京都ゆるり休日さんぽ

水に遊び、水を味わう。京都、夏の憩いの場「上賀茂神社」へ

暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都のすてきなスポットをご案内しています。

今回訪ねたのは、京都三大祭りの一つ「葵祭(あおいまつり)」の舞台としても知られる「賀茂別雷(かもわけいかづち)神社」。京都では、通称「上賀茂(かみがも)神社」と呼ばれ親しまれています。神山(こうやま)を流れる水脈と賀茂川上流などから分水してきた小川に守られた、目にも涼しい憩いの神社です。

境内をめぐる小川は人々の癒やしの場

水に遊び、水を味わう。京都、夏の憩いの場「上賀茂神社」へ

周期を定めて社殿を更新する式年遷宮(しきねんせんぐう)により生まれ変わった楼門。社殿の多くは重要文化財のため、保存を主目的に現在も修復が進行中

本殿の北北西に位置する、神山の頂に賀茂別雷大神が降臨したことを起源とする上賀茂神社 は、約2600年もの歴史を持つ京都最古の神社の一つ。境内には、賀茂川や神社後方の蟻(あり)ケ池 などから分流してきた御物忌(おものい)川、御手洗(みたらし)川が流れ 、その合流地点となる三角形の斜面に社殿群が建てられています 。

水に遊び、水を味わう。京都、夏の憩いの場「上賀茂神社」へ

陰と陽の一対になった「立砂」。頂にそれぞれ2本、3本の松葉が立てられている

二の鳥居を入った正面にある「立砂(たてずな)」は、神山を表す上賀茂神社のシンボル。参拝の前に手を清める手水舎(ちょうずや)の水も、神山の水脈からくみ上げた湧き水が使われています。

水に遊び、水を味わう。京都、夏の憩いの場「上賀茂神社」へ

「ならの小川」では夏場、大人も子どもも足を水にひたす姿が

社殿の東と北から合流した川は境内の東側をゆるやかに流れ、境内の外へと続いていきます。さらさらと耳に心地よい小川のせせらぎを聞きながら、広々とした境内を歩くと身も心も浄化されるような気分に。奈良鳥居(三の鳥居)付近の「ならの小川」では水に足をひたして涼むこともでき、夏場はきらめく川辺を多くの参拝者たちが楽しみます。

水の恵みを味わう、御神水でいれるコーヒー

水の恵みは意外なところにもありました。21年に1度の式年遷宮の文化事業の一環として、御神水でいれるコーヒーが味の素AGF社の協力を得て開発されました。当初は、イベントでのみ提供されたものでしたが、今年4月にいつでもコーヒーを楽しめる休憩処「神山湧水 煎(こうやまゆうすい・せん)」がオープン。境内に常設の休憩スポットが設けられたのは、約2600年の歴史の中でも初めてのことです。

水に遊び、水を味わう。京都、夏の憩いの場「上賀茂神社」へ

社務所の隣に設けられたコーヒースタンド「神山湧水 煎」。テークアウトのみ

神山湧水の水質に合うようブレンドされたコーヒーは、酸味は控えめで、香り高くすっきりとした味わい。アイスコーヒーは透明感ある水のおいしさが際立ちます。

水に遊び、水を味わう。京都、夏の憩いの場「上賀茂神社」へ

アイスコーヒー(400円)。門前菓子の焼き餅とのセットも(650円)。ともに税込み

コーヒースタンドの向かいには、細長いヒノキ材で円を描くように造られた休憩スペース「憩いの庭」が。ルーバー状に並ぶヒノキ材はよく見ると外側に樹皮が残してあり、ぐるりと円を描くことで大木の切り株をイメージしています。その数、2600本。京都最古の神社の歴史を、実際に目で見て体感できるような空間です。

水に遊び、水を味わう。京都、夏の憩いの場「上賀茂神社」へ

境内の小川は場所によって水量、水流の速さもさまざま。水の色や量は自然を映す鏡のようでもある(*写真の橋殿周辺は7月下旬より工事が行われる)

水に守られ、水を守り継いできた上賀茂神社。境内を流れる小川は、雨が降ると水が濁り、晴れた日が続くと日に日に澄んでいくのだそう。この地を流れる水が、京都の自然の様相や人々の暮らしを映し、信仰を表してきたものだということがうかがえます。涼み、癒やされ、のどをうるおして、古都に息づく水のちからをぜひ感じてみてください。(撮影:津久井珠美)

水に遊び、水を味わう。京都、夏の憩いの場「上賀茂神社」へ

一の鳥居前から。広場では毎月第4日曜日に手作り市を開催。7月28日(日)は「賀茂の水まつり」も同時開催され、日中はお茶席や流しそうめんなどの縁日、書道パフォーマンスのほか、17:30から御輿渡御(みこしとぎょ)も

賀茂別雷神社(上賀茂神社)
https://www.kamigamojinja.jp

BOOK

水に遊び、水を味わう。京都、夏の憩いの場「上賀茂神社」へ

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が6月7日に出版されました。&TRAVELの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。

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PROFILE

大橋知沙

編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

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