あの街の素顔

アメリカの「かわいい町」、シカゴ郊外のガリーナの見どころとは?

イリノイ州にはシカゴのような都会もあれば、まるで時の流れが止まっているかのような雰囲気の町も存在します。中でも「ガリーナ(Galena)」はシカゴから車で西へ約3時間、映画のセットと見まがうような、れんがや石造りの建物が立ち並ぶ町。

アメリカ国内で「小さなかわいい町」といえば、必ずといっていいほどガリーナの名前があげられ、シカゴっ子たちには週末のリフレッシュに訪れる場所として愛されているそう。今回は、日本ではまだガイドブックにもあまり紹介されていないガリーナを、「かわいい」見どころにスポットをあててご紹介します。

(文・写真=松田朝子)

1.個性豊かで「かわいい」お店が並ぶメインストリート

アメリカの「かわいい町」、シカゴ郊外のガリーナの見どころとは?

ガリーナのメインストリート

アメリカの「かわいい町」、シカゴ郊外のガリーナの見どころとは?

建物の約85%がアメリカの国家歴史登録財に指定されているガリーナは、町を歩けば建物の形や店の看板、ショーウィンドーのディスプレーなど目に入るもの全てがフォトジェニック。メインストリートを通る時は、カメラのバッテリーはフルにしておいたほうがいいでしょう。

ガリーナの名は、この土地で産出されていた「方鉛鉱(ほうえんこう)」という鉱物の一種に由来します。17世紀後半にフランス人が入植して以降、町は鉱物の採掘で発展しました。町を流れるガリーナ川は鉱物を運ぶ蒸気船の交易拠点となり、1850年代には人口や経済がピークに。しかしやがて鉛鉱業が衰退しカリフォルニアでのゴールドラッシュもあって、人口も減り、町は時代に取り残されていきました。

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ガリーナの旧駅舎

1980年代、当時の市長によって町の再開発と観光地化が始まりました。古い建物は次々に整備され、クラシカルな雰囲気を活かしたおしゃれなショップやレストランなどに生まれ変わりました。それからは観光客も増加し、今では年間100万人以上の人がガリーナを訪れるようになりました。

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個性的な店が並ぶメインストリート

メインストリートの中ほどにある「デソトハウス・ホテル(Desoto House Hotel)」は、1855年に「西部最大のホテル」としてオープン。あのリンカーンも滞在しバルコニーから演説をしたという、アメリカの歴史とも深く関わりのあるホテルです。現在も改装や修復を経て、現役のホテルとして営業しています。

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圧倒的存在感のある、デソトハウス・ホテル

■デソトハウス・ホテル
230 S Main St, Galena, IL 61036
https://desotohouse.com/

2.トロリーツアーで郊外の「かわいい」邸宅を訪問

町だけではなく、郊外の住宅もかわいい! メインストリートを散策したら、次はトロリーに乗って町を1周してみましょう。

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レトロなデザインのトロリーは、ガリーナの町並みにピッタリ!

「Tri-State Trolley 」が運行するガリーナに点在する歴史的建造物を巡る、約1時間のツアーはおすすめです。車から降りることがないので、一休みするのにももってこいでしょう。

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どの家も、築100年以上の建物とは思えないくらいキレイ

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グラント・ミュージアムとして2021年オープン予定の建物

中でも一番の見どころは、ユリシーズ・グラント将軍の家。といってもピンとこないと思いますが、グラント将軍は第18代アメリカ合衆国大統領、アメリカの50ドル札に描かれている人物です。

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ユリシーズ・グラント将軍の家

グラント将軍はガリーナから南北戦争へ出征し、やがて最高司令官として北軍を率いました。そして終戦後の1865年、「英雄」としてガリーナに凱旋(がいせん)した際、市民から感謝の印に贈られたのがこの家。その後グラント将軍は大統領に就任する1869年まで、家族とともにこの家に住んでいました。現在、家の中は一般公開されており、復元された室内からは当時の人々の暮らしを垣間見ることができます。

アメリカの「かわいい町」、シカゴ郊外のガリーナの見どころとは?

