楽しいひとり温泉

温泉+ミクソロジーカクテル 浴衣で夜の森のバーへ「那須高原の宿 山水閣」

ひとりでも温泉を楽しみたい! 連載「楽しいひとり温泉」は、全国各地の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する、温泉ビューティー研究家の石井宏子さんが、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。

今回ご紹介する温泉とお宿は、栃木県の「那須高原の宿 山水閣」。ひとり温泉の夜を楽しくする素敵な場所が……。

幻想的な夜霧の森の香りに誘われて……

温泉宿の夜はけっこう長い。夕食は6時とか6時半とかから始まるので、ゆっくり食べても8時過ぎには終わって、さて、どうしようかな。と、なるわけです。毎日忙しく過ごしていると、旅のゆったりした時間こそ宝物ではありますが、なんだかこのまま温泉に入って寝てしまうのがもったいないという気分になることもあります。

那須高原の宿 山水閣には、ひとり温泉の夜を楽しくする素敵な場所があります。中庭へ出ると、幻想的な夜霧の森にしっとりとした緑のいい香りが漂います。小道を進むと、ぼんやりと浮かび上がる宿の別邸「回」、この1階に宿泊客専用の「ラウンジ206」があります。21時~24時はバータイム、温泉宿の中ですから、都会ではハードルが高いと思っていた「ステキなバーでひとり飲み」も浴衣で気軽に楽しめます。

こだわりの「サロン」が誕生

温泉+ミクソロジーカクテル 浴衣で夜の森のバーへ「那須高原の宿 山水閣」

湯上がりはサロンでこだわりのお茶を楽しむ

山水閣にこの夏、「サロン」がオープンしました。国内外のデザイナーによるイスやソファがさりげなく置かれていて、お気に入りのイスに腰かけて、那須高原の豊かな緑の森を眺めてくつろげます。

湯上がりにぜひ楽しみたいのが「お茶」。近隣の茶農家の茶葉を使い、最もおいしい飲み方でお茶を出してくれます。ここでしか飲めないお茶の秘密は「水」。那須高原は水源が豊富で、この宿の敷地の地下水は飲用もでき、お茶をおいしくいれるために、水道と地下水の二つの蛇口を設けています。お茶の種類によってどの水で、どんな温度で、どのくらいの時間でいれるのかを考えているそうです。ほうじ茶をいるときの茶葉の香りは、また、コーヒーとは違う魅力があります。

2名利用時の一人分の料金で宿泊「一人旅のススメ」プラン

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客室「源平」は中庭の緑を眺められる角部屋

山水閣の限定プラン「一人旅のススメ」は、なんと、2名利用の場合のひとりあたりの料金と同じ金額で泊まれる日が、年間240日ほど設定されています。たとえば、今回泊まった客室「源平」だと1泊2食付きで1万9000円~、すっきりした和モダンのお部屋は2019年4月にリニューアルされたばかり、中庭を眺める角部屋でとても静かです。10畳の和室にベッド、手前には4.5畳のリビングやトイレ洗面所があります。

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イスとテーブルがある部屋のリビングがくつろげる

「ふうう」。部屋のリビングのイスに腰かけて、風に揺れる葉っぱを眺めていると、ミーンミーンと、セミの声が聞こえてきました。那須高原はとても涼しくて、7月も終わりだというのに、まだアジサイが満開。セミの声が響いてきて高原にも夏がきたのを感じます。

心も肌もしっとりと潤う癒やしの温泉

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大浴場で美肌の湯を楽しむ

さて、浴衣に着替えて温泉へ。二つの大浴場は夜12時に男女が入れ替わり滞在中に両方楽しめます。昭和初期の木造の建物にあり、湯宿の情緒を感じる内湯で温泉がとうとうと流れています。温泉の流れる水音だけが響く空間でお湯にどぼんと身を委ねるひとときは、たまらなく幸せを感じます。

源泉は茶臼岳の中腹に湧く「大丸源泉」から引いています。泉質は単純温泉、pH6.9の中性です。成分総計は876mgと、1000mg未満ですので単純温泉という泉質名になりますが、主成分には保湿系の硫酸塩泉とすべすべ系の炭酸水素塩泉が含まれていて、たとえていえば、マイルドな化粧水のような温泉。夏へ向かうこの季節は加温の必要がなく、源泉をそのまま湯船へと注ぎこむことができるので、より温泉の魅力が感じられる気がします。

