京都ゆるり休日さんぽ

滋味深い韓国料理で夏バテの体をリフレッシュする「ピニョ食堂」

暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都の素敵なスポットをご案内しています。

うだるような暑さが続くと、食欲も体調も下降気味。今回は、夏バテの体にエネルギーをチャージできる韓国料理店「ピニョ食堂」を訪ねました。

夏の体を整える、スタミナ抜群の韓国料理

滋味深い韓国料理で夏バテの体をリフレッシュする「ピニョ食堂」

さびたトタン屋根に土壁。小屋のような素朴なたたずまいが目を引く

「“ピニョ”は韓国の女性が身につけるかんざしのことです。響きがかわいいでしょう? 一人でも気軽に立ち寄れる韓国料理店を作りたかったから、ぴったりだと思って」

そう話すのは、夫の全敞一(ぜん・しょういち)さんと一緒に店を営む、咲子さん。鴨川東岸の通りにこの店を出して7年になります。テーブル席が一つとカウンターのみの小さなお店は、お昼時になると次々とお客様が訪れ行列になることも。

滋味深い韓国料理で夏バテの体をリフレッシュする「ピニョ食堂」

「スンドゥブ定食」(1100円・税込み)。右上の包み野菜付きは+150円

ピニョ食堂の名物は、滋味あふれる韓国スープ。スンドゥブ、ソルロンタン、コンビヂチゲ……。外がたとえ猛暑でも、訪れた人は口々に熱々のスープを頼みます。トゥッペギと呼ばれる土鍋のまま運ばれてくるスープは、ふつふつと煮えたぎり、見るからに代謝を促してくれそう。アサリや牛すね、豆といった素材のうまみが生き、柔らかく澄んだ味わいで、最後の一滴まで飲み干してしまいます。つい冷たいものばかり口にしてしまう夏、しっかりと汗をかきつつ胃腸を温めると、体の内側からリフレッシュされるようです。

滋味深い韓国料理で夏バテの体をリフレッシュする「ピニョ食堂」

「韓国冷麺」(1100円・税込み)は6月頃~9月末頃の夏季限定メニュー

それでもやっぱり冷たいものが食べたい、という人は夏季限定の冷麺を。塩漬け発酵させた大根の汁と牛すねのだしを合わせたスープを半冷凍し、韓国から取り寄せた麺にかけた本場の味です。定食にはどれもキムチやトトリムク(どんぐり豆腐)など韓国の伝統食のおかずが3品付き、現地の食文化を体験するかのよう。煎(ジョン。日本では韓国東南部の方言の「チヂミ」と呼ばれることが多い)、韓国おでん、水キムチなど、一品料理もそろいます。

毎日でも食べたい、優しくて滋味深い韓国の家庭の味

滋味深い韓国料理で夏バテの体をリフレッシュする「ピニョ食堂」

カウンターの奥に並ぶ食器類も、韓国で実際に使われているものが多い

韓国料理というと刺激的な辛さやニンニクの風味が思い浮かびますが、ピニョ食堂の料理はどこか優しく、シンプルな味わい。じんわりと後を引く素材のうまみや穏やかな辛さが、心地よく体にしみわたります。

滋味深い韓国料理で夏バテの体をリフレッシュする「ピニョ食堂」

お水代わりに出されるのは、韓国で常飲されるコーン茶。マッコリなどお酒も豊富

その味の基盤は、敞一さんが師と仰ぐ、京都を拠点に活躍する韓国料理家・なすんじゃさん。独立を視野にさまざまなジャンルの料理を模索していた敞一さんにとって、自らのルーツでもあり、伝統的な家庭料理の味を踏襲したなすんじゃさんの味は、新たな韓国の魅力に気づかせてくれるものでした。

滋味深い韓国料理で夏バテの体をリフレッシュする「ピニョ食堂」

夫婦で店を切り盛りする敞一さん、咲子さん。店内にはさまざまな店の紹介が貼られ、地域に根ざしていることがうかがえる

「韓国ではスンドゥブならスンドゥブだけ、ソルロンタンならソルロンタンだけに特化した食堂があって、その味を追求しています。素材だけでうまみを引き出し、薄味で、優しい辛さで、足りなければ好みで塩などで加減する。だから毎日でも飽きずに食べられるんです」

滋味深い韓国料理で夏バテの体をリフレッシュする「ピニョ食堂」

飾られた家族の写真や料理の写真が、店の歩みを物語る

韓国の家庭や食堂で親しまれているような、素朴で滋味深い味わい。しみじみと余韻を残すその味は、コトコト煮込んだり、ていねいにアクをとったり、じっくりと発酵させたりといった、惜しまぬ手間ひまに支えられています。体の調子を整えるスープや発酵食品の力と二人の店主のあたたかいもてなしに、足を運ぶたび元気になれる一軒です。(撮影:津久井珠美)

ピニョ食堂
http://pinyoshokudou.com

BOOK

滋味深い韓国料理で夏バテの体をリフレッシュする「ピニョ食堂」

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が6月7日に出版されました。&TRAVELの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。

 

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PROFILE

  • 大橋知沙

    編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

  • 津久井珠美

    1976年京都府生まれ。立命館大学(西洋史学科)卒業後、1年間映写技師として働き、写真を本格的に始める。2000〜2002年、写真家・平間至氏に師事。京都に戻り、雑誌、書籍、広告、家族写真など、多岐にわたり撮影に携わる。

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