京都ゆるり休日さんぽ

京都の人気洋菓子店が作る、“スイーツのような”かき氷

暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都の素敵なスポットをご案内しています。

暑さが本格的になってくると、恋しくなるのはキーンと冷たいかき氷。今回は、夏の間だけスペシャルなかき氷屋に変身する、愛らしい洋菓子店を訪ねました。

リッチで上質。洋菓子店が作るかき氷

京都の人気洋菓子店が作る、“スイーツのような”かき氷

2階の茶房からは京都市動物園の緑が見える

京都市動物園の北側にたたずむ「菓子・茶房チェカ」。厳選した素材で丁寧に作られる洋菓子と、古道具や作家のうつわが織りなすしつらえの美しさに定評のある洋菓子店です。

その「チェカ」の夏の顔が、7月〜9月の間だけの「氷屋チェカ」。「蒸し暑い夏においしく食べていただけるものを」とスタートしたかき氷が評判を呼び、今ではかき氷専門のイベントに招かれるほど。人気の秘密は、洋菓子店ならではの“スイーツのような”フレーバーにありました。

京都の人気洋菓子店が作る、“スイーツのような”かき氷

1階のショーケースに並ぶケーキ。ユニークな形のティラミスは「チェカ」の看板商品。7月〜9月はテイクアウトのみ

宇治ミルク金時やイチゴといった定番の味に加えて、「チェカ」ならではのフレーバーが「プリン氷」。ふんわりと積もった氷の山の中に、なんとプリンが丸ごと1個うずまっています。

京都の人気洋菓子店が作る、“スイーツのような”かき氷

「プリン氷」(ほうじ茶付き、1000円・税込み)。コクがありつつも、氷だと軽い食べ心地

このプリン、とろけるような口溶けが人気の「チェカ」のプリンがそのまま入っているというから驚き。絹のように細やかな氷となめらかなプリンが溶け合い、カラメルのほろ苦さがアクセントとなって、さっぱりなのにリッチなコクが余韻を残します。

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「マンゴー氷」(ほうじ茶付き、1000円・税込み)

また、旬のフルーツを使った期間限定のシロップも季節替わりでお目見え。氷の下に果肉をざくざくとひそませ、フルーツの風味を生かした自家製シロップをたっぷりと。その年のフルーツの収穫状況に合わせて素材を選び、香りや果肉も楽しみながらいただくかき氷には、洋菓子店ならではのテクニックと工夫が詰まっています。

シンプルな空間を彩る、茶釜や古道具、現代工芸

京都の人気洋菓子店が作る、“スイーツのような”かき氷

秒針の音が心落ち着く、機械式時計。1日1回手動でゼンマイを巻く

カチコチカチコチ……と懐かしい音を刻む機械式時計や、収納式の丸椅子をくるりと引き出して座る古い医療テーブル、畳の小上がり、茶釜など、2階茶房の美しいしつらえも「チェカ」を訪ねたくなる理由の一つ。氷屋の期間中はドリンクメニューがお休みになりますが、ふだんは茶釜で沸かしたお湯でコーヒーや紅茶、抹茶などをいれていただけます。

京都の人気洋菓子店が作る、“スイーツのような”かき氷

茶釜のお湯でお茶やコーヒーをいれる。その所作に見入る人も

「茶釜のお湯はまろやかで、『白湯(さゆ)をください』とおっしゃるお客様もいるんですよ」。

そう話すのは、パティシエの内田誠司さんとともに店を営む妻の美代さん。1階の工房で誠司さんが洋菓子を作り、ドリンクのサーブや販売を美代さんが担当しています。シンプルながらも風合いのある什器(じゅうき)やうつわは、誠司さんの兄であり陶芸家の内田鋼一氏の作品。古家具や古道具も兄夫婦と家族ぐるみで楽しみながら探し、この空間ができあがったといいます。

京都の人気洋菓子店が作る、“スイーツのような”かき氷

ディスプレーにはレトロなラベルのサイダー。「友桝 謹製サイダア」は茶房でも提供している

洋菓子店ながら和の要素もあり、シンプルでモダンな中に古びた味わいが宿る。そのほど良いミックス加減と目利きのセンスは、「チェカ」のスイーツをいっそうおいしく、味わい深く感じさせる魔法です。甘く心地よい夏のひと時を、溶けゆく氷の余韻とともに味わってみてください。(撮影:津久井珠美)

菓子・茶房チェカ
https://www.facebook.com/kashicheka/

BOOK

京都の人気洋菓子店が作る、“スイーツのような”かき氷

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が6月7日に出版されました。&TRAVELの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。

 

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PROFILE

  • 大橋知沙

    編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

  • 津久井珠美

    1976年京都府生まれ。立命館大学(西洋史学科)卒業後、1年間映写技師として働き、写真を本格的に始める。2000〜2002年、写真家・平間至氏に師事。京都に戻り、雑誌、書籍、広告、家族写真など、多岐にわたり撮影に携わる。

季節と文化をひと皿に。京都の夏の味覚を楽しむ「ごだん 宮ざわ」

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