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ベッドの下に置かれている容器はなんと「おまる」! 当時は家にトイレがありませんでした

■Tri-State Trolley
http://tristatetravel.com/galena-trolley-tours

3.元刑務所なのに「かわいい」?! 全米No.1と評判のB&B

郊外のかわいい家を見ていると、「こういうところに住んでみたい!」と思うことでしょう。そんな夢を数日だけかなえてくれるのが、B&B(ベッドアンドブレックファスト)です。町の高台に建つ「ジェイル・ヒル・イン(Jail Hill Inn)」は重厚なれんが造りのB&B。築約140年という年月を感じない頑丈そうな建物は、元はジェイルの名の通り、刑務所だったのです。

では、殺伐としたところなのかと思いきや、1歩中に足を踏み入れると、そこはインテリア雑誌に出てくる部屋を再現したようなおしゃれでラグジュアリーな空間。

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たくさんの花で飾られたダイニングルーム

ジェイル・ヒル・インは、ガリーナ生まれの若きオーナー、マシュー・キャロル氏が創り上げたB&B。6室の部屋はすべて違う内装とインテリアになっています。

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オーナーのマシューさんが笑顔で迎えてくれます

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どの部屋も、落ち着いたプライベートな空間

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バスルームのアメニティー、タオル、そしてベッドリネンもこだわりのものが使われています

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滞在中はゆったりした気分になれそう

この建物は元々、1878年から1977年までジョーデイビース郡の刑務所でした。その後、約26年間は個人の所有となっていましたが、2015年に売りに出されたタイミングでマシューさんが購入。約7カ月のリノベーションを経て、2015年12月にB&Bとしてオープンしました。

また、ここには従業員はおらず、部屋の掃除から食事の支度、ベルボーイ役まで、すべてマシューさんが1人でこなしているのだそう。それでありながらホスピタリティーも素晴らしく、ロビーフロアには昼間はハンドメイドクッキー、夕方からは赤白のワインやジュース、手作りのフィンガーフード、クラッカーやナッツなどが並んでいて、いつでも食べられるようになっています。

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朝食も、パン作りからマシューさんのお手製。忙しいと近所の人が手伝いに来てくれるのだとか。

ジェイル・ヒル・インがかつて刑務所だったと聞くと、はじめは不安を抱く人もいるそうですが、滞在するうちマシューさんの“B&B愛”とホスピタリティーにすっかり感動し、帰る頃には刑務所時代のことを口にする人はいなくなるそう。

その素晴らしさは、世界最大級の旅行口コミサイト・トリップアドバイザーの「トラベラーズチョイスアワード」の「世界で人気の 旅館・B&B・イン」部門において、2019年度の全米1位、全世界では2位に選ばれていることからも分かるでしょう。

ガリーナは、かわいいだけでなく、訪れる人をほっこりした気分にさせてくれるハートウォーミングな町。都会の生活に疲れたら、足を運んでみたいところです。

■ジェイル・ヒル・イン
319 Meeker St, Galena, IL 61036
https://jailhillgalena.com/

■取材協力
・イリノイ州観光局
https://www.enjoyillinois.com/jp/
・シカゴ観光局
https://www.choosechicago.com/

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PROFILE

  • 「あの街の素顔」ライター陣

    こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、高松平蔵、松田朝子、宮﨑健二、井川洋一、草深早希

  • 松田朝子

    東京・銀座の料亭に生まれ、戦前から続いた料亭を2009年にたたみ、現在は旅行作家/ライターとして旅行メディア等で活動中。日本旅行作家協会会員。旅をして、変なものを見つけると書かずにはいられなくなる癖あり。主な著書に「空飛ぶベビーカー」(東京経済刊)、「子供も大人も ラスベガスの達人」(山と渓谷社刊)、「旅先だとどうして彼は不機嫌になるの」(自由国民社刊)。

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