する木を有効活用しようと、古い家具の修繕やリメイクから始めたそうです。

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SOWOODの工場を訪問しました。ベッドに用いる木材を加工しています

材質はオーク、アッシュ、メープル、エルムなど。高価だけれど、硬くて頑丈なのでとても長持ちするとのこと。長い間、何世代にも受け継いで使ってもらえるよう考えているそうです。加工時に出る木くずは、庭やプランターにまくため使いたいという人に無料で分けているとか。

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浴室家具メーカー「BALTECO」のブース

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タルモ・ルイスク氏の「アングリーピッグス」というソケットデザイン

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(左)トゥニス・ヴェラマ氏がデザインした木製スーツケース「アレキサンダー」(右)マリア・ラスタ氏がデザインしたいす「チック」。上から眺めるとひよこに見える

「ミニマムで上質」が人気のエストニア

このインテリアフェアには、会期の3日間で約2万3400人が来場しました。エストニアのデザインに詳しい「エストニアデザインハウス」の代表取締役イロナ・グルヤノヴァさんによると、最近のエストニアのインテリアデザインは、機能性を重視したものが多いそうです。

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イロナ・グルヤノヴァさん(本人提供)

「エストニアの消費者は日本に似て、最小限の機能と上質さを好む傾向があります。環境に優しく自然のものを極力自然な状態で使用し、デザインに取り入れつつ、それに革新的な面白みを加えたものが人気です」とイロナさん。

今回のインテリアフェアに出展したのは、まだ駆け出しの会社がほとんどだったそうです。「日本ではエストニアというと、ITの国、元力士の把瑠都くらいしかイメージがないと思いますが、インテリアやファッションなどには、知ってほしい独自の魅力がたくさんあります」

わたしもエストニアに住んで4年が経ちましたが、まだまだ知らないことばかり。知れば知るほど奥が深いエストニアをいろんな角度から見てみたいと思い始めました。

PROFILE

「あの街の素顔」ライター陣

こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、松田朝子

カルーシオン真梨亜(ライター)

1985年千葉県生まれ。幼少の頃見ていた海外のホームドラマにあこがれ、バイリンガルな女性になりたい!海外暮らしをしたい!と夢見て単身オーストラリアの大学へ留学。卒業後、英語講師、空港国際線ターミナルでの案内業務を経験。2015年、エストニア人の夫と結婚してタリン在住。好奇心旺盛で、お祭りやイベントが大好き。

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