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サロンの一角にあるライブラリー

湯上がりはサロンで違うイスに座り、好みの本がないかと本棚を眺めながら、木製のスピーカーから流れる優しい音楽に耳を傾けます。「こんな場所が欲しかった」と、思ってしまいました。

夕食は個室の食事処でゆったりと

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夏に向かう那須高原の旬を感じる前菜

14室全てのゲストがそれぞれ個室で食事ができるように配置された食事処。“ひとり旅だと食事の時にくつろげるか心配”という人も安心です。那須周辺の食材を中心にした季節感たっぷりの日本料理の夕食。

那須高原の夏野菜の先付けの後に運ばれてきた前菜を見て、「わあ、カエルだ」。涼しげなガラスの器の中、カエルさんに見立てたソラマメが、ほんのり甘く炊かれたサツマイモの上にのっています。真ん中には太くて立派な旬のアスパラ、「こちらは手にもってお召し上がりください」とのこと。左は、アユのてまりずし、手前の黒いものは黒キクラゲの酢の物です。夏らしい品々に宿オリジナルのゆず酒をあわせて楽しみました。

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若アユは2種類の味わいを食べ比べ

焼き物は若アユが2匹。ひとつは塩焼きで、もうひとつはアユから作った魚醤(ぎょしょう)で焼いていて、異なる味わいを食べ比べ。

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豆乳しゃぶしゃぶは、野菜やスープも絶品

メインは鍋料理で、A5ランクの那須黒毛和牛と三元豚の豆乳しゃぶしゃぶ。豆乳と自家製のおだしを半々で仕立てた鍋に、原木しいたけやしゃきしゃきのオカヒジキ、とろとろに甘くなる地元のブランド野菜「白美人ねぎ」やレタス、ホウレン草、ダイコンなど野菜をたっぷり。霜降り牛や甘みのある三元豚に、少しすっぱめのオリジナルぽん酢がよく合います。色々具材を楽しんだ後の、豆乳スープがまたおいしくて、ちょっと涼しい高原の夜にぴったりのお料理です。

ステキな湯宿は、夜も楽しい

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宿オリジナルのミクソロジーカクテルのバリエーションが豊富

夕食の後、部屋へ戻ってちょっと休んでも、まだ9時ちょっと過ぎ。この宿に泊まってやってみたかったことのひとつ「浴衣でバー」へ繰り出します。中庭へ出ると、夜霧の森の美しさに見とれてしばし立ち止まってしまいました。夜の森は緑の香りが漂い別世界へと向かう気分、小道の向こうにラウンジの明かりが浮かんでいます。

ひとり飲みにうれしい、バーカウンター席を発見。ソムリエの資格を持つ知久さんが笑顔で迎えてくれました。「おすすめは何ですか?」「ミクソロジーカクテル(野菜やフルーツ、ハーブ、スパイスなどを使ったカクテル)はいかがでしょう」。なんと、話題のミクソロジーカクテルをこの宿では、旬のフルーツを使って季節ごとに独自に考えているそうです。夏のミクソロジーカクテルの主役はメロンとブルーベリー、わたしは、色に引かれて「ブルーベリーとミントのモヒート」を注文しました。

フレッシュなブルーベリーとミントの葉をグラスの中でつぶしてラムを注ぎフレッシュに仕上げたカクテルです。美しい色をした、さわやかで甘酸っぱい1杯を飲みながら、知久さんがソムリエ試験に挑んだ時のことなどを聞きながら、楽しくひとり飲みデビュー。ノンアルコールのミクソロジーカクテルもあります。

朝は、もうひとつの温泉へ

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二つの湯船が並ぶ大浴場

夜中に男女が入れ替わるので、朝湯はもうひとつの大浴場へ。こちらは二つの湯船があって違った雰囲気。四角い湯船は、温泉の中の丸いタイルが美しい。もうひとつの湯船は少し深さがあってゆったりと入れます。チェックアウトは11時、朝ごはんをゆっくり食べても、まだのんびりできそうです。

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.2名利用時の一人分の料金で宿泊
2.心地いいサロンで湯上がり茶
3.夜はバーでひとり飲み

栃木県・那須温泉 那須高原の宿 山水閣
https://sansuikaku.com/

PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)ほか。新著「感動の温泉宿100」(文春新書)が10月に発売された。

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