楽園ビーチ探訪

アフリカ最南端と思われがちな喜望峰、絶景の断崖を訪ねて

連載「楽園ビーチ探訪」は、リゾートやカルチャー、エコなどを切り口に、国内外の海にフォーカスした読み物や情報を発信するビーチライターの古関千恵子さんが訪れた、世界各地の美しいビーチや、海のある街や島を紹介いたします。

今回訪れたのは南アフリカ喜望峰。アフリカ最南端と思われがちですが……、違います。ケープタウンから出発してみましょう。

喜望峰を目指し、世界遺産「ケープ植物区系保護地域」をドライブ

教科書でおなじみの喜望峰が位置するのは、南アフリカのケープタウンから約70キロ南へ下ったケープ半島の南端。テーブルマウンテン国立公園内にあります。

ケープタウンからは車で約1時間半。車窓を流れるのは、強風に吹きさらされた、うねる丘や平原ばかり。不毛な土地のように見えるけれど、実はここ、「ケープ植物区系保護地域」として、世界遺産にも登録されています。

アフリカ最南端と思われがちな喜望峰、絶景の断崖を訪ねて

森はなく灌木(かんぼく)地帯ながらも、実は豊かな植物相を誇る、ケープ植物区系保護地域

植物の種類は8000種を超え、その8割が、 この“フィンボス”という灌木(かんぼく) 地帯に集中しているそうです。通年、強い風が吹き、夏は乾燥して高温、冬は多雨の地中海性気候という厳しい自然環境。

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フィンボスの中をダチョウが優雅にお散歩中

パッと見は地味な色合いなのですが、よく見れば、ツツジ科のエリカがかれんな小花を株いっぱいに咲かせている場所もありました。7月~10月には南アフリカの国花である、華やかなキングプロテアが咲き誇るところもあるそう。ちなみにキングプロテアだけでも約320種がここに生息しているというから驚きです。

喜望峰に到着

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ごつごつとした岩肌を露出した喜望峰

植物の生命力にあふれている半島を走り抜け、突端の喜望峰に到着。観光地として開けているだろうと思いきや、「CAPE OF GOOD HOPE」というシンプルな看板と、小さな記念碑があるくらい。

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観光地らしいものといえば、この看板。記念撮影スポットです

意表を突かれるほど、土産物店もなければ、物売りもいません。

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この岬のてっぺんへ上る遊歩道も整備されています

岬のゴツゴツとした岩肌に荒波が打ち付ける風景が広がっています。

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荒々しい波が打ち寄せる喜望峰前の浜。この沖を大航海時代の冒険者たちは通過したのかと思うと、感慨深いものが

深い青をたたえた大海原を前に風に吹かれていると、はるか遠くに感じていた教科書で学んだ地と自分の現実が結びつき、不思議な感動が湧き上がってきます。インド航路開拓者として歴史に名前が刻まれたバスコ・ダ・ガマと、先に喜望峰を発見したバルトロメウ・ディアスに思いをはせました。

ケープポイントから絶景の喜望峰を望む

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ケープポイントの駐車場からケーブルカーまたは徒歩で旧灯台へ

ケープ半島の最南端は、喜望峰ではなくケープポイント。喜望峰から車で10分ほど走り、駐車場からケーブルカーで頂上へ向かうと、てっぺんの旧灯台から喜望峰と折り重なるように連なる断崖を望むことができます。

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ケープポイントから喜望峰を望む

その入り組んだ険しい地形を見ると、大航海時代の苦難が想像に難くありません。ちなみに、旧灯台は高所すぎて霧がかかると海から見えなくなってしまうため、岬の先端に新灯台を建てたそうです。

ケープ半島で出合う野生動物たち

ケープ半島の東側に広がるフォルス湾は、6月~11月にミナミセミクジラやザトウクジラが訪れるホエールウォッチングスポット。アシカのコロニーがあり、イルカの群れも出没する、ワイルドなマリンライフが繰り広げられています。

喜望峰へは、ケープ半島のほかの見どころも周遊する、ケープタウンからの1日ツアーで回るのがおすすめです。2000頭を超えるミナミアフリカオットセイが生息するドイカー島や、住宅地のすぐそばで3000頭のアフリカペンギンが暮らすボルダーズビーチなど、ケープ半島は植物のみならず、野生動物たちの楽園でもあります。

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ケープ半島の西沖に浮かぶドイカー島にはミナミアフリカオットセイのコロニーが

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ケープ半島の東側、フォルス湾のボルダーズビーチにはアフリカペンギンが暮らしています

アフリカ大陸の最南端は喜望峰ではない

ちなみに喜望峰はアフリカ大陸の最南端と勘違いされがちですが、実は最南西端。アフリカ大陸の最南端は喜望峰から約150キロ南東にあるアグラス岬になります。くわえて、冷たい大西洋と暖かいインド洋が出合う場所も、ここです。

喜望峰の知名度の陰に隠れてしまうアグラス岬と、バスコ・ダ・ガマの知名度の陰に隠れてしまうバルトロメウ・ディアス、そのふたつの存在にどこか共通性を感じてしまうのです。

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PROFILE

古関千恵子

ビーチライター。リゾートやカルチャー、エコなどを切り口に、国内外の海にフォーカスした読み物や情報を発信する。ダイビング雑誌の編集者を経てフリーとなり、“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”を繰りかえすこと四半世紀以上。『世界のビーチ BEST100』(ダイヤモンド・ビッグ社)の企画・執筆、『奇跡のリゾート 星のや 竹富島』(河出書房新社)の共著のほか、ファッション誌(『Safari』『ELLE Japon』など)やウェブサイトに寄稿。ブログも配信中。